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異邦の占い師

横島が麻帆良にやって来てから約十日が過ぎていた

麻帆良スポーツのおかげで占いにもコンスタントに客が来るようになっており、一日5人から10人の客が来ている

中には木乃香達のように遊び来る者もおり全てが客ではないが、客のほとんどは10代の女の子なので賑やかで楽しい日々になり始めていた



「お客さん来るようになってほんまによかったわ~」

「朝倉の好奇心が何かの役に立つこともあるのねー」

「あの取材は木乃香ちゃんのおかげだったんだな。 本当に助かったよ。 別の商売しなくてよくなかったからな」

あれから木乃香は三日に一度くらいの割合で、放課後に横島の元を訪れていた

いつも占いをして貰う訳ではなく横島が占う姿を見ていたり世間話程度の会話をしたりするくらいだったが、一番横島の元を訪れている常連になっている

帰宅途中に寄るのにちょうどいい場所な事もあり、気軽に立ち寄っているようであった

そしてこの日は木乃香と一緒に明日菜も来ており、二人は横島の占いに客が来るようになった原因である麻帆良スポーツの取材の元ネタが木乃香である事を横島に教えていたのだ


「別の商売って何するつもりやったん?」

「ん~、そこはこれから考える予定だったんだよ。 こう見えて結構器用だから、いろいろ出来るんだわ」

もし占いがダメなら何をするつもりだったのか興味があった木乃香がその商売を尋ねるが、これから考える予定だと笑って話す横島の返事に驚くしか出来なかった

お嬢様育ちの木乃香には考えられない生き方なのかもしれない


「それって何も考えてなかったって意味じゃあ……」

「そうとも言うかな。 まあ日本じゃバイトでもなんでもすれば、生きてくのには困らないしさ」

笑って何も考えてないと軽く言い切る横島に驚く木乃香と対称的に、明日菜は僅かに引き攣った笑みを浮かべていた

占い以外の横島を改めて見た明日菜は、本当に大丈夫なのかと思わず心配になるほど横島は頼りなく見えてしまう


(占い以外は全然ダメなんじゃあ……)

本当に横島が一人で生きていけるか半信半疑な明日菜だったが、さすがにそこまで突っ込んで聞くことが出来ないまま言いかけた言葉を静かに飲み込む

それは聞きたいが答えが予想通りな気がして怖かった事と、さすがに失礼すぎる質問だと理解してる為である



「ここが図書館島の図書館か…… でかいな~」

そもまま二人といろいろと話していた横島だったが、明日菜が新聞配達のために先に帰ると木乃香に誘われて図書館島に来ていた

麻帆良に来たなら一度は見学した方がいいと木乃香が誘ったのである


「ここの図書館島は地下の方がめちゃ広いんや。 ウチは占い研究会と一緒に図書館探検部なんよ」

豪華な入口を入るとずらりと並んだ本棚に横島が驚きの声を上げるが、木乃香は楽しそうに図書館島の凄さを語っていく


「図書館を探検するのか?」

「甘く見たらあかんえ~ 図書館島の地下は危険がいっぱいなんや。 それに気をつけないと迷子になる人も多いんよ」

「なんか昔テレビで見た秘境探検隊みたいな感じだな」

図書館探検を熱く語る木乃香に、横島は僅かに苦笑いを浮かべて聞いていた

魔法組織と関係がある図書館島の地下が一般生徒に探検をさせてるとは思いもしなかったのである


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