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平和な日常~冬~4

そして翌二十九日に今年最後の営業を終えた横島の店では、いよいよ三十日から年末年始の休暇に入っていてこの日は大掃除の日になる。


「おおそうじのじかんだよ!」

店の仕込みがないため珍しくゆっくりとした朝を迎えた横島達であるが、タマモは何故か朝から割烹着を来て大掃除する準備万端と言った様子だ。

何故割烹着なのかについては、恐らくハニワ兵が時々掃除をする際に着てるからだろう。

基本的にタマモは形から入るタイプなのかもしれない。


「そう焦らせるなって。」

久しぶりに朝食を二階で食べた横島は後片付けを終えて一休みしていたが、タマモは待ちきれないのか横島を急かすように大掃除を始めようと言う。

さよと明日菜がついさっき洗濯をしに行ったでちょうどこたつで寛いでいたのが横島だけだったのだ。

ちなみにハニワ兵が居なくて明日菜が居る年末年始の掃除や洗濯に関しては、掃除はみんなでやるが洗濯はさよがやると言い出して任せている。

ぶっちゃけ幽霊とはいえ実体化した以上は女の子なだけに、横島に洗濯までされたくなかったのだろう。

明日菜も年末年始は横島宅で洗濯をするつもりらしく、泊まりに来た次の日からさよと二人で洗濯をしていた。


「ほらみかんでも食べて。」

「うん。 あまくておいしい……じゃなくておおそうじ!」

まるで休日の子供が父親に遊びに連れて行ってと急かすような様子のタマモは、横島にとって非常に新鮮なものだった。

日頃から横島が甘やかしてることもあって、タマモがこれほど何かにこだわって横島に要求すること自体がまずないのだ。

結果として横島は駄々っ子となったタマモを楽しむように、みかんを与えたり抱き上げたりと別の誘惑を与えて楽しんでいる。


「二人とも楽しそうね」

「よこしまがおおそうじしてくれないの!」

そのまま横島とタマモは明日菜が来るまで遊んでいるが、洗濯から戻って来た明日菜が少し呆れた表情をするとタマモは不満げに頬を膨らませて明日菜を味方に着けるべく事情を話していく。


「そうね、じゃ大掃除始めよっか。」

ただ明日菜にはどう見ても横島が大掃除に燃えるタマモを少しからかいながら可愛がってるようにしか見えてなく、横島にやりすぎだと抗議の視線を送るとさっそく大掃除を始めようと横島を急かして立たせた。


「やっぱりあすなちゃんはたよりになるね!」

結果として明日菜が来たことで横島が動くと、タマモの中での明日菜の評価がドーンと高くなったようだ。

元々日頃から店でも暴走する横島や常連相手にツッコミを入れつつ止めている明日菜をタマモは頼りになると思っていたらしい。


「俺だって毎日頑張ってるのに……」

「もう、私もタマちゃんもちゃんと分かってますよ。 だから拗ねないで下さい。」

その後タマモが明日菜を褒めたことで横島は拗ねたように不満げな表情を僅かに見せるが、明日菜はこちらにもちゃんと対応して横島の機嫌を取っていく。

正直横島は大人なんだからそのくらいで拗ねないで欲しいが、冗談のように見えて割りと本当に拗ねてる時があるので明日菜や木乃香達は毎回きちんと相手をしている。


「うん、おおそうじしよう。」

最終的に明日菜に続きタマモまでも先程の不満など忘れたかのように今度は横島をなだめに回ると、最早誰が何で揉めていたか分からないほどグダグダになってしまいようやく大掃除を始めることになる。

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