平和な日常~冬~3

さてビンゴ大会が終わった横島達は木乃香達の元に顔を出すが、こちらも終了目前であった。

木乃香と新堂のコンビによるスイーツということで注目度が抜群だったこともあり、予定よりかなり来客が多く現在は午後六時過ぎなのだがスイーツがもうほとんどないようである。


「あとはダンスパーティーだけです」

木乃香とのどかと合流した横島達はバイキングで夕食にしてこの後の予定を話すが、残りのメインイベントは七時からのダンスパーティーだけだった。

こちらはダンスに参加するしないは別にして横島にも顔を出して欲しいとのこと。


「ダンスね。 住む世界が違うんだな~」

「このダンスパーティーも元々は、二十年前まで麻帆良に居た西洋人がやっていたようです」

クリスマスにダンスパーティーなどまるでセレブだなとこぼす横島だったが、夕映いわく元々は西洋人というかメガロ側の人間のやっていたものらしい。

プライドの高いメガロメセンブリアの人間らしい行事ではあるが、横島はなんとも言えない表情で食事を続けていた。


「マスター、ダンスは?」

「普通に生きてる日本人がダンスなんかやると思うか? まあ一夜漬けで基礎的なものは一応覚えたけど」

一方そんな横島と対照的に、少女達は映画に出てくるようなダンスパーティーが楽しみなようである。

踊る踊らないは別にして華やかなダンスパーティーを噂には聞いたことがあるのだろう。

特に美砂などは期待するように横島にダンスの経験を尋ねるが、当然ながら横島にそんな経験があるはずもなく無理だと言わんばかりの態度である。

実のところ横島には本当にダンスの経験などない。

一応ダンスに関してもそれなりの知識や動きは継承した魂の中にあるが、そもそもの問題として継承した魂は全て女性なので男性の動きとは厳密にいえば違うものである。

まあ美砂達がダンスを楽しみにしてたのは前々から知っていたので、横島も一夜漬けで覚えてはみたようだが。


「マスターの出来ないって言うのほど、アテにならないものはないのよねー」

「横島さんやから」

横島本人は割と本気で無理だと言ってはいるものの、美砂達だけでなく木乃香達まで半ば信じてない。

苦手だとかあまり経験がないと時々言うことはあるが、実際にやらせてみるとそれなりに出来ることがほとんどなのだ。

ただ一般人が普通に生きてるとダンスの経験なんかないのは当然だし、横島もパーティー慣れしてると言えないのも確かなのだが。


「ほら口元が汚れてるわよ。 気をつけないとドレスが汚れるからね」

「うん!」

ちなみにダンスに一番興味がなさ気なのは明日菜だった。

元々の性格もありダンスのような優雅さを表現することが苦手なのだろう。

彼女は今日ずっと一緒だったタマモの世話をしつつ、横島達の話を聞いているが参加する気はゼロである。

本来の歴史でも明日菜はネギに対して面倒見の良さが出てくるはずであったが、この世界の明日菜はその対象がタマモになっているらしい。



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