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平和な日常~冬~3

そして残る明日菜達のビンゴだったが、美砂が地味に食券一週間分をゲットした以外は残念ながら誰も景品を得られなかった。


「あ~、今回はダメか」

「珍しいわね。 桜子が当たらないなんて……」

日頃から運がいい桜子が当たらなかったことに少し不思議そうな美砂や円であったが、桜子本人は少し残念そうだがあまり気にした様子ではない。

実はタマモがビンゴしたカードが桜子のカードだったことは、桜子本人しか知らない事である。

あまりに落ち込むタマモの為に桜子がコッソリと譲ってあげていたのだ。

今も嬉しそうにはしゃぐタマモを見て桜子も本当に嬉しそうだった。



一方この日の穂乃香は学生時代の友人達や、当時お世話になった関係者との再会を喜んでいた。

主要な人物にはすでに挨拶しているが、普通の友人や現在は引退した元関係者などは今日の再会が久しぶりな人も少なくない。


「あれから来年で二十年か……」

「料理大会で木乃香君を見た時、本当に驚いたよ」

話題は穂乃香達の学生時代や約二十年前の混乱期の思い出話が中心だったが、それと同じくらい木乃香の話題でも盛り上がっている。


「近衛の娘があんなに大きくなったことも驚いたけど、まさか料理大会に出て優勝とはね」

木乃香の料理大会の優勝は、穂乃香を知る友人や知人達は目を見開くほど驚いたらしい。

まあ穂乃香に子供が生まれたことやその子供が現在中学生なことくらいは知ってる者は多かったのだろうが、中学生にして料理大会の優勝は脅威の結果である。

木乃香の場合はクラスメートに超鈴音や四葉五月がいるので注目度は二人にはやや負けているが、穂乃香を知る者は木乃香の優勝に驚愕した者が多いようだ。


「私も驚いたわよ。 中学生なのにアルバイト始めたと思ったら料理大会出て優勝しちゃうし」

「行動力があるのは近衛譲りじゃないか? 尤も料理の腕前は比べるまでもないけど」

「ひどいわ! 私だって中学生の頃には平均的な料理は作れたわよ」

そのまま木乃香の話題は続きここ半年の木乃香の変化に驚いてるのは穂乃香自身も同じだと笑いながら話しているが、友人達は木乃香がすでに穂乃香の料理の腕前を越えたと笑っていた。

まあ穂乃香も若い頃から行動力があったらしく木乃香の活躍は納得のいく部分もあるらしいが、料理の腕前はどう考えても中学生時代の穂乃香ではとても敵わないらしい。


「すでに彼氏まで見つけたみたいだしな。 麻帆良祭の写真展見たか? 噂のシェフとずいぶん親しげな写真が大賞だったぞ」

「ああ、あれか。 詠春は気が気じゃないだろうな~」

友人達との会話はいつの間にか穂乃香がからかわれるような感じだっだが、話題はそのまま横島にまで移り麻帆良祭で撮られた写真の話まで出ていた。

親としては中学生で彼氏は早いんじゃないかと思う気持ちもあるが、自分達の学生時代を考えると決して早くはなかったのだろう。

ちなみにあの写真しか知らない人達は、当然ながら横島と木乃香が恋人かそれに限りなく近いと考えている。

いろいろな女性と噂になる横島だがやはり一番噂になってるのは木乃香であり、すでに恋人だと考えてる人が結構多いようだ。

穂乃香と同じく詠春の学生時代を知る友人達はそんな木乃香の現状に、詠春の心境を考え少し複雑そうに笑っていた。



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