日記

『少年十字軍』  皆川博子著書

2026/08/02 12:10
レヴュー

 数ヶ月前に読んだ本のレビューです。


 何よりも、少し希望のある終わり方なのが救いでした。児童書だからでしょうね。皆川さんって短編は特にメリバよりもバドエンが多いから。
 決してハッピーエンドではないけど、この先も戦いに身を投じて生きるのだとしても、エルサレムに行くよりも、ずっと希望がある……。

 主人公のエティエンヌは台詞も行動も心理描写も少なく、主体性がないっていうんでしょうか。主人公らしくなく、周りの子供たちと少ない大人が物語を進めていくんですよね。エティエンヌはただ、いるだけ。奇跡なんて本当は全然おこしていないのに。良いことは都合がよく奇跡とされて、一介の羊飼いだった少年は神と崇められる。
 そして中盤から登場する、記憶喪失のガブリエルがもう一人の、裏の主人公になる。

 長編小説を読んでいると、無意識に推しを見つけてしまうのですが、このお話ではドミニクが一番好き。冷静で現実的で。
 ルーとアンヌも好き。ドミニクも含めて、エティエンヌは神なんかじゃないってちゃんと分かっているところがね。
 レイモンですらどこか憎めない。映像化したらレイモンは絶対金髪美声のイケメンだろうな(笑)イケメンならどんなにイヤな性格でも許される。
 関係性ではドミニク→ジャコブのどうにもライクを超えていそうな友情が良いのです。わたしの腐女子脳が考えすぎかなと思うくらい、これがすごく絶妙な塩梅なのです。いつもの皆川さんならもっとがっつり描写しそうですけど、あくまでも児童書ですからね。
 ルー→アンヌ→エティエンヌの、進展はしないけど仄かな想いと距離感、そしてドミニクとルーの現実主義な二人の友情も好きです。

 登場人物の見た目をイメージするのに既存のキャラを当てはめることは時々あるけれど、ドミニクとジャコブがね、もう終始脳内で天江戸の二振りに変換されて読んでいました。ルーは勝手に肥前君の見た目に置き換えて読んでいましたね。
 ガブリエルは……ベルセルクのガッツとか、ゴブスレの主人公とか、マギのマスルールとか、ふわっとしてるけど、そんな感じの見た目。ごつくて寡黙な男でイメージしました。


 10年以上前に古屋兎丸先生の漫画のインノサン少年十字軍を読んだことがありました。そちらは大人向けで凄惨な内容でしたね。古屋先生ですからね。(褒めてます)
 古屋先生といえばやっぱりライチ☆光クラブが好きです。インノサンもライチも、前の会社のアスペ腐女子の同僚の方に勧められて読みました。(勝手にアスペなんて言ったら失礼だけど、布教の押しの強さが全く自重を知らないんだもの)
 ライチ☆光クラブの、少年たちによる閉鎖的で愚かな世界と同性愛描写はずっと心に残っています。読んでよかったと思ってる漫画ですね。雷蔵ちゃんが可愛くて好き。


コメント

コメントを受け付けていません。