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【ジョングク/ジミン】 a love potion

これは『夢』、なのか。
それとも『現実』なのか。

ぎゅっときつく噛み締めた唇から時折漏れる、
嗚咽交じりの吐息が狂おしいほど愛おしい。


酷いことをしているのに。
とても酷いことをしていて、ヒョンは呼吸さえまともにできないほどに
苦しんでいると解っているのに。
それをどこか遠くから見ているような感覚が、もうずっと抜け切らない。
こんなに近くにいるのに。
頭の芯が薬にでも犯されたように重たくて、
ヒョンに触れている指先から伝わるものが熱なのかどうかさえ判らない。

「 こっち、向いて 」

しなやかに反らされた首筋から顎に指を這わせ、
逸らされた視線を自分の方へと戻させる。

「…っ、ッ…ぅ…」

言葉にならない声が、僅かに開いたヒョンの唇の隙間から漏れる。


触れたら、嫌がるかな。


でも、薄っすらと血で染まったその唇がとてもとても魅惑的で


「 美味しそう 」


思わず吐いて出た言葉に、組み敷いたヒョンの肢体が
怯えた声色とともにびくりと強張った。


「ッ…ひっ……ッ…」


酷いことをしたくないのに。
酷いことだと解っているのに。
貪ることをやめられない。


涙に濡れたヒョンの瞳に朧げに映る自分は一体、
今どんな表情をしているのだろうか。
もっとヒョンの瞳を覗き込めば見えるだろうか?

ああ、でも、それはきっと、わからない方がいいだろう。
知ればもう二度と、元に戻ることはできないだろうから。

汗で張り付いたジミンのシルバーアッシュの前髪を指で梳き上げ、
濡れた瞳の端にちゅっ、と口付けを落として囁く。

「 ごめんね、ジミニヒョン 」


朝にはすべてを忘れているだろう。
すべては甘くて苦い『夢』の出来事だ。
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