ライハ モノローグ
あれは、父上に連れられて行ったんだったかな。待っているのが退屈で、部屋をこっそり抜け出したんだ。
ライハ モノローグ1
広い廊下を抜けると、ひらけた場所に出た。辺りを見渡すと、ここが何なのかは一目でわかった。戦士の訓練場だ。深く呼吸をして、一歩踏み出す。
「広いな…家とはぜんぜん違う」
父上は、この王国最強の騎士だ。平民だから王城から離れて暮らしていて、ことある事に呼び出されては王様から仕事を受けている。…とても大変そうだけど、俺はそんな父上がとても誇らしく感じていた。
この日は、珍しく俺も一緒に来るよう言われて初めて王城に来たんだ。
_そう、俺の運命の日。姫と出会った日のことだよ。
俺は、父上を真似して腰におもちゃの剣をさしていて、剣を取り出して振りかぶる。無心で剣を振っていると、ローブを着た魔道士達がやってくるのが見えた。勝手に入ったことを怒られると思い、逃げようとして腕をつかまれる。
「どこの子供だ?」
気まずくて、押し黙る。父上の名前を出したら、父上が怒られるかもしれないと思った。魔道士達が話し合い、何人かがその場から去っていく。どういう状況か分からず周りの人達を交互に見ていると、ふいに同い年くらいの女の子の声が、大人に混ざって聞こえた。
「追い出す必要はないわ。お父様のお客様だったらどうするの」
大人相手に堂々と話すその子に、魔道士達がたじろいでいる。女の子も、魔道士達と同じ黒のローブを着ていて、手には身の丈に合わない大きな杖を持っている。俺は、その子の大きな目と、ふわふわの髪が可愛らしくて、つい見つめてしまう。
…だから何度も言ってるじゃんか。
ひとめぼれだったって。
そして、魔道士達の訓練が始まって、俺は隅でその女の子を見ていた。大人に混ざって魔法の訓練をする姿がかっこよくて、俺は目が離せなかった。すると、城内から数人の大人達がやってきて、その子に話しかけた。女の子はこちらを振り返って傍にきて_
「あなた、今、お父様に謁見で来ている騎士様の息子なの?」
「……」
恥ずかしくて声がうまく出せなかった俺は、うつむいて黙ってしまった。すると、しゃがんで俺の目を見ながら自身の身分と名前を俺に教えてくれた。
ほんと、姫はこの時からかっこよかった。
「僕は…ライハ」
そう小さく答える俺に、お姫様は微笑んで俺の手を引いた。真っ赤になる俺は、握られた手を見つめ、手を引かれるままついて行く。すると、父上と女の子の父親…王様が俺達を迎えてくれた。当然、俺は父上にしこたま怒られた。王様は笑っていて、女の子は頭を撫でられて誇らしそうな顔をしていた。
そんな顔も可愛かった。
父上と王様の話は終わっていたらしく、父上と一緒に帰ることになる。
「父上、…またここに来れる?」
「なんだ、王女様と仲良くなったのか?」
慌てて否定して言い訳をしたけど、父上に笑い飛ばされてしまった。
「まあ、少し待て」
父上のその言葉が印象的だった。俺を抱き抱えるように馬に乗る父を背中に感じながら、また会える日を期待する。「いつ?」と聞くと、笑いながら「わからん」と笑われた。
しばらくして、この時の父上の言葉の意味が分かった。父上は名誉騎士として表彰され王家に仕える騎士となった。その内爵位も貰えるかもしれないと、母上も言っていた。王家ということは、あのお姫様も…
しかし、胸が高鳴る気持ちとは裏腹に、魔物達の凶暴化、魔王城付近の村などの被害について深刻化が極まる。
父上は、王家を守る騎士としてここを離れられない。そして俺が15歳の時、王城で姫と他愛ない話をしていた。
「魔物討伐?ああ、3日後だよ」
心配そうに俺を見つめる姫。俺も騎士として魔物討伐の編成に加わって、遠征に向かうことも多くなった。姫は最高の魔道士として成長したけど、第三王女という身分では城の外に出ることすら、あちこちに許可をもらわないといけない。
「なに、俺がいない間さみしい?」
なぜか殴られた。
体を起こして姫を見つめると、とても歯がゆそうに俺を見ていた。理由は俺も知ってる。まじめな姫は、自分も戦いたいのだ。傷付く騎士と、仲間の魔道士を見て心を痛める優しい姫の気持ちは俺も知っているけど、俺も姫には城にいてほしいと思っている。
「ライハ、旅に出ない?…二人で」
また、かっこいいことを言うんだ。姫は。
「…二人?」
城にいてほしいと、考えた傍から姫と二人の旅という言葉に胸がときめく。
__
「_その後は、もういいよな、姫?」
真っ赤な顔をしてこっちを見る、大好きなお姫様。「いつから好きなの?」なんて、聞かれたからつい話しすぎてしまった。
ひとめぼれだって言っても信じないんだから。
赤い頬にかかる長い髪をすくい、耳にかけてあげる。可愛い目を見ると、口元が自然と緩む。
「姫は、いつから俺のこと好きなの?」
聞かせて欲しい。俺の長い片想いはいつ君に届いていたのか。
「何時間でも聞くよ。俺のどんなところが好きかも含めて…」
なぜか殴られたけど、片手で拳を受け止める。魔道士のくせにすぐに手が出るんだよな。
「姫、俺に語らせておいて…言わないつもり?」
夜は長いから、たくさん話をしようよ。
そして、王都に着いたら…大事な話をしよう。
Fin…
ライハ モノローグ1
広い廊下を抜けると、ひらけた場所に出た。辺りを見渡すと、ここが何なのかは一目でわかった。戦士の訓練場だ。深く呼吸をして、一歩踏み出す。
「広いな…家とはぜんぜん違う」
父上は、この王国最強の騎士だ。平民だから王城から離れて暮らしていて、ことある事に呼び出されては王様から仕事を受けている。…とても大変そうだけど、俺はそんな父上がとても誇らしく感じていた。
この日は、珍しく俺も一緒に来るよう言われて初めて王城に来たんだ。
_そう、俺の運命の日。姫と出会った日のことだよ。
俺は、父上を真似して腰におもちゃの剣をさしていて、剣を取り出して振りかぶる。無心で剣を振っていると、ローブを着た魔道士達がやってくるのが見えた。勝手に入ったことを怒られると思い、逃げようとして腕をつかまれる。
「どこの子供だ?」
気まずくて、押し黙る。父上の名前を出したら、父上が怒られるかもしれないと思った。魔道士達が話し合い、何人かがその場から去っていく。どういう状況か分からず周りの人達を交互に見ていると、ふいに同い年くらいの女の子の声が、大人に混ざって聞こえた。
「追い出す必要はないわ。お父様のお客様だったらどうするの」
大人相手に堂々と話すその子に、魔道士達がたじろいでいる。女の子も、魔道士達と同じ黒のローブを着ていて、手には身の丈に合わない大きな杖を持っている。俺は、その子の大きな目と、ふわふわの髪が可愛らしくて、つい見つめてしまう。
…だから何度も言ってるじゃんか。
ひとめぼれだったって。
そして、魔道士達の訓練が始まって、俺は隅でその女の子を見ていた。大人に混ざって魔法の訓練をする姿がかっこよくて、俺は目が離せなかった。すると、城内から数人の大人達がやってきて、その子に話しかけた。女の子はこちらを振り返って傍にきて_
「あなた、今、お父様に謁見で来ている騎士様の息子なの?」
「……」
恥ずかしくて声がうまく出せなかった俺は、うつむいて黙ってしまった。すると、しゃがんで俺の目を見ながら自身の身分と名前を俺に教えてくれた。
ほんと、姫はこの時からかっこよかった。
「僕は…ライハ」
そう小さく答える俺に、お姫様は微笑んで俺の手を引いた。真っ赤になる俺は、握られた手を見つめ、手を引かれるままついて行く。すると、父上と女の子の父親…王様が俺達を迎えてくれた。当然、俺は父上にしこたま怒られた。王様は笑っていて、女の子は頭を撫でられて誇らしそうな顔をしていた。
そんな顔も可愛かった。
父上と王様の話は終わっていたらしく、父上と一緒に帰ることになる。
「父上、…またここに来れる?」
「なんだ、王女様と仲良くなったのか?」
慌てて否定して言い訳をしたけど、父上に笑い飛ばされてしまった。
「まあ、少し待て」
父上のその言葉が印象的だった。俺を抱き抱えるように馬に乗る父を背中に感じながら、また会える日を期待する。「いつ?」と聞くと、笑いながら「わからん」と笑われた。
しばらくして、この時の父上の言葉の意味が分かった。父上は名誉騎士として表彰され王家に仕える騎士となった。その内爵位も貰えるかもしれないと、母上も言っていた。王家ということは、あのお姫様も…
しかし、胸が高鳴る気持ちとは裏腹に、魔物達の凶暴化、魔王城付近の村などの被害について深刻化が極まる。
父上は、王家を守る騎士としてここを離れられない。そして俺が15歳の時、王城で姫と他愛ない話をしていた。
「魔物討伐?ああ、3日後だよ」
心配そうに俺を見つめる姫。俺も騎士として魔物討伐の編成に加わって、遠征に向かうことも多くなった。姫は最高の魔道士として成長したけど、第三王女という身分では城の外に出ることすら、あちこちに許可をもらわないといけない。
「なに、俺がいない間さみしい?」
なぜか殴られた。
体を起こして姫を見つめると、とても歯がゆそうに俺を見ていた。理由は俺も知ってる。まじめな姫は、自分も戦いたいのだ。傷付く騎士と、仲間の魔道士を見て心を痛める優しい姫の気持ちは俺も知っているけど、俺も姫には城にいてほしいと思っている。
「ライハ、旅に出ない?…二人で」
また、かっこいいことを言うんだ。姫は。
「…二人?」
城にいてほしいと、考えた傍から姫と二人の旅という言葉に胸がときめく。
__
「_その後は、もういいよな、姫?」
真っ赤な顔をしてこっちを見る、大好きなお姫様。「いつから好きなの?」なんて、聞かれたからつい話しすぎてしまった。
ひとめぼれだって言っても信じないんだから。
赤い頬にかかる長い髪をすくい、耳にかけてあげる。可愛い目を見ると、口元が自然と緩む。
「姫は、いつから俺のこと好きなの?」
聞かせて欲しい。俺の長い片想いはいつ君に届いていたのか。
「何時間でも聞くよ。俺のどんなところが好きかも含めて…」
なぜか殴られたけど、片手で拳を受け止める。魔道士のくせにすぐに手が出るんだよな。
「姫、俺に語らせておいて…言わないつもり?」
夜は長いから、たくさん話をしようよ。
そして、王都に着いたら…大事な話をしよう。
Fin…
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