村人A
村人A モノローグ1
夜の森はとても静かで…危険だ。それを分かっていないのか、野営している冒険者達を遠目で見る。
「ほんと使えない」
この世界の全てが、あなたを愛し、あなたを支え、そしてあなたの紡ぐ物語を待っている。けれど、その過程で、あなたを試すこともあれば、奈落に突き落としもする。
「こんな頭の悪い連中が、勇者様のそばにいるなんて…」
神は最低だ。こんな奴らがいなければ、既に次の村に辿り着いて宿屋でそのお身体を休められたというのに。すると、野営の明かりにおびき寄せられるかのように、モンスターが闇に紛れて動く。
「ちっ」
舌打ちをして、モンスターに語りかける。
「やめろ、あそこには私の勇者様がいるんだ」
野営に視線を戻すと、なにやら足手まといABCの3人が話をしている。そっと近づき話を聞く。
「勇者様って、ほんとお優しいわよね」
こいつが足でまといA
「ああ、お前本当に気をつけろよ?勇者様が治療して下さったが…」
こいつは足でまといB
「まったく、僕の勇者様の手を煩わせるなよな」
こいつは殺す。足でまといCのナルシスト。
足でまといAが負傷した事で先に進むのをやめたらしい。腕を組み、腸が煮え繰り返るのを我慢する。
…弱すぎて腹が立つ。
「ふふ、でもさぁ。こんなこと言いたくないけど…勇者様ってちょっと固すぎない? 私だけかな?そう思うの…真面目すぎて、疲れちゃうっていうか…」
「まあな。ただ、ご自身にも厳しい方だ」
「ほんと肩が凝っちゃう」
足手まといAが、Bの肩に自分の頭を預ける。
「ねえ、私達二人だけで旅しない?」
「そうだな、そもそも俺の旅の目的は…」
勇者様の旅のパーティメンバーは、全員が魔王討伐に集まった訳ではなく、旅の中で出会いそれぞれの目的で旅をしている。しかし、こんな足手まといでも居なくなれば勇者様の心は傷つくのだろう。
「そうか!君たちが離脱するなら、必然的に僕と勇者様の2人っきりの旅になるな!」
……。
「ふふ、応援しているわ。」
「ありがとう!最近、勇者様が僕にとても優しくてね」
「おい、あまり調子に乗るなよ?」
白状すると、こいつらが羨ましかった。世界に勇者様と苦楽を共にする権利を与えられたこいつらが。背を向けて、大人しくさせていたモンスターに再度語りかける。
「殺せ、三人ともだ」
この森を抜けるだけの力もない上、戦闘は勇者様頼りの足手まとい。そうだ、結界を張らなければ。勇者様が雑音に目を覚まされるかもしれない。
「原型は残すな…教会で蘇生できないくらいにしろ」
__
森を進み、野営に近づく。ひとめ…あなたを見られないだろうか…美しく気高いあなたを。
「あれ、人…?もしかして冒険者ですか?」
美しい声に足を止める。私もこの世界の住人だ、あなたの存在感はとても眩しく、惹かれずにはいられない。振り返ると、その美しい姿に息を呑む。
ああ、愛おしい私の勇者様。
「はい…そうですが、あなたは?」
「私も旅の者です。仲間の姿が見えず探しています。女の子1人と男性2人の3人組を見ていませんか?」
お優しい勇者様。もう骨も残っていません。
「申し訳ありません。見ていませんね」
「そうですか…あなたも気をつけてください。この辺りの魔物は強いですから」
ああ、勇者様…
「ありがとうございます。気をつけます」
あなたの事だから、足手まとい達を探し続けるのでしょうね。うつむき、黙っていると、あなたが心配そうに私の様子を窺う。
美しい……。
いつか、あなたが私を正しく認識してくれる時、私の事を話しましょう。まずは、私の領域であなたを待ちます。
私の大切な…愛しの勇者様
次の村でお待ちしています。
Fin…
夜の森はとても静かで…危険だ。それを分かっていないのか、野営している冒険者達を遠目で見る。
「ほんと使えない」
この世界の全てが、あなたを愛し、あなたを支え、そしてあなたの紡ぐ物語を待っている。けれど、その過程で、あなたを試すこともあれば、奈落に突き落としもする。
「こんな頭の悪い連中が、勇者様のそばにいるなんて…」
神は最低だ。こんな奴らがいなければ、既に次の村に辿り着いて宿屋でそのお身体を休められたというのに。すると、野営の明かりにおびき寄せられるかのように、モンスターが闇に紛れて動く。
「ちっ」
舌打ちをして、モンスターに語りかける。
「やめろ、あそこには私の勇者様がいるんだ」
野営に視線を戻すと、なにやら足手まといABCの3人が話をしている。そっと近づき話を聞く。
「勇者様って、ほんとお優しいわよね」
こいつが足でまといA
「ああ、お前本当に気をつけろよ?勇者様が治療して下さったが…」
こいつは足でまといB
「まったく、僕の勇者様の手を煩わせるなよな」
こいつは殺す。足でまといCのナルシスト。
足でまといAが負傷した事で先に進むのをやめたらしい。腕を組み、腸が煮え繰り返るのを我慢する。
…弱すぎて腹が立つ。
「ふふ、でもさぁ。こんなこと言いたくないけど…勇者様ってちょっと固すぎない? 私だけかな?そう思うの…真面目すぎて、疲れちゃうっていうか…」
「まあな。ただ、ご自身にも厳しい方だ」
「ほんと肩が凝っちゃう」
足手まといAが、Bの肩に自分の頭を預ける。
「ねえ、私達二人だけで旅しない?」
「そうだな、そもそも俺の旅の目的は…」
勇者様の旅のパーティメンバーは、全員が魔王討伐に集まった訳ではなく、旅の中で出会いそれぞれの目的で旅をしている。しかし、こんな足手まといでも居なくなれば勇者様の心は傷つくのだろう。
「そうか!君たちが離脱するなら、必然的に僕と勇者様の2人っきりの旅になるな!」
……。
「ふふ、応援しているわ。」
「ありがとう!最近、勇者様が僕にとても優しくてね」
「おい、あまり調子に乗るなよ?」
白状すると、こいつらが羨ましかった。世界に勇者様と苦楽を共にする権利を与えられたこいつらが。背を向けて、大人しくさせていたモンスターに再度語りかける。
「殺せ、三人ともだ」
この森を抜けるだけの力もない上、戦闘は勇者様頼りの足手まとい。そうだ、結界を張らなければ。勇者様が雑音に目を覚まされるかもしれない。
「原型は残すな…教会で蘇生できないくらいにしろ」
__
森を進み、野営に近づく。ひとめ…あなたを見られないだろうか…美しく気高いあなたを。
「あれ、人…?もしかして冒険者ですか?」
美しい声に足を止める。私もこの世界の住人だ、あなたの存在感はとても眩しく、惹かれずにはいられない。振り返ると、その美しい姿に息を呑む。
ああ、愛おしい私の勇者様。
「はい…そうですが、あなたは?」
「私も旅の者です。仲間の姿が見えず探しています。女の子1人と男性2人の3人組を見ていませんか?」
お優しい勇者様。もう骨も残っていません。
「申し訳ありません。見ていませんね」
「そうですか…あなたも気をつけてください。この辺りの魔物は強いですから」
ああ、勇者様…
「ありがとうございます。気をつけます」
あなたの事だから、足手まとい達を探し続けるのでしょうね。うつむき、黙っていると、あなたが心配そうに私の様子を窺う。
美しい……。
いつか、あなたが私を正しく認識してくれる時、私の事を話しましょう。まずは、私の領域であなたを待ちます。
私の大切な…愛しの勇者様
次の村でお待ちしています。
Fin…
