短編夢
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放課後、街の通りを連れ立って歩く若者が四人。
「おしゃべりしてるとあっという間だね。あれがバーガーワールドだよ」
ファストフード店にしては大きめのハンバーガーショップをななしは三人に指し示した。
その三人とは泣く子も黙る闇人格トリオだ。
「ほおぉ……」
「ああここか。宿主サマは何度か来ていたな」
「オレはななしとしょっちゅう来てるぜ!(表に出てるのはほとんど相棒だけどな)」
「「なにぃ!?」」
常に優位に立っていたい生粋の王様気質である遊戯は、フフンと鼻で笑った。
「遊戯テメェ……!」
「мпевцхысиρшсърл……」
バクラは今にも掴みかかりそうな勢いで遊戯を睨みつけ、マリクに至っては古の呪文を唱え始める始末だ。
「みんなでわいわい行くのも楽しいね!」
しかしななしの笑顔がバクラの気を鎮め、マリクの詠唱を破棄した。
「そういえばマリくんはさ、お肉大丈夫?マリクくんは嫌いって言ってたけど……」
「オレは主人格サマとは好みが違うんでねぇ」
「そうなんだー」
「今のうちに肉を食い溜めておいてやるか……クク、ついでにななしも喰っちまえば一石二鳥だぜぇ」
じゅるり、とマリクは舌舐めずりをした。
「何さらりと付け足してんだ!ついでじゃねぇ!」
「わ、私もハンバーグにされちゃうの!?」
バクラがすかさずツッコむ。
もちろんカニバリズム的な意味ではないため、ななしのほうはボケツッコミに終わった。
「おいバクラ、貴様はもう一つ大事なことを見落としているぜ!」
遊戯がバクラを指差してびしりと言い放つ。
「はあ……?一々セリフ回し格好付けやがってよ」
ケッ、とバクラは毒づいた。
(なんだかバーガーワールドが遠いよ……そこに見えているのに)
そしてななしは別のことを考えていた。
「なあななし、マリクのことを呼んでみてくれ」
「え?マリくん?」
「ハッ……そうか!」
「ようやく気付いたようだなバクラ!」
何のことだかわからないななしとマリクは顔を見合わせる。
「ななし、愛称だ!オレ様のことも愛称で呼んでくれ!」
「オレにもイカすのを頼むぜ」
「ははははは!貴様ら嫉妬かぁ?」
((マリクの野郎ムカつく笑みだぜ!))
「えっ、ちょっと待ってね。うーんと……」
ななしは考え始める。
やがて閃いたようにポンと手を打った。
「『遊戯のすけ』に『バクラえもん』!」
さも名案とばかりにななしは自信ありげに二人を見た。
「ねぇどうかな?」
(どうするよオレ様!マリクの例でいえば無難に「バっくん」とかになるところじゃねぇのか??)
(ななしがせっかく付けてくれた愛称だ、断るわけには……!)
二人は心理的葛藤で苦しむ。
(ここは断って今まで通り呼んでもらうのか……)
(ななしからの愛称を受け入れるのかは……)
((自由だあぁぁぁぁーー!!))
「「悪いが今の話はなかったことで」」
某芸人のようなノリで結局二人とも愛称の話を取り消した。
賢明な判断と言えるだろう。
「そっか……うん、わかった」
しゅんとするななしを見て、遊戯とバクラのライフは大いに削られた。
「ガハハハハ!バクラぁ……貴様のニックネームはポケットに夢と希望が詰まってそうで良かったのによぉ」
「うるせえ!貴様の頭に絶望という名の楔をブチ込んでやろうかぁ!?」
このままではまた収拾がつかなくなりそうだ。
そこでななしが本来の目的に引き戻す。
「お腹すいたからそろそろ行こう?」
「そうだな。早くサ店に入ろうぜ!」
「喫茶店じゃないよ遊戯くん。似てるけどね」
遊戯のボケにななしはツッコミなのかボケなのか不明な返事をし、四人はようやくバーガーワールドの入口に向かった。
果たして無事にバーガーを食すことはできるのだろうか……。
To be continued...
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