短編夢
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とある休日の昼下がり。
ななしは自室のベッドに寝そべり、ファッション雑誌を見ながらくつろいでいた。
このコーデ可愛いな、真似してみようかな、などと思っていた時、スマホの着信音が鳴った。
「んー誰だろう」
ななしは手を伸ばしてベッドの端に置いてあるスマホを掴む。
見ると画面には″海馬くん″の文字が表示されていた。
「はいもしもしー」
『オレだ。今海馬コーポレーションにいる』
プツッ、ツーツー……。
「……あれ?切れちゃった」
一方的に切られてしまった海馬からの電話に首をかしげる。
「かける相手を間違えたのかな」
気にしつつもななしは再度雑誌に目を落とした。
しかし、暫くして再びスマホの着信音が鳴った。
画面には″海馬くん″の文字。
「もしもし?」
『フ……オレだ。今
プツッ、ツーツー……。.
「え、また切れた……?」
今回もまた同じように切られてしまったことは謎だが、海馬のテンションが微妙に上がっていたのも気になるところである。
しかも上空にいるらしい。
何かをひらめいたななしは「あっ」と小さく声をあげる。
「これもしかして……メリーさんの電話!?」
『メリーさんの電話』とは有名な怪談系都市伝説のひとつだ。
『メリーさん』と名乗る謎の相手が電話をかけてくる度、現在地を示しながら近づいてくる。
そしてついに『あたしメリーさん。今あなたの家の前にいるの』という電話が。
思い切って玄関のドアを開けたが、誰もいない。
やはり誰かのいたずらかと思った直後、またもや電話が……。
『あたしメリーさん。今あなたの後ろにいるの』
……というものだ。
「メリーさんの電話ならぬ瀬人さんの電話ってことだね!」
ななしは楽しげに声を弾ませた。
この『瀬人さんの電話』は実際問題別の意味でとても怖いはずなのだが。
そこでまた着信音が鳴った。
相変わらず画面には″海馬くん″の文字。
(来たあぁぁ!)
「もしもーし!」
『ワハハハハ!オレだ!今お前の自宅のドアの前にいる!!』
プツッ、ツーツー……。
(直接聞こえてるよぉ……!)
ななしは期待に胸をふくらませ、待ってましたとばかりに玄関へと向かった。
そしてワクワクしながら思いきりドアを開ける。
パァン!!
「……いない。やっぱりあの話の通り!」
ななしはドアを閉め、上機嫌にステップを踏み出す。
(これで次の電話がかかってきたら海馬くんがもう私の後ろにいるんだよね。すごいよ海馬くん!)
その海馬を実はななし自身が全力で粉砕玉砕してしまったことに全く気付いていない。
だがドアに密着し過ぎていた海馬にも非はある。
(バ、バカな!いずれはななしのナカへと続くオレのロードがこんなところで……ななし……!)
朦朧とする意識の中で海馬は叫ぶが、彼女に届くことはなかった。
海馬のロードがななしのナカではなくマインドクラッシュへと続いていることは間違いない。
「おかしいなぁ。海馬くんからの電話こないよー」
ななしがもう一度ドアを開けた頃にはもう海馬は弟のモクバによって回収された後だった。
fin.
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