短編夢
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
只今私、ななしは電車に揺られています。
杏子ちゃんと一緒にお出掛けするんだけど、杏子ちゃんが待っているのは二つ先の駅。
流れていく景色を眺めながら考える。
……最近、不思議に思っていることが一つ。
海馬くんとの遭遇率がすごく高いのは何でかな。
学校ではもちろんだけど、町中、公園、近所のコンビニでも。
そのたびに凄く楽しそうなんだよね、海馬くん。
わはははは!って。
今度会ったら聞いてみよっと!
一つ目の駅のホームへ入っていく電車。
ぼーっと窓の外を眺めていたんだけど……あれ?
なんだか見覚えのある白いコートの男の人がいたような?
気のせいだよね、うん。
プシュ―――……。
扉が開いて人が入ってくる。
その後、隣の車両から誰かがカツカツと歩いてきた。
あ、やっぱり。
「海馬くん!」
「わはははは!今日もななしは麗しいな!」
「海馬くんは今日も元気だねー」
何だかよくわからないけど、海馬くんが楽しそうで私も思わず笑顔になる。
「海馬くんは電車になんて乗らないと思ってたよ。それにしてもよく会うね」
「お前に触れようとするブタ共がいようものなら即刻消し去ってやろうと思ってな!」
要するに……
「痴漢から守るためにってこと?」
「そうだ。最近はしつこく付け回す不届きな輩も多いからな。だからこそオレは海馬コーポレーションの通信衛星による地上監視システムを駆使してななしの行動を追って来たのだ!」
え……海馬くんそれって……
「……とっても親切だね!ありがとう!」
「フ……見果てぬ先まで続くオレ達のロードが途絶えることなどない。終点のその先まで共に行くぞ!」
線路は続くよどこまでも……ってことなのかな。
次の駅。杏子ちゃんがキックステップをしながら電車に乗り込んだらたまたま海馬くんに足が当たっちゃって、海馬くんホームに蹴り出されてそのまま扉が閉まって発車しちゃった。あらら……。
ダンスが上手な杏子ちゃん、いつでも練習熱心だね。
***
自宅マンションでの夜、寝ようと思った時のこと。
騒がしいプロペラみたいな音が聞こえてきたからカーテンを開けてみると、びっくり!
なんとそこに海馬くんがいた。
前に言ってたやつかな。最近は不審者が多いって。
ヘリコプターをホバリングさせている海馬くんに向かって、騒音に負けないように窓を開けて叫んでみる。ごめんなさいご近所さん。
「夜の見廻りご苦労さまーっ!」
「わはははは!夜に一人では心細いだろう!?」
「うん、でも今から寝るところだから大丈夫だよ!また明日お話ししようね!ありがとうおやすみっ!」
眠気には勝てなくて窓とカーテンを閉め、すぐに私はベッドにもぐり込んだ。
お仕事も忙しいのに、海馬くんて本当にいい人だなぁ。
明日みんなにも教えてあげようっと!
fin.
20/24ページ