短編夢
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童実野高校での休み時間──
遊戯の机の周りにはいつものように城之内、獏良、そして奇妙にも海馬が取り巻いている。
彼が空気を読まずに(読めずに)会話に参加してくることは度々あるが、今回はななしのことが話題に上がっていたからだ。
ななしは他クラスの生徒ではあるが、杏子と同様に遊戯たちとはよく一緒に遊ぶ仲の良い女子だ。
「オレ、いつからだろうな……ななしを単なる仲間として見られなくなったのは。あいつと話すたび、触れるたびに胸が熱くなって──」
「城之内くん大嫌いだ!」
「初めからななしちゃんのこといやらしい目で見てたくせにね」
「黙れショウジョウバエ!」
もはや凡骨どころか馬の骨にもなれなかった城之内の精神へ、遊戯&獏良&海馬の三人によるダイレクトアタックが炸裂した。
共通の敵を前にした時の結束の力には、凄まじいものを感じる。
「お前らひでぇよ畜生!」
城之内は豪快に泣きながら教室を飛び出していった。
その後激突音と共に刈田先生の怒声が聞こえたような気がしたが、誰も気にもとめなかった。
「そういえばさ、ななしちゃんがまた皆で遊びたいって言ってたよ」
「本当?ボクもそう思ってたんだー。遊戯くんちには皆で遊べる良いゲームある?」
ドン★
「それなら王様ゲームをしようぜ!」
突然表の遊戯と入れ替わり、リアル王様が不敵な笑みを浮かべた。
「王様ゲームだと……?くだらん」
「海馬くんは俗な遊びが嫌いだもんなぁ」
「海馬、貴様は何もわかっちゃいないぜ!」
どこから取り出したのか、割り箸の端にペンで『王様』『1』『2』『3』『4』……と書きながら遊戯は話を続ける。
「王様と書かれた割り箸をドローした奴はどんな命令でもすることができるんだぜ。この意味がわかるか?」
「どんな命令でも……ははは、ふはははは!そういうことか!」
ドン★
「そういうコトならこのオレ様も
海馬のテンションが上がってきたところで、獏良もまた闇の人格へと変わった。
異様な雰囲気の遊戯(闇)・海馬・バクラの三人をクラスの生徒たちは不審に思ったが、フィールド魔法『オレたちの絶対領域』が発動されており、誰も干渉することはできない。
「つまり、命令次第でななしにあんなコトやこんなコトもできるわけだよな、王サマよぉ!」
(あんなコトや、こんなコト……)
三人の妄想は膨らんでゆく
***
「恥ずかしいからあんまり見つめないで……」
布擦れの音と、露になるななしの美しい脚。
ほんのりと上気した頬、微かに潤んだ瞳。
「お願い、これ以上はもう……」
しかし、容赦なく命令は下される。
「だめぇ、やめてっ……いやぁあ……!」
***
「とまあ、こんな具合に……って鼻血出てるぜ王サマ」
「貴様も自分の顔を鏡で見てみるんだな」
表の遊戯、獏良には気の毒なことこの上ない。
「チッ、きれいな顔してやがるな社長」
「ふん、これしきの妄想オレは幾度となく経験したわ!」
つまり妄想慣れしているわけだ。
「んだとぉ!?」
意味もわからない勝ち誇ったような会心の笑みを見せ付けられ、イラッとするバクラ。
その時、突如として遊戯の額にウジャト眼が浮かび上がった。
「貴様らがここまで変態だったとはな。これ以上ななしは汚させないぜ!」
「元はといえばテメェが王様ゲームを提案したのが悪いんじゃねーか!ノリノリだったくせによ!」
「そうだ遊戯、貴様の非を認めたらどうだ?妄想でも現実でもななしを我が物にしていいのはオレだけだ!」
海馬で少し論点がズレたが、聞く耳を持たず遊戯は二人に指先を向ける。
「罰ゲーム!!MIND-CRUSH!」
「「うわああああ!」」
妄想から始まる物語──
否、始まろうとした物語は闇の番人によって無事に終止符が打たれたのだった。
fin.
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