短編夢
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ブオォォォォオオ──
胸がすくような音を響かせ、快走する一台のバイク。
「ねえマリクくん!なんだか風になったみたい!」
「ははは。気持ちいいだろ?」
「うん!とってもいい気持ち! 」
念願のバイクに乗せてもらってご満悦のななしは、感嘆の声をあげた。
「ななし、もっと飛ばすからしっかりつかまっててくれ!」
「え……っわわ!」
スピードが上がって驚いたななしはマリクの言う通りに彼の腰に回していた腕に力を込め、背中にぴたりと密着する。
(……とは言ったものの、背中にやわらかい感触が……!)
ウブなマリクは自分にしがみつくななしを意識してしまい、かなり緊張していた。
「落ち着け……落ち着けボク……」
「何か言った?」
「いや!何でもないよ!」
平静を装いながら、快調にバイクを走らせる。
海までもう少し。
***
「さあ着いたよ」
目の前にはどこまでも広がる海。
それは眩しいくらい、太陽の光に反射してキラキラと美しく輝いていた。
「わぁ……!」
海面と同じように目を輝かせたななしは浜辺へと駆け出した。
マリクもななしの後を追って走り出す。
その状況は波打ち際でも延々と続いていた。
「マリクくん、こっちこっちー」
「待ってくれよななしー」
「えへへ。捕まえてみてっ」
「あははは。ななしは速いなぁ」
素でベタなことを繰り広げる二人は、似た者同士なのかもしれない。
やがて、マリクの手がななしの手を捕えた。
「よし捕まえた!」
「あっ……捕まっちゃった!」
ななしは嬉しそうに振り向いた。
繋いだななしの自分より小さな手から、心地良いあたたかさを感じる。
(こんな気持ちは初めてで)
「今日はななしと一緒に過ごせて楽しいよ」
(ボクはきっとななしのことが……)
「私もね、すっごく楽しい!」
(……好きなんだ)
マリクは己の胸の鼓動を感じ、繋いだ手をいつまでも離さずにいたいと思った。
そこへサーファーが突っ込んできてマリクが倒れるのは、わずか三秒後の話。
fin.
おまけ
~闇マリクの場合~
「えへへ、捕まえてみ──」
ギューーーーン!
ガシッ。
「クク……捕まえたぜぇ」
「速すぎるっ」
即終了。
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