短編夢
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魔術の呪文書の余白に、ペンでガリガリと文字を書きなぐる。
くるりと反転させて目の前の女の子に見せれば、返ってくるのは「えっ」という小さな驚きの声。
「パンドラさん、朝出かけたまま帰ってきてないの……?」
大きな瞳をいっそう丸くして、きょとんって感じの顔だ。
そう。今日はオレのマスターであるパンドラ様が奇術のショーを見せるってんで、この子──パンドラ様の心の恩人のななしちゃん──を呼んで二人で会う約束をしてたってわけ。
で、当の本人がいないってオチ。
この仮住まい中の地下室で何故オレが留守番してるのかってのは、まあ、置いといて。
ななしちゃんの隣にはオレと同じ名を持つしもべの魔術師──ブラックマジシャンが凛々しく立ち、斜め45度からの冷ややかな視線をこっちへ向けてくる。
「呆れたものだ。我がマスターを招いておきながら約束の時間に不在とは」
「別にすっぽかしてるわけじゃないと思うぜ。パンドラ様、ななしちゃんに会える日を毎日指折り数えるくらいめちゃくちゃ楽しみにしてたし」
「それはそれで嫌悪感を抱かざるをえないな。度が過ぎるようであれば排除も辞 さない」
「うっわめんどくさ!お前もうちょっと手心ってもんをさぁ……な、ななしちゃん」
「気安くマスターに同意を求めるな!」
つってもななしちゃんにはオレの声が聞こえないから、その都度書いて文字で伝えるしかねぇんだよな。
同名サンは会話の中継役をしてくれそうにねーし。
「連絡もつかないし、どうしたのかな。うっかり遅刻しちゃってるだけならいいけれど」
「マスター、恐れながら申し上げます。こちらでお待ちになってもいつ戻って来るのか定かではありませんし、またの機会になされてはいかがでしょうか」
「うーん。でも、ちょっと心配だね……」
同名サンはオレと同じように空間から魔術の呪文書を取り出し、サラサラとペンを走らせる。
そして、それを反転させると何食わぬ顔でオレに差し出した。
「あ?『我がマスターの貴重なお時間を無駄にするなど言語道断。帰らせてもらう』……?って、何でオレに筆談してんの?」
マジ必要ねーっつーか疎外感半端ないんだけど。無駄に達筆なのもなんか腹立つぅ。
「パンドラさんのショー、楽しみにしてたんだけどなぁ」
「然 らば、ご自宅にて代わりにこの私めがマジックショーを──」
「さあさあ、中に入って待っててくれよ!そのうち帰って来ると思うしさ!」
オレは急いでその旨を書き、ななしちゃんに見せる。
ま、これは一応パンドラ様のためでもあり、もっとななしちゃんと話したい自分のためでもあるんだけど。
「えっ、いいの?じゃあお言葉に甘えちゃおうかな。ねえブラックマジシャン、中で待たせてもらおう?」
「……はい。かしこまりました」
ななしちゃんナイスぅ〜!
あんなふうに可愛らしく小首を傾げて問いかけられたら、そりゃあもう折れるしかねーよなぁ。ひひひ。
忍び笑いをしていると、同名サンがキッとオレを睨んできた。おーこわ。
「ふふ、良かった。パンドラさんのブラックマジシャンも応対ありがとうね」
「いいえ〜こちらこそ。ななしちゃん相変わらずいい子で眩 しいわ」
「おい貴様、くれぐれも我がマスターに粗相のないようにな『無礼な真似をしたら処 す』」
「はいはいわかりましたよ……って、セリフと同時に文字で強めの副音声かぶせてくるのやめてくんない?」
もう勘弁して。
ニコニコ穏和 な光属性のななしちゃんとツンツン辛辣 な闇属性のこいつとが対極的すぎてマジ混沌 。
「それじゃあお邪魔しまーす」
「どーぞどーぞ。陰気な所ですがごゆるりと」
ななしちゃんと同名サンを地下室の中へ案内しながら、ちょっと虚しくなったわ。早く新居を探して引っ越さねーかなぁパンドラ様。
……本業休職中で犯罪組織の元構成員ってのがきちぃけど。顔割れてなければ、まあ、何とかなるか。
***
「タロット占いしてもらうのって初めて!どきどきっ」
「おっ、いいカードが出たわ。オレとななしちゃん相性抜群じゃーん」
「貴様、今イカサマしただろう」
パンドラ様の帰りを待って、オレたちは筆談を交えつつ会話を楽しんでいた。
けど、ななしちゃんに伝えようとして何か書くたびに同名サンの視線が刺さって痛い。かなり痛い。
「よお、そこの兄ちゃん。検閲は禁止だぜ?な、ななしちゃん」
「なになにー?」
「気安くマスターに話しかけるなとあれほど……!」
「オレのマスターじゃねぇし畏 まらなくたって別にいーじゃん」
「いいわけがないだろう!」
はあ。こいつは自分のマスターであるななしちゃんをえらく尊崇 してるからな。馴れ馴れしく絡んでくる奴を拒否りたくなるのも、まあ、理解はできる。
けどなぁ、それってななしちゃんの自由な交友関係の構築を邪魔することになるんじゃね?しもべがそこまで干渉するのもどーなん?
あー。もしかして、こいつ──
オレは魔術の呪文書に『ごめん。ブラックマジシャン同士で話したいことがあるからちょっと待ってて』と書き、ななしちゃんに見せた。
「うん。ゆっくりお話ししてきてね」
「ありがとーすぐ戻る!……つーわけで、お前ちょっとツラ貸せ」
「はあ……?断る」
少し離れた所に移動しようと同名サンの肩に回した腕は即振り払われたが、ななしちゃんが両手を小さくひらひらと振って「いってらっしゃい」と送り出す神アシストをしてくれて、オレはどうにか同名サンを地下室の隅まで引っ張ってくることができた。
さーてと、ななしちゃんのためにも一肌脱ぎますか。
「おい、一体何のつもりだ」
「それはこっちのセリフだっての。お前さ、いくらマスターのことが大切だからってさすがに排他的すぎるんじゃね?」
「何を言い出すかと思えば、そのような戯言 を……」
呆れた、とでも言うかのように奴はオレから目を逸らした。
ここはガツンと言ってやるしかねぇな。
「もちろん、大切にしたい気持ちはわかる。わかるけどさぁ、独占欲が強すぎてななしちゃんと仲良い奴に嫉妬 ってるようにも見えるぜ?お前がそんなんじゃななしちゃん彼氏も作れないよなぁ。あーあ、ななしちゃんかわいそー」
「なっ……私にはマスターのお人付き合いやご交際に差し出口する権利などないし、するつもりもない!」
「じゃあ何だよ。言行 不一致なんだよ」
「……ただ、害を及ぼしうるものからマスターをお守りしたいだけだ。無闇に牽制 しているわけではない」
ふーーーん。御尤 もな言い分ではある。
ん?ちょっと待てよ。
「パンドラ様はともかく、オレってななしちゃんに何か害を及ぼしてんの?」
「純真無垢でいらっしゃるマスターにとって貴様の存在そのものが害悪だ。見て窺 える素行の悪さと品の無さに加えて、主 譲りのインチキ手法に厚顔無恥──」
「ちくちく言葉の千本ナイフ酷すぎっ!」
くっそ……好き放題言いやがって……。
だが、ここで引き下がるオレじゃないぜ。こうなったらもう核心ついてやるしかねーな。
「話は済んだか?」
「まだだ。お前、本当はななしちゃんに恋焦がれて仕方ねぇんだろ?この際、全部吐いて楽に──」
「マスターにお仕えしてからというもの畏敬の念を抱くことは多々あれどそのように俗な下心を持って侍 したことなど一度もない!!ただの一度もな!!しもべの身でありながら何よりも尊いマスターに身勝手な独占欲を抱きマスターとご懇意 の方に醜い嫉妬の感情を向けるなど以 ての外 だ!!心に思うことさえ烏滸 がましい分不相応な恋慕 が許されようものか!!」
「……あ、ハイ。そうっすね……」
年季、入ってんな……。
自戒を込めて言ってんのが痛々しくてもう何も言えねぇ。
ほら、突然熱く語り出すからななしちゃんだってびっくりしてこっち見てんじゃん。
今さらハッとして咳払いしても本心を隠しきれてないぜ、もう一人のオレよ。
「お前マジで難儀な奴だな……ま、後で一緒に飲みにでも行こーぜ」
「馬鹿を言っていないでさっさと戻るぞ」
「イエッサー」
足早にななしちゃんのもとへ向かう同名サンの背には、哀愁が漂っていた……ような気がした。
「ブラックマジシャンたちおかえりなさいっ。お話し盛り上がっていたみたいだけど、もういいの?」
「いいのいいの。ただのレスバだから」
「はい。お待たせいたしまして申し訳ございません」
「ううん、私のことは気にしないで大丈夫だよ。それより、パンドラさんがまだ……」
あーそうだった忘れてた。ふわふわな優しい「おかえりなさい」が心地よくて、今ナチュラルにななしちゃんのしもべになりかけてたわ。
あんな話の後だからちょーっとだけ憚 られるけど……。
ま、誰かさんと違ってオレは自分に正直だからな。今まで通り好きなようにさせてもらうぜ。
「帰って来なかったら来なかったでオレは別にいいんだけど。そしたらななしちゃんに引き取ってもらう──」
「何事もなければ良いですね、マスター」
なーに心配そうなツラして言ってんだよ。目の前に立って筆談を阻止すんな。
「うん、そうだね。……あれ?着信、パンドラさんからだ!電話出るねっ」
スマホを手に取るとななしちゃんはぱっと表情を明るくして、通話を始めた。
あー、パンドラ様無事だったんだ。
話してる内容を聞くと、何かトラブルで遅れたけど急いで向かってるらしい。
「──はい、ありがとうございます……ふふ。ゆっくり待ってますので気をつけて帰ってくださいね……」
「ななしちゃんニッコニコで話しててかわい〜。まるで恋人の帰りを待つ乙女──」
「マスターはショーを楽しみになさっているだけだ!!」
「冗談だから杖向けんなって!黒魔導 のゼロ距離発動とか無理!」
この後、パンドラ様は無事ななしちゃんに奇術のショーを披露できましたとさ。
めでたし、めでたし……。
fin.
くるりと反転させて目の前の女の子に見せれば、返ってくるのは「えっ」という小さな驚きの声。
「パンドラさん、朝出かけたまま帰ってきてないの……?」
大きな瞳をいっそう丸くして、きょとんって感じの顔だ。
そう。今日はオレのマスターであるパンドラ様が奇術のショーを見せるってんで、この子──パンドラ様の心の恩人のななしちゃん──を呼んで二人で会う約束をしてたってわけ。
で、当の本人がいないってオチ。
この仮住まい中の地下室で何故オレが留守番してるのかってのは、まあ、置いといて。
ななしちゃんの隣にはオレと同じ名を持つしもべの魔術師──ブラックマジシャンが凛々しく立ち、斜め45度からの冷ややかな視線をこっちへ向けてくる。
「呆れたものだ。我がマスターを招いておきながら約束の時間に不在とは」
「別にすっぽかしてるわけじゃないと思うぜ。パンドラ様、ななしちゃんに会える日を毎日指折り数えるくらいめちゃくちゃ楽しみにしてたし」
「それはそれで嫌悪感を抱かざるをえないな。度が過ぎるようであれば排除も
「うっわめんどくさ!お前もうちょっと手心ってもんをさぁ……な、ななしちゃん」
「気安くマスターに同意を求めるな!」
つってもななしちゃんにはオレの声が聞こえないから、その都度書いて文字で伝えるしかねぇんだよな。
同名サンは会話の中継役をしてくれそうにねーし。
「連絡もつかないし、どうしたのかな。うっかり遅刻しちゃってるだけならいいけれど」
「マスター、恐れながら申し上げます。こちらでお待ちになってもいつ戻って来るのか定かではありませんし、またの機会になされてはいかがでしょうか」
「うーん。でも、ちょっと心配だね……」
同名サンはオレと同じように空間から魔術の呪文書を取り出し、サラサラとペンを走らせる。
そして、それを反転させると何食わぬ顔でオレに差し出した。
「あ?『我がマスターの貴重なお時間を無駄にするなど言語道断。帰らせてもらう』……?って、何でオレに筆談してんの?」
マジ必要ねーっつーか疎外感半端ないんだけど。無駄に達筆なのもなんか腹立つぅ。
「パンドラさんのショー、楽しみにしてたんだけどなぁ」
「
「さあさあ、中に入って待っててくれよ!そのうち帰って来ると思うしさ!」
オレは急いでその旨を書き、ななしちゃんに見せる。
ま、これは一応パンドラ様のためでもあり、もっとななしちゃんと話したい自分のためでもあるんだけど。
「えっ、いいの?じゃあお言葉に甘えちゃおうかな。ねえブラックマジシャン、中で待たせてもらおう?」
「……はい。かしこまりました」
ななしちゃんナイスぅ〜!
あんなふうに可愛らしく小首を傾げて問いかけられたら、そりゃあもう折れるしかねーよなぁ。ひひひ。
忍び笑いをしていると、同名サンがキッとオレを睨んできた。おーこわ。
「ふふ、良かった。パンドラさんのブラックマジシャンも応対ありがとうね」
「いいえ〜こちらこそ。ななしちゃん相変わらずいい子で
「おい貴様、くれぐれも我がマスターに粗相のないようにな『無礼な真似をしたら
「はいはいわかりましたよ……って、セリフと同時に文字で強めの副音声かぶせてくるのやめてくんない?」
もう勘弁して。
ニコニコ
「それじゃあお邪魔しまーす」
「どーぞどーぞ。陰気な所ですがごゆるりと」
ななしちゃんと同名サンを地下室の中へ案内しながら、ちょっと虚しくなったわ。早く新居を探して引っ越さねーかなぁパンドラ様。
……本業休職中で犯罪組織の元構成員ってのがきちぃけど。顔割れてなければ、まあ、何とかなるか。
***
「タロット占いしてもらうのって初めて!どきどきっ」
「おっ、いいカードが出たわ。オレとななしちゃん相性抜群じゃーん」
「貴様、今イカサマしただろう」
パンドラ様の帰りを待って、オレたちは筆談を交えつつ会話を楽しんでいた。
けど、ななしちゃんに伝えようとして何か書くたびに同名サンの視線が刺さって痛い。かなり痛い。
「よお、そこの兄ちゃん。検閲は禁止だぜ?な、ななしちゃん」
「なになにー?」
「気安くマスターに話しかけるなとあれほど……!」
「オレのマスターじゃねぇし
「いいわけがないだろう!」
はあ。こいつは自分のマスターであるななしちゃんをえらく
けどなぁ、それってななしちゃんの自由な交友関係の構築を邪魔することになるんじゃね?しもべがそこまで干渉するのもどーなん?
あー。もしかして、こいつ──
オレは魔術の呪文書に『ごめん。ブラックマジシャン同士で話したいことがあるからちょっと待ってて』と書き、ななしちゃんに見せた。
「うん。ゆっくりお話ししてきてね」
「ありがとーすぐ戻る!……つーわけで、お前ちょっとツラ貸せ」
「はあ……?断る」
少し離れた所に移動しようと同名サンの肩に回した腕は即振り払われたが、ななしちゃんが両手を小さくひらひらと振って「いってらっしゃい」と送り出す神アシストをしてくれて、オレはどうにか同名サンを地下室の隅まで引っ張ってくることができた。
さーてと、ななしちゃんのためにも一肌脱ぎますか。
「おい、一体何のつもりだ」
「それはこっちのセリフだっての。お前さ、いくらマスターのことが大切だからってさすがに排他的すぎるんじゃね?」
「何を言い出すかと思えば、そのような
呆れた、とでも言うかのように奴はオレから目を逸らした。
ここはガツンと言ってやるしかねぇな。
「もちろん、大切にしたい気持ちはわかる。わかるけどさぁ、独占欲が強すぎてななしちゃんと仲良い奴に
「なっ……私にはマスターのお人付き合いやご交際に差し出口する権利などないし、するつもりもない!」
「じゃあ何だよ。
「……ただ、害を及ぼしうるものからマスターをお守りしたいだけだ。無闇に
ふーーーん。
ん?ちょっと待てよ。
「パンドラ様はともかく、オレってななしちゃんに何か害を及ぼしてんの?」
「純真無垢でいらっしゃるマスターにとって貴様の存在そのものが害悪だ。見て
「ちくちく言葉の千本ナイフ酷すぎっ!」
くっそ……好き放題言いやがって……。
だが、ここで引き下がるオレじゃないぜ。こうなったらもう核心ついてやるしかねーな。
「話は済んだか?」
「まだだ。お前、本当はななしちゃんに恋焦がれて仕方ねぇんだろ?この際、全部吐いて楽に──」
「マスターにお仕えしてからというもの畏敬の念を抱くことは多々あれどそのように俗な下心を持って
「……あ、ハイ。そうっすね……」
年季、入ってんな……。
自戒を込めて言ってんのが痛々しくてもう何も言えねぇ。
ほら、突然熱く語り出すからななしちゃんだってびっくりしてこっち見てんじゃん。
今さらハッとして咳払いしても本心を隠しきれてないぜ、もう一人のオレよ。
「お前マジで難儀な奴だな……ま、後で一緒に飲みにでも行こーぜ」
「馬鹿を言っていないでさっさと戻るぞ」
「イエッサー」
足早にななしちゃんのもとへ向かう同名サンの背には、哀愁が漂っていた……ような気がした。
「ブラックマジシャンたちおかえりなさいっ。お話し盛り上がっていたみたいだけど、もういいの?」
「いいのいいの。ただのレスバだから」
「はい。お待たせいたしまして申し訳ございません」
「ううん、私のことは気にしないで大丈夫だよ。それより、パンドラさんがまだ……」
あーそうだった忘れてた。ふわふわな優しい「おかえりなさい」が心地よくて、今ナチュラルにななしちゃんのしもべになりかけてたわ。
あんな話の後だからちょーっとだけ
ま、誰かさんと違ってオレは自分に正直だからな。今まで通り好きなようにさせてもらうぜ。
「帰って来なかったら来なかったでオレは別にいいんだけど。そしたらななしちゃんに引き取ってもらう──」
「何事もなければ良いですね、マスター」
なーに心配そうなツラして言ってんだよ。目の前に立って筆談を阻止すんな。
「うん、そうだね。……あれ?着信、パンドラさんからだ!電話出るねっ」
スマホを手に取るとななしちゃんはぱっと表情を明るくして、通話を始めた。
あー、パンドラ様無事だったんだ。
話してる内容を聞くと、何かトラブルで遅れたけど急いで向かってるらしい。
「──はい、ありがとうございます……ふふ。ゆっくり待ってますので気をつけて帰ってくださいね……」
「ななしちゃんニッコニコで話しててかわい〜。まるで恋人の帰りを待つ乙女──」
「マスターはショーを楽しみになさっているだけだ!!」
「冗談だから杖向けんなって!
この後、パンドラ様は無事ななしちゃんに奇術のショーを披露できましたとさ。
めでたし、めでたし……。
fin.
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