短編夢
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獏良宅にて──
「オレは今回も戦士でいくぜ!」
「私はどうしようかな。種族も選べるんだよねぇ」
意気軒昂と宣言する城之内の横で、ななしはリストを見ながら思案していた。
冒険ボードゲーム『モンスター・ワールド』で遊ぶための設定をしているのは、おなじみの面々──城之内、ななし、闇人格の遊戯、闇人格のマリク、海馬──の五人だ。
「おいマリク、キャラクターシートにヒエラティックテキストで記入しても意味ないぜ!」
「日本語で書いてるんだよオレは」
「バカな……!オレにはこのテキストの意味が解読できる!」
「うるせぇよ海馬ぁ、だからオレは日本語で……」
プレイヤーたちが賑やかに自身のキャラクターを設定しているテーブルの反対側では、ゲームマスターであるバクラが腕を組んで指をトントンとさせながら一人で座っていた。
「オレの役職は社長しかあるまい」
「ならオレは王様にするぜ!」
「テメェらちゃんと職業リストの中から選びやがれ!」
ゲームマスターはご立腹の様子だ。
そして、そんなやりとりの間にななしは「私はエルフの商人にしよっと!」と、微妙なチョイスをしていた。
よくイメージされる弓や魔法は選ばず、商いの道に進んだらしい。
「待てななし、なぜ社長夫人にしないのだ?決戦前夜に愛を語らうお約束のイベントはどうするつもりだ?」
「えっ?」
「愛を語らうと言っても、そこに言葉は必要ない。限られた領域の中でただひたすら組み合い、魂で語るのみ!」
「ウザさ余って憎さが百倍だぜ海馬!ななしには王の妃が似合ってるんだ!」
(もういい、もうオレ様は何もツッコまねぇ……)
バクラは深いため息をついて黙し、城之内も半ば呆れていた。
「ねーねー、マリくんはキャラクター何にしたの?」
「これを見な。オレの設定はバッチリ終わってるぜぇ」
勝手な妄想設定で争っている海馬と遊戯は置いておき、ななしと城之内はマリクのキャラクターシートに注目した。
〈キャラクター名〉‐まりく
〈種族〉‐やみ
〈職業〉‐はかいかつどう
〈武器〉‐せんねんろっど
〈防具〉‐まんと・ゆにくろのふく
〈能力値〉
すばやさ‐10000
知性‐10000
力強さ‐10000
勇気‐10000
Lv.10000 HP‐∞
「マリくん無敵だね……!」
「はあぁ!?これじゃラスボスも瞬殺じゃねーか!」
「その紙見せろマリク」
マリクからキャラクターシートを取り上げ、バクラも内容に目を通した。
「…………………………」
「ホラホラ、さっさとデータを入力しなぁ」
「……ふざけるんじゃねぇ!」
バン!とテーブルを叩いてバクラが立ち上がった。
我慢の限界とばかりに一気に捲し立てる。
「ブチ殺すぞテメェ!ゲームマスターの立場がねぇじゃねーか!あぁ!?だいたいなぁ、能力値はダイスを振って決めるんだよ!もう無理だ!テメェらにTRPGは無理だ!」
「お、落ち着いてバクラくん!ああっどうしよう……」
ななしは助けを求めて、いつの間にか海馬との言い争いを終えていた遊戯のほうへ視線を向けた。
目が合いそれに応えるように遊戯は頷くと、懐からおもむろに数本の割り箸を取り出した。
「そんな時はコレだ」
「割り箸……?この間のボウリングの時みたいにチーム分けするの?」
ななしは首を傾げるが、バクラと海馬はハッとした顔で遊戯を見た。
「まさか、それはテメェ自身が幕を下ろしたあの……!」
「フン。まだ持っていたとはな」
二人にはこの割り箸の意味がわかったようだ。
「そう、こいつは単純にして究極の遊戯……」
「究極の遊戯……!」
ななしはゴクリと喉を鳴らす。
遊戯の顔に浮かぶのは、お得意の不敵な笑み。
「王様ゲームだ」
To be continued...
「オレは今回も戦士でいくぜ!」
「私はどうしようかな。種族も選べるんだよねぇ」
意気軒昂と宣言する城之内の横で、ななしはリストを見ながら思案していた。
冒険ボードゲーム『モンスター・ワールド』で遊ぶための設定をしているのは、おなじみの面々──城之内、ななし、闇人格の遊戯、闇人格のマリク、海馬──の五人だ。
「おいマリク、キャラクターシートにヒエラティックテキストで記入しても意味ないぜ!」
「日本語で書いてるんだよオレは」
「バカな……!オレにはこのテキストの意味が解読できる!」
「うるせぇよ海馬ぁ、だからオレは日本語で……」
プレイヤーたちが賑やかに自身のキャラクターを設定しているテーブルの反対側では、ゲームマスターであるバクラが腕を組んで指をトントンとさせながら一人で座っていた。
「オレの役職は社長しかあるまい」
「ならオレは王様にするぜ!」
「テメェらちゃんと職業リストの中から選びやがれ!」
ゲームマスターはご立腹の様子だ。
そして、そんなやりとりの間にななしは「私はエルフの商人にしよっと!」と、微妙なチョイスをしていた。
よくイメージされる弓や魔法は選ばず、商いの道に進んだらしい。
「待てななし、なぜ社長夫人にしないのだ?決戦前夜に愛を語らうお約束のイベントはどうするつもりだ?」
「えっ?」
「愛を語らうと言っても、そこに言葉は必要ない。限られた領域の中でただひたすら組み合い、魂で語るのみ!」
「ウザさ余って憎さが百倍だぜ海馬!ななしには王の妃が似合ってるんだ!」
(もういい、もうオレ様は何もツッコまねぇ……)
バクラは深いため息をついて黙し、城之内も半ば呆れていた。
「ねーねー、マリくんはキャラクター何にしたの?」
「これを見な。オレの設定はバッチリ終わってるぜぇ」
勝手な妄想設定で争っている海馬と遊戯は置いておき、ななしと城之内はマリクのキャラクターシートに注目した。
〈キャラクター名〉‐まりく
〈種族〉‐やみ
〈職業〉‐はかいかつどう
〈武器〉‐せんねんろっど
〈防具〉‐まんと・ゆにくろのふく
〈能力値〉
すばやさ‐10000
知性‐10000
力強さ‐10000
勇気‐10000
Lv.10000 HP‐∞
「マリくん無敵だね……!」
「はあぁ!?これじゃラスボスも瞬殺じゃねーか!」
「その紙見せろマリク」
マリクからキャラクターシートを取り上げ、バクラも内容に目を通した。
「…………………………」
「ホラホラ、さっさとデータを入力しなぁ」
「……ふざけるんじゃねぇ!」
バン!とテーブルを叩いてバクラが立ち上がった。
我慢の限界とばかりに一気に捲し立てる。
「ブチ殺すぞテメェ!ゲームマスターの立場がねぇじゃねーか!あぁ!?だいたいなぁ、能力値はダイスを振って決めるんだよ!もう無理だ!テメェらにTRPGは無理だ!」
「お、落ち着いてバクラくん!ああっどうしよう……」
ななしは助けを求めて、いつの間にか海馬との言い争いを終えていた遊戯のほうへ視線を向けた。
目が合いそれに応えるように遊戯は頷くと、懐からおもむろに数本の割り箸を取り出した。
「そんな時はコレだ」
「割り箸……?この間のボウリングの時みたいにチーム分けするの?」
ななしは首を傾げるが、バクラと海馬はハッとした顔で遊戯を見た。
「まさか、それはテメェ自身が幕を下ろしたあの……!」
「フン。まだ持っていたとはな」
二人にはこの割り箸の意味がわかったようだ。
「そう、こいつは単純にして究極の遊戯……」
「究極の遊戯……!」
ななしはゴクリと喉を鳴らす。
遊戯の顔に浮かぶのは、お得意の不敵な笑み。
「王様ゲームだ」
To be continued...
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