短編夢
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童実野町のボウリング場──
「おーい早くやろうぜー!」
シューズを履き替え、城之内は待ち切れないといった様子で皆を促す。
今日は城之内の他にななし、闇人格の遊戯、バクラ、海馬(空気を読まずについてきた)、闇人格のマリク(気がついたらいた)といったメンバーが集まり、合わせて六人だ。
「杏子ちゃん風邪で来られなくて残念だなぁ……早く良くなるといいね」
ななしが寂しげに呟くと、遊戯とバクラも同意して
「ああ。そうだな(杏子には悪いがお目付け役がいなくて好都合だぜ)」
「あいつならまあ大丈夫だろ(『私のななしに変なことしないでよね!』って何度メールが来たことか。あの女がいたら
心配そうにしつつも、二人が内心ガッツポーズを決めているのは秘密だ。
「ところで……」と遊戯がひとつの提案をした。
「人数も多いことだ、二つのチームに分かれて勝負をしないか?」
「あ、いいね。賛成!」
「よし。じゃあ皆これを引いてくれ」
ななしの賛成を得た遊戯は、どこからともなく六本の割り箸を取り出した。
「何故いつも割り箸持ち歩いてるんだ王サマ……」
「なんでもいいからさっさと引かせなぁ」
マリクが遊戯の手から割り箸を抜き取ったのを始まりに、皆次々と引いていく。
「
「耳元でうるせーな!じゃあオレもドロー!」
「テメェも十分うるせぇよ!」
こうしてクソデカボイスの海馬、城之内、バクラの三人も割り箸を引き終わり、残り二本。
「遊戯くんどっちがいい?」
「オレはどっちでも構わないぜ。さあ、ななしが好きな方を取るんだ」
「うーん……じゃあこっち!」
そして全員が割り箸を持った。
「皆、自分の割り箸の先端を見てくれ」
「おっ、『1』って書いてあるぜ」
と城之内、
「私も『1』だよー」
ななしも同じく、
「オレとななしは運命共同体だ」
さらに海馬が『1』の割り箸を示し、
「『1』ターンキル……」
とマリクも意味不明に続き、
「そしてオレも『1』」
遊戯がほくそ笑んだ。
「あれーみんな『1』なの?ねぇバクラく──」
「何なんだこの『ハズレ』ってのはよぉぉ!!」
ななしの問いかけに被さるタイミングでバクラが怒鳴り出す。
「よし、二つのチームに分かれたな」
「よしじゃねえ遊戯!マジメにやりやがれ!」
「は?オレはいつだって真剣だ。オレ・ななし・城之内くん・海馬・マリク連合軍はバクラ軍団に負けないぜ!」
「なぁにがバクラ軍団だ、オレ様一人しかいねぇじゃねえか!『●団ひとり』くらい矛盾してんだよ!」
二人のトークデュエルが始まり、城之内は呆れて溜め息をつくが、マリクは至極楽しげにその様子を眺めている。
「いつになったら始められるんだよ……あ、ななしと海馬はどこ行った?」
「奴らならボールを選びに行ったぞ」
「ああそうか!よっしゃ、ジャストフィットのを見つけてくるぜ!」
「オレも球転がしのボールを選びに行くかねぇ」
未だ火花を散らしている二人を残し、城之内とマリクもボール選びに向かった。
「実は私ボウリング初めてなんだよね……ねぇ海馬くん、これなんかどうかな?」
「ななしにはそれくらいが丁度いいだろうな。持ってみろ」
ななしは言われるままにボールを持ち上げるが、あれこれと手の向きを変えて首を傾げている。
「どうした?」
「えっと、穴にどうやって指を入れたらいいかわからなくて……」
「フ……ならば自分の身をもって経験してみるといい。オレが指使いをその体に教え込ん──」
「死にさらせぇぇぇ!!」
海馬の
「おのれ城之内……!」
「死の闇が迎えに来たぞ」
さらにマリクが仕込み杖になっている千年ロッドの切っ先を、倒れた海馬の喉元にピタリと突き付ける。
「わわわ、ちょっとマリくんまで何してるの!?ケンカしちゃだめだよ!」
チッと舌打ちしながらもマリクは刃をしまった。
「悪いことは言わねぇ、海馬には近づくな」
「フン、凡骨ごときがオレとななしの関係を引き裂こうというのか」
「まだ言うかてめえ!」
「ねーねー、今はボール選んで戻ろうね!」
ななしに制止され、ようやく本来の目的を果たした四人は元の場所へ戻った。
「──ったくテメェはいつもズリィ真似ばっかしやがってよ!」
「貴様がそれを言うか?オレはあの時のイカサマを忘れはしないぜ。何がスーパークリティカルだ、何がスゥパァクリチカルだ。笑わせるぜ!」
「言い直す必要がどこにあった!?腹立つなクソっ!」
TRPGでの出来事に触れつつ、今もなお遊戯とバクラのトークデュエルは続いていた。
「おいおい、まだやってたのかよ!?お前らも早くボール選んでこいよ!」
城之内が二人の背を押して強制的に送り出し、そこへななしも声をかける。
「そしたらまたちゃんとチーム決め直そうね」
「ああ。今度はしっかりグーとパーで三人ずつ分かれような」
「手のひらくるっくるかよ!」
すかさずバクラはここ一番のツッコミを入れるが、遊戯はシカトを決め込んでいる。
「ほぉらほぉら……ぼくドラえもん」
「あははは!マリくんおもしろーい!」
両手にボールをぶら下げてマリクははしゃぎ、ななしはそれを見て笑う。
「バクラえもんも早く持ってきなぁ」
「うるせぇマリク!ネタ使い回しするんじゃねえ!(『苦笑い0円(前編)』参照)」
色々あったが、ようやく全員がスタンバイフェイズに入った。
そしてこの後、チーム分けのための壮絶なジャンケンが繰り広げられようとしていた……。
To be continued...
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