短編夢
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色々と問題を起こしながらも、分速3mのペースでようやくバーガーワールドの入口前に着いたななしたち一行。
だがここでまた新たな問題が生じていた。
「お腹すいたねー。ね、バクラくん」
「ここまでクソ長かったしな。な、遊戯」
「人生ってのはままならないぜ。な、マリク」
「「「…………………………………」」」
最後のパスに応答がない。
つまり一人足りない。
「マリくんがいない!?」
「どこへ行ったんだアイツはぁ!!」
あたふたと慌てるななしとキレ出すバクラ。
さらにななしは店の前の植込みの中を懸命に掻き分け始める。
「マリくんがいないよー!」
「落ち着けななし!そこには絶対にいねぇ!」
「貴様こそ落ち着いたらどうなんだバクラ。ギャーギャーと見苦しいぜ」
「……っつーテメェはどこ探そうとしてるんだよ!」
植込みを掻き分けているななしの後ろに一緒にしゃがみこみ、遊戯は彼女のスカートの裾に手を伸ばす。
しかしそれは当然バクラによって阻止された。
「オレ様だって実際そうしたことは一度もないのによ!(しようと思ったことは何度もあるがな!)」
「そんなことななしにしてみろ、地獄が待ってるぜ!」
「自分はどうなんだよ……!」
こめかみに青筋を立てるバクラ。
しかし遊戯は怯まない。
「二人とも何の話してるの?……あ、あれマリくんじゃない!?」
ななしは立ち上がって店の脇を指さした。
「うそぉ……」
「マリクの奴……」
「おいおいあそこは……」
「「「ドライブスルー!!」」」
キレイにハモった三人の声の先には、行方不明だったマリクの姿があった。
彼は徒歩で平然とドライブスルーを敢行し、注文のマイクに向かって何かをしゃべっている。
『ご注文をどうぞ』
「この店で一番高いのをよこしなぁ」
『え……はい、メガ・ワールドになります。おいくつですか?』
「オレのバースデイはな、奴が十歳の時……」
『は……?』
店員はバーガーの個数を尋ねたのだが、マリクは年齢と勘違いしていた。
「すみませーん!今のは全部無しでーす!」
そこでななしたちが走り込んで来て、すぐにキャンセルした。
「手間かけさせやがって……もう我慢できねぇ!」
「マリク、やはり貴様はルールを守れなかったようだな」
「秩序なんてオレには関係ないんでねぇ」
再び三人の間に険悪な空気が漂う。
「だいたいマリク、貴様が来ることにオレ様は反対だったんだ!」
「ななしが見てる前じゃなかったらとっくにマインドクラッシュだぜ!」
「マリくんは初めて来るんだから仕方ないよ。ねね、早く中に入ろう」
ななしがマリクの前に割って入った。
こうなっては遊戯もバクラも手が出せない。
「ななしは優しいねぇ。同じ女でも姉上サマとは大違い大違い……」
どうやらイシズの闇マリクに対する扱いは悪いようだ。
~~~~~~♪
と、そこでななしの鞄の中でスマホの着信音が鳴った。
「あ、ごめんねちょっと電話………もしもし。……えぇ……わかったぁ…」
ななしは電話を切って、はぁとため息をつく。
遊戯からどうしたのかと尋ねられると、残念そうに話し始めた。
「家族からでなんか急用らしくて今すぐ家に帰ってこいって。ごめんね、後は三人で楽しんで……じゃあまたね!」
くるりと背を向けて走り出す。
ななしの後ろ姿を見送りながら三人は呆然と立ち尽くしていた。
「あぁりえない……」
「マジかよ……」
「もうオレが出ている必要はないぜ……」
こうして失意のまま三人とも表の人格へとチェンジした。
そしてその後、遊戯と獏良とマリクは平和にバーガーを食したのだった。
……マリクに関してはもちろんハンバーグ抜きで。
fin.
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