-
土門
取られたものを持ち主に取り戻すことが、刑事の誇り…
-
マリコ
でも、亡くなった人の無念を晴らすのは土門さんたちにしかできないし、その声を残された人に届けることは、私たちにしかできない仕事
-
マリコ
今回わかったわ
篠宮さんは刑事としてだけじゃなく、人として揺るぎない強い信念があるってこと -
土門
お前が言うか…
-
マリコ
え?
-
土門
揺るぎないどころか、絶対に譲らないという意味では、篠宮もお前もいい勝負だと俺は思うがな
-
マリコ
そう?
-
マリコ
私はそんな刑事さんをもう一人、知ってるわね
-
土門
えっ?
-
振り返ったマリコは意味ありげに土門を見て笑っている。
-
土門
なんだよ?
-
マリコ
別に
-
土門
そういえば、ニッケル合金の鑑定、お前がみんなに働きかけてくれたらしいな
-
あの時、聴取をしている隣室で「一つ気になっていることがある」と漏らした土門の言葉を君嶋も聞いていた。
だから詳しい鑑定結果が出たあと、君嶋は鑑定書を土門に届けた。
その時、君嶋が言っていたのだ。 -
「『土門さんが引っかかった以上、調べる価値はあるわ』そう、マリコさんが自信を持って頷くので、僕たちも賭けてみたんです」と。
-
マリコ
ええ
-
土門
おかけで浦井を追い詰めることができた
-
マリコ
私は当たり前のことをしただけ。
土門さんの刑事の勘、私は信じてるもの -
土門
…………………
-
土門は息を飲む。
-
これ以上の褒め言葉があるだろうか。
-
土門は息苦しさに眉を潜めた。
いつまで人畜無害な仕事仲間、というポジションでいられるだろう。
正直、今でもかなりキツイ。 -
そろそろ………。
土門が手を伸ばした時、無情にもスマホが鳴った。 -
土門
土門だ。
転落死?
すぐに向かう -
土門には予感がしていた。
この事件が終わったら。 -
土門
榊、話したいことがある
-
マリコ
ええ。
事件が解決したら…ね -
マリコも気づいていた。
この事件が終わったら。 -
何かが変わる、かもしれないと。
タップで続きを読む