『太陽になりたい男』編

  • 土門

    辻堂さんが戻ったら、ソリスラボはもっと強い企業になるな。
    その分、敵も多そうだ

  • マリコ

    庄司さんに指示を出した相手は?

  • 土門

    捜査はこれからだ。
    必ず突き止めてやる

  • マリコ

    この先の未来を生きていく人を照らす…

  • マリコ

    科学は希望ね

  • 土門

    うん

  • 土門

    俺たちも下の世代に渡していけるものがあるかな

  • マリコ

    特別なことじゃなくても、君嶋さんも亜美ちゃんも、きっと何か受け取ってくれている。
    そう思いたいな

  • 土門

    うん

  • 並んで歩くうち、土門が口を開いた。

  • 土門

    とはいえ、少し心配だな…。
    相手の都合も考えず仕事を押し付けたり、あと先考えずに危険に飛び込んだり…そういうのはあいつらに渡していくなよ

  • マリコ

    ええ?
    私、そんなことしないわよ

  • 土門

    ……………

  • 知らぬは本人ばかりなり。
    土門は苦笑するしかない。

  • マリコ

    土門さんの事件解決にかける執念は、蒲原さんに受け取ってもらえるといいわね

  • マリコに言われて、土門は庄司の取り調べを思い返した。

  • 『どうしてそう簡単に、犯罪に手を染めるんだ?』

  • その答えは“太陽”かもしれない。

  • どんな明かりでもいい。
    闇に落ちることがないように、みんなに小さな光があれば…。

  • 土門はマリコを見て、目を細める。

  • マリコ

    なに?

  • 土門

    いや。
    こんなに眩しい光なら、どんな闇も照らすだろうと思ってな

  • マリコ

  • 土門

    ほら、戻るぞ。
    下の世代をビシビシ鍛えないとな

  • 照れを隠すためだろうか、ぶっきらぼうな口調。

  • マリコ

    蒲原さんが気の毒ね

  • 土門

    そのセリフ、そっくりそのまま返すぞ

  • マリコ

    ちょっと、どういう意味?

  • 土門はニヤリと笑うと、足を速める。

  • マリコ

    あ、ちょっと待ってよ!

  • 土門

    置いてくぞー

  • マリコ

    もう!

  • マリコは駆け出す。

  • 光さす、土門の背中を目指して。

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