-
土門
初美さん、若葉さんに打ち明けたんだってな
-
マリコ
ええ。
よかった -
土門
思い出の卵焼きが二人を結びつけたのか
-
マリコ
ねえ、土門さんの思い出の料理って何?
-
土門
おふくろの握り飯だ
-
マリコ
私もお母さんの料理食べたくなっちゃった。
久しぶりに電話してみようかな -
土門
いいんじゃないか。
お袋さん、喜ぶぞ -
マリコ
うん
-
マリコはさっそく自宅に電話をかけてみた。
-
マリコ
📞
もしもし母さん? -
いずみ
📞
マリちゃん、どうしたの?
何かあった? -
いずみの驚いたような、気遣うような声が懐かしい。
-
マリコ
📞
ううん。
久しぶりに母さんの手料理を思い出して電話しちゃったの
-
いずみ
📞
まぁ!
嬉しいこと言ってくれるわね -
その時、背後で土門の電話が鳴った。
-
土門
📞
はい、土門 -
いずみにも声が聞こえたのだろう。
-
いずみ
📞
マリちゃん。
土門さんと一緒なの? -
マリコ
📞
ええ、そうよ。
今ね、ある事件のことで、土門さんと思い出の料理の話をしていたの -
いずみ
📞
なんだ、そういうこと!
土門さんの思い出もお母さまの手料理なの? -
マリコ
📞
お母さんの握り飯だって言ってたわ -
いずみ
📞
ふぅん。
ね、マリちゃん -
マリコ
📞
なに?? -
いずみ
📞
週末に母さんの手料理を食べに帰ってきなさいよ。
土門さんも一緒に -
マリコ
📞
え? -
いずみ
📞
同じ握り飯は作れないけど、私のおにぎりも食べてみてもらいたいわ。
父さんには好評なのよ -
マリコ
📞
うん。
母さんのおにぎり、私も美味しいと思うわ -
いずみ
📞
そうでしょ?
マリちゃんに作り方を教えてあげる -
いずみ
📞
そうしたら、今度はあなたが土門さんに作ってあげなさい -
マリコ
📞
え? -
いずみ
📞
新しい思い出の料理を作ったらどう?
二人で -
マリコ
📞
母さん……… -
いずみ
📞
待ってるわね、マリちゃん -
いずみとの通話を終えると、マリコは土門に母との会話を伝えた。
-
マリコ
無理にじゃないの。
もし都合がついたらで -
マリコは遠慮がちに「どうかしら?」と尋ねた。
-
土門
そりゃ、楽しみだな。
ぜひ榊家の握り飯をご馳走になりたいものだ -
マリコ
本当?
母さんに伝えるわね -
土門
ああ。
榊監察官にも手土産を用意しないとな -
マリコ
父さんに?
-
土門
挨拶。
させてくれるんだろう? -
穏やかに微笑む土門に、うなずくマリコの頬が赤いのは…夕陽のせいだろうか。
タップで続きを読む