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マリコ
植物のように人も、耳には聞こえない悲鳴を発することがあるのかもしれないわね。
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土門
植物の悲鳴は科学で聞くことができたじゃないか。
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マリコ
心の悲鳴もいつか、科学で聞けるようになれたら…。
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土門
救える…かも、しれんな。
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マリコ
ええ。
きっと犯罪を犯す前に、手を差し伸べることができる。 -
土門
だが本当は、聞こえるているんじゃないか。
大切な人、近しい人の心の悲鳴は。
何より大事なのは目を逸らさず聞こうと努力することだろう。 -
マリコ
いつか。
もし、私の心が悲鳴を上げたら…。
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土門
「ちゃんと聞いてやる」と言いたいところだが、やっぱり無理だな。
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マリコ
え?
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土門
お前の心が悲鳴を上げるまで放っておくなんてこと、俺にはできん。
その前に救い出す、必ずな。
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マリコ
じゃあ、私も。
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土門
ん?
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マリコ
その時は、土門さんを救ってあげるわ。
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土門
期待してるぞ。
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「まかせて」とドヤ顔のマリコに土門は苦笑する。
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もうとっくに救われてる。
きっと、出会ったその時から。
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