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マリコ
麗華さんを救えたのは野鳥たちのおかげ。
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葦の原の頭上を越えていく鳥たち。
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マリコ
ありがとう。
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土門
今鳴いていた鳥たちにも、足輪のついているものがいたかもしれないな。
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マリコ
そうね。
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土門
鳥たちを見守る…か。
俺も欲しいな。 -
マリコ
え?
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土門
俺の手元に留まらないなら、せめて見守っておきたい。
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マリコ
何のこと?
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土門
いつもあちこち飛んで行っちまうヤツのことだ。
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土門はマリコをチラリと見ると、実力行使に出た。
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マリコ
ちょ、ちょっと、土門さん!
何するの!? -
マリコは焦るが、土門にガッチリ捕まって動くに動けない。
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土門
ん?
飛び立つ前に足輪の代わりをつけようと思ってな。 -
マリコ
でも、こんなところで…。
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土門
葦が隠してくれてる。
誰にも見えないさ。 -
黄色いニットの襟元には、足輪代わりの赤い印。
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見守っている。
傷つかないように。
幸せであるように。 -
この大空を自由に飛び回る、白衣の鳥を。
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