三竦み敵対関係解消後会話その5

  • 黄泉

    雷禅、ちょっといいか?
    昼間聞こえてきたんだが、幽助と何かトラブルか?
    怒鳴り合っていて、殴り合い寸前みたいだったが?

  • 雷禅

    ああ……ちっ、厄介な耳だなそれ。

  • おおかたアレだろ。
    嫁とよりを戻すことはできたっていうのに、息子がどうにも懐かなくてイライラするってところか。

  • 雷禅

    るせーよ。
    ……幽助の野郎、俺が後ろに立っただけで、ぎょっとして飛び退きやがる。
    親をバケモノみたいに扱いやがって……。

  • 黄泉

    お前なあ……。
    お前が幽助に課した訓練内容は、かなり過酷だとは知っているぞ。
    状況が状況だったとはいえ、親と思えないような扱いをしておいて、今日からは別だ、というのは、単なるお前のワガママだ。

  • ここが大好きな人間界でなくてよかったなあ、魔界最強の男。
    向こうは今、そういうのにうるせえらしいから、あっという間にお縄だぜ?

  • 黄泉

    まず、一度ちゃんと幽助とそのことについて話をしろ。
    今日から自分の都合に合わせてお前も態度を変えろなどとは、最悪の対処法だぞ?

  • 雷禅

    わかっちゃいるんだが……くそっ!!

  • 黄泉

    まず、不本意なことを強いたこと、状況的なこともあったとはいえ、乱暴な扱いをしたことを謝ることからだぞ?

  • 雷禅

    わかっちゃいるが、タイミングがよお……。

  • 黄泉

    命を削るほど求めた奥方が、自分の命と引き換えのように残した息子を、そんなぞんざいに扱えるお前の気持ちが理解できない。
    なぜそんなことをする?

  • 雷禅

    ……。

  • ま、こいつはそういうことができねえ男よな。
    だから、欲しいものに限って、なかなか手に入らねえ。
    はたで見ている分にゃ面白えが。

  • 雷禅

    なんだとこの……!!

  • 黄泉

    軀。
    悪いが少し黙っていてくれないか?

  • 黄泉

    雷禅。
    気恥ずかしいのは理解する。
    だが、お前、一度亡くなる間際に、幽助の前でかなりの醜態を演じたらしいな?
    そんな事実があるにも関わらず、今更になって、どうだっていいような体面なんかが、我が子より大事か?

  • 雷禅

    ……。

  • 黄泉

    幽助の気持ちになってみろ。
    自分ではどうにもできないような強さの、父親を名乗る怪物に、母親を人質に取られて、家族ごっこを演じさせられているような状況だと思わないか?

  • 黄泉

    これは一体、どんな地獄なんだ?

  • 雷禅

    そうだな。
    ……ああ、わかっているのにな……。

  • 黄泉

    まず、話せ。
    二人きりの方がいい。
    でも、最初に何を言われても、かっとして危害を加えるようなことはないと、名誉にかけて約束するのを忘れるなよ?

  • 雷禅

    ああ……すまねえ。

  • 雷禅

    ……今から、幽助の部屋に行ってくる。
    まだ起きてっかな……。

  • 黄泉

    健闘を祈る。
    大丈夫だ。
    ……ここは素直にな。
    いつものひねくれ癖は放り出して、腹を割るんだ。

  • 雷禅

    ……ああ。

  • 雷禅、ゆっくりと立ち上がり部屋を出ていく。
    結果として、二人で呑むことになる、黄泉と軀。

  • ほお。
    おめえでも、まともなこと言うことはあるんだな。

  • 黄泉

    感謝する、軀。
    あそこで憎まれ役を買って出てくれたから、雷禅の怒りが俺に向かずに、素直に聞いてくれた。

  • ……さあな。
    ま、これであの一家が上手く行けば、魔界のためにもなる。

  • 黄泉

    ふふ……そうだな。

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