三竦み敵対関係解消後会話その8

  • あの老人が、噂の霊光波動拳の幻海師範……大した人だ。

  • 雷禅、幽助を通じて、おめえに紹介してもらって良かったぜ。
    有意義だった。

  • 黄泉

    そこは軀に全面的に同意だ。

  • 黄泉

    今の時代、あれほどの人物がいるとは。
    少し、人間という種族に対する認識を改めねばなるまい。

  • 雷禅

    おめえらがそういう感覚を持ってくれてありがてえぜ。
    今後の魔界と人間界、霊界の関係は、今まで通りではだめだって、実感してもらうのが目的だからな。

  • おめえの嫁と会った時にも思ったが、魔界的な価値観だけでは、もう通用しない時代だな……。

  • 黄泉

    ほお。
    あの魔界中心主義の立場を崩さなかった軀の口から、こんなセリフが聞けるとな……。

  • 黄泉

    時代の流れは思いのほか速い、か。

  • 魔界を護るって、俺の立場は変わってねえよ。
    だが、そのための方策は、今までと同じでは、全く現実に即さなくなっちまった。

  • 雷禅

    俺が、嫁に会ってから、うすぼんやり考えていたことが、実体を持って目の前に現れた。
    扉が開けられて、ぞの向こうが誰にもはっきり見えちまった時代ってことだ。

  • 雷禅

    今更、扉を閉めても無駄だってことよ。
    誰にでも、その扉は見えるようになっちまったんだからな。

  • 黄泉

    皮肉なものだな。
    蔵馬たちが魔界に帰還するきかっけになった、仙水なる心を病んだ人間の男は、魔界の扉を開き、人間界を破滅させようとしたが……。

  • 黄泉

    どちらかというと、それで破滅しかねないのは魔界のように思えるな……。

  • 雷禅

    嫁が通じてる、密教の神仏のいる世界なんてのが、別にあるってんだからな。
    あの脆弱な人間が、連中の髪の毛一筋だけの力を借りても、俺みたいなのを圧するんだからな。

  • 雷禅

    ま、ご本尊がお出ましになれば……って話よ。
    嫁の話によると、今までの魔界としての基準も強さも、通じるもんじゃないらしい。

  • かなりの程度、人間の宗教界とも連携しないと何も進まねえな。

  • それと、飛影から報告のあったやつ……霊界にかなり昔からはびこっている、一種の邪教ってのが気になるところだ。

  • 強烈に弾圧されても、手を変え品を変え甦るらしいが……どうも臭いな。

  • 雷禅

    おめえもそう思うか。
    倅もおめえとこのカレシと一緒に対応したことがあるみてえだが……。

  • 雷禅

    どうも、ただのテロ集団じゃねえぞ、あれは。

  • 黄泉

    恐らく、現閻魔大王はじめ、歴代の霊界の統治者が、暗然と利用していたということだろうが……。

  • 黄泉

    しかし、それにしても生命力が強すぎるのが気になるところだ。
    不自然に思えるな。

  • 雷禅

    恐らく、俺でさえ生まれるずっと前から、魔界霊界人間界の裏で暗躍していた"何か"がいるはずだ。

  • 雷禅

    三つの世界を対立させて、何らかの利益を得ている何者かが存在するとしか思えねえが……。

  • 敵の姿がまだ見えねえ……か。
    大した奴らだな。
    何者か、俄然気になるぜ。

  • 雷禅

    ……その辺についてな。
    嫁から聞き込んだ話がある。

  • 雷禅

    こっからが本題よ。
    このことは、現時点では他言無用だ。
    身内にもだぞ。
    いいな?

  • 黄泉

    やれやれ。
    ごく普通のシングルファーザーに戻れる日なんぞ、当面来そうにはないな。

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