三竦み敵対関係解消後会話その4

  • 黄泉

    まあ、その、修羅のことばかりか、俺自身も次にトーナメントに出場するのだったら、もっとしっかりせんとな。
    あれではな……。

  • 雷禅

    孤光にボコられたんだったな。
    ま、相手が悪いぜ。
    けけけ。

  • 黄泉

    ……勝てなかったのは、まあ仕方ない。
    実力を客観的に評価して、ごく当たり前の結果に過ぎない。
    しかしな……。

  • 雷禅

    なんだ?
    奥歯にものが挟まったみてえな言い草だな。
    何に納得してねえんだよ?

  • 黄泉

    ……あの目がな。

  • 雷禅

    ああん?

  • 黄泉

    彼女は、特に何か口にした訳ではない。
    しかし、盲目の俺にもはっきりわかった。
    無言のうちに、俺と雷禅、お前を比べて値踏みし、取るに足らないと斬り捨てる、あの雰囲気が……。

  • なんだ、いつからそんなにナイーブになりやがった、てめえ。
    この化け物と比べられちゃあ、誰だっておんなじような評価だろ。

  • 黄泉

    わかってるんだ。
    理屈ではわかってるんだ。
    だが、納得いかないんだ。
    こういう感情に流されない自分くらいは、手に入れたと思っていたのにな。

  • 雷禅

    そこに気付いたのかよ。
    じゃあ、もう一つ叩き潰してやるか。
    そこの軀な、ブチ切れると、全盛期のオレを、瞬発力で上回るくらいの強さなんだよ。
    だが、あの大会ではブチ切れとは程遠かった。
    意味がわかるか?

  • 黄泉

    ……ああ……。

  • おい。しっかりしろ。
    死にたくなっても、オレらくらいになると、人間様と違って、気軽に木にぶらさがる訳にはいかねえんだぞ?

  • 黄泉

    ……結局、俺は自分が魔界の頂点に君臨する実力があると、勘違いしたマヌケだったと。
    すまないな。
    500年間、さぞ滑稽だっただろう。

  • 雷禅

    だがな、その俺を最終的に叩き潰したのは、人間の嫁だぜ。
    人間なのに、人間だから、な。

  • その苦みは大切にしな、黄泉。
    いつか、おめえを救うこともあるだろうさ。

  • 黄泉

    ……飲みたい気分だ。
    頼めるか?

  • 雷禅

    ま、つきあってやるよ。
    二日酔いが酷かったら、嫁に頼んでやる。

  • コイツ、なにげに三匹の中で一番酒にも弱そうなんだよな。

  • 黄泉

    トドメを刺すな。

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