霊界フィクサーぼたん、三竦みと交渉する

  • ぼたん

    ああ、お待たせしちゃってすんませ~~~ん!!
    ちょっと審判の門でひと悶着が

  • 雷禅

    いや、そういうこともあろうかと、全員時間に余裕はある。
    そんなにかしこまらなくていいぜ、嬢ちゃん。けけ。

  • 初めまして、だな。
    俺が三竦みの一角の軀だ。
    お前は、霊界フィクサーの、ぼたんだな?

  • ぼたん

    初めまして!! 
    ぼたんですぅ!! 
    いや、軀様ってお噂には伺ってましたが、オーラが凄いですね!!

  • 黄泉

    彼女は、ひときわ妖怪らしく威圧感が……という訳だね。
    さて、俺は黄泉。
    三竦みでは一番若く、蔵馬の昔馴染み。
    そして、この因業な古狸二人にいじめられている可哀想な妖怪だ。

  • ぼたん

    あははは……ご苦労されてますね……。

  • ぼたん

    (この人のせいで三竦みの対立構造が固まってしまったんじゃなかったっけ……? いじめられてる……?)

  • 雷禅

    早速はじめるか。
    ぼたんよお、審判の門でひと悶着っていうと、閻魔大王のことか?

  • ぼたん

    あ、はいはい、そうなんですよぉ。
    閻魔大王支持派の人たちが、軟禁されている閻魔大王の釈放と役職への復帰を要求して暴れ始めて。

  • 閻魔大王は、確か息子のコエンマの手によって、裁判がある日までは別宅に軟禁されているんだったな。
    その支持派って奴らはもしかして?

  • ぼたん

    叫んでいた内容からして、正聖神党の末端構成員だっていうことは確実視されていたんですが……さっき同僚から通信があって、以前押収した正聖神党のとある支部の構成員リストに名前があったって話でして。

  • 黄泉

    やはり、霊界でも当初予測されていた以上に正聖神党の構成員は多いということか。
    頭が痛い話だな。

  • ぼたん

    はい。
    いわゆる党の体裁を取っている組織だけではなく、一見正聖神党とは何の関係もない平凡な組織が正聖神党の隠れ蓑だなんてこともありましてねえ。

  • ぼたん

    奴さんたち、凄い執念ですよお。
    構成員の人数は当初予想されていた人数の五倍以上になるんじゃないかなんて言われてまして……。

  • で、その正聖神党関係の組織が魔界にも存在しているって話なんだな?
    今回の話し合いはそのことだろ。
    俺がこないだ叩き潰した元小国がそんな組織だったようだな。

  • ぼたん

    正聖神党の更に裏にある組織。
    とある邪神を崇めて、『誰かをなるべく悲惨な状態で死に追いやる生贄にすれば、その見返りに力を授けてやる』という教義の元に活動している組織。

  • ぼたん

    魔界にはその邪神を崇める国まであるって本当だったんですね。

  • 雷禅

    奴ら、イケニエをよこせ以外の教義は、その世界に合わせて適宜変えてきてるってこったな。

  • 雷禅

    霊界では、お前らこそが世界を管理監督する神の名代だって囁き、魔界ではお前らこそが最強だから、三つの世界をいずれ征服しろってつつき、人間界ではそれぞれの集団に最も都合のいい話を注ぎ込むだけに更に千差万別……厄介だな。

  • ぼたん

    目下霊界と人間界の該当組織の洗い出しを進めているんですよぉ。
    もうそれこそよくこんな組織にしようと思ったなっていうのまでありましてね。
    料理教室だの子育て教室だの、そんなの。

  • ぼたん

    霊界も、霊界と人間界の組織の洗い出しだけでもう手いっぱいで……。

  • 魔界での洗い出しと対処は、俺たち三竦みに頼みたいってことだな。

  • ぼたん

    そうなんですよ。
    あたしたち霊界は魔界でほとんど力がないし、そもそもS級妖怪の人が一人でも混じってたら手の打ちようがありませんからね。

  • ぼたん

    ここは三竦みの皆さんにお願いするしか。

  • 黄泉

    俺としても、魔界にそんな連中がこれ以上食い込むのを座視できんからな。
    喜んで対応させてもらおう。

  • 黄泉

    それにあたって、霊界側に恐らく魔界の組織と通じている連中がいるはずだ。
    そいつらの名簿はもらえるか?

  • ぼたん

    あ、持ってきました!!
    この記録装置の中に入れてあります。
    まだごく一部なんですが、こんな魔界の深い場所にある国まで……って。

  • 雷禅

    実際に叩き潰す役割は、移動要塞を所有している軀に任せるか。
    これ以外の組織の洗い出しは、諜報力に突出した黄泉に任せる。

  • いつものことだな。

  • 黄泉

    正式な依頼ということでいいな?
    任せてもらおう。

  • ぼたん

    その辺の情報の交換を密にしてもらえたら霊界としてもありがたいんですよぉ。
    魔族の方も霊体になって霊界に攻め込むのは理論上可能な訳ですし、こちらも対処するのに情報がないと……。

  • 雷禅

    ああ、この辺の情報は共有した方がいいだろうな。
    例のところに送る。

  • ぼたん

    ああ!!
    ありがとうございますぅ!!
    これでコエンマ様の胃痛も軽く……。

  • あの若いのも気の毒にな。
    しばらく難しいだろうが、休める時には休めって伝えておいてくれ。
    お前さんもな。

  • 黄泉

    万が一にも、彼の父親が権力の座に返り咲きなんてことになったら三つの世界は恐ろしいことになるはずだからな。

  • ぼたん

    ううう、情けないです。霊界が今回の騒動の実質的震源地だったなんて……。

  • 雷禅

    お嬢ちゃんのせいじゃねえさ。
    それに、どこの世界から始まったのかなんて詮索は、もう無意味だぜ。

  • 俺たちは今やれることをやって、奴らからの影響と被害を最小限に抑えるだけだ。
    雷禅の言う通り、犯人捜しなんてしている時間はねえ。

  • 黄泉

    ぼたんくん、君も大変だろうが、君くらいに優秀なフィクサーは得難い。
    今後ともよろしく頼むよ。

  • ぼたん

    皆さん……。
    (じーーーん)

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