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雷果
ぱぱー、たかいたかいして!!
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雷禅
よーし、そーら、
たかいたかーーーい!! -
雷果
キャッキャッ
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浦飯幽助
……よかった。
親父、マトモに子育てしてんな……。
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浦飯幽助
俺の時みたく、雷果までボッコボコにしやがったら、どうしようかと思ったぜ。
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永夜
まあ、あの方も雑なようでも、数千年生きておられるのじゃから。
あまり馬鹿にするものでもないぞ? -
浦飯幽助
でもよー、こーーーんな立派なプレイルームなんか、大統領府の中に作っちまってよ。
むっちゃ、気合入ってんなあ……。 -
食脱医師
……まあ、そう言うてやるな。
あれもな、そなたらの前で、はっきり口に出す訳ではないが、そなたらの時には育ててもやれなかったことに、忸怩たる思いがあるのじゃ。 -
浦飯幽助
?
そりゃ、状況的にしょーがねーよ。
だって、最近まで、親父くらいの妖怪は、人間界には来れなかったんだしさ。 -
浦飯幽助
兄貴が子供だったくらいの時代だと、妖怪が人間に近寄るだけでもまずかったんだろ?
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食脱医師
確かに、一般的にはな。
じゃが、何かしらの方策がなかったのかと、思わずにはいられぬらしい。
そなたらのどちらも、そのせいで苦労したのじゃからな。 -
永夜
……であればこそ、手元で育てられる雷果には、我らの分まで丁寧な子育てを……というおつもりなのですか。
合点がいきました。 -
浦飯幽助
ま、雷果を大事にしてくれんなら、俺をボコボコにしたとか、最近まで存在すら知らなかったとか、どうでもいいよ。
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食脱医師
あれは、そなたらのどちらにせよ、どうでもいい、などと思えない男よ。
我にこぼしたことがある。
多少霊界その他の妨害があろうとも、二人とも強引に魔界に連れ帰るべきだったと、何度考えたか知れない、とな……。 -
浦飯幽助
そんなこと、今更考えても……。
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食脱医師
……考えても仕方ないことと、割り切るには、あれは、自分の子に思い入れ過ぎる男よ。
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永夜
そうであろうとは思いまする。
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永夜
父上が最初は幽助にきつく当たったのだとて、その時点では、もうすぐいなくなる父上に、思い入れさせないためでありましょう。
情が移れば、悲しませるばかり、と。 -
浦飯幽助
そう……なのか?
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食脱医師
それに加えて、ある程度強くすれば、魔界でも生き延びられる、という考えもあったようじゃな。
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食脱医師
そこそこ戦力になると見れば、黄泉殿はともかく、軀殿なら、殺さず拾ってくれるかも、と。
あの方は、幽助を、雷禅の子ではなく、我の子と見るはず、とな。 -
食脱医師
最近軀殿から聞かされたが、どうも根回しは済んでおったようじゃ。
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浦飯幽助
あ……あ、それで、親父って、軀と組めって言ったのか!!
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食脱医師
そういうことよ。
あれはな、そなたが思い込んでいるはど、無責任な男ではない。
そこはわかってやってほしのじゃ。 -
じっと父と妹を見る幽助。
雷果は、雷禅にしがみついてうとうとしはじめているようである。 -
雷果
ぱぱー、わたちも、ぱぱみたく、つおくなりたいー。
けんか、おしえてー!! -
雷禅
ああ、そうだな。
そろそろ、本格的に始めてみるか。
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雷禅
おめえは、聖果譲りの特別な才能が有るから、少しずつ丁寧に進めないといけねえな。
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雷果
さいのう?
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雷禅
俺と違って、おめえは、単に喧嘩が強くなれるばっかりじゃねえんだ。
ちょっとがんばれば、沢山の人を助けたり、他の奴らだったら、殺すしかないような奴を、生かして押さえることができるかも知れねえ。
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雷禅
それは、単に喧嘩が強いより、ずっとすげえことだ。
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雷果
(キョトン)そうなの?
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雷禅
そうだ。
もう少し大きくなればな、それがどんなにすげえことかわかるようになる。
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雷禅
それに、俺が嬉しいんだよ。 -
雷果
ぱぱ?
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雷禅
雷果、おめえはな、確かに、俺と聖果の二人でできてるって、はっきりわかるからな。
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雷果
うん……らいか、がんばる……(スヤスヤ)
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雷禅
子供が寝て、体が重くなる。
こんな幸せなことはねえな……(ポンポン) -
浦飯幽助
……親父って、こういう奴だったんだな……。
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食脱医師
幽助、聖果の部屋の扉を開けて寝かしつけられるようにしてやれ。
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食脱医師
雷果が寝たら、大人どもは一服しようぞ。
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