雷禅、新しく生まれた愛娘を、三竦みに披露する

  • 雷果

    (トテトテ)おねーちゃんとおにーちゃん、"さんすくみ"のひとー?

  • おお、なんだ、可愛い子供だな。
    お前、もしかして……?

  • 黄泉

    ああ、この前生まれたという知らせを聞いたばかりだと思ったが、もう歩けるのか……。

  • 雷禅

    雷果(らいか)、その二人にきちんと挨拶する約束だろう?

  • 食脱医師

    軀殿、黄泉どの、娘が不躾で誠に申し訳ない。
    昨日から、
    「さんすくみのおねえさんとおにいさんにあうんだ!!」
    とはしゃぎ回ってな……。

  • 雷果

    むくろおねーちゃん、よみおにーちゃん、はじめまして。
    らいかです。
    よろしくね(ペコ)

  • おう、はじめまして。
    軀だ。
    お前に会うのを楽しみにしてきた。

  • この幼さにして、すげえ妖力だ。
    これはこの先が楽しみだな。

  • 黄泉

    はじめまして、雷果。
    俺は黄泉。
    きみのお父上とお母上には、大変にお世話になっている。

  • 黄泉

    この子は、息子の修羅。
    きみと年の頃も近い。
    仲良くしてやってくれると嬉しい。

  • 修羅

    ……おまえが、雷果か?

  • 雷果

    おにーちゃん、こどもなのに『まかいとーなめんと』に出たひと?

  • 修羅

    (キラーン)ふふふ、そうだぞ!!
    おまえも頑張れば、次の大会に出られるかも知れないぞ!!

  • 修羅

    ……そうしてほしいんなら、僕が鍛えてやってもいいんだぞ!!

  • 雷果

    わーい、けんかだー!!(キャッキャッ)

  • 黄泉

    修羅、なんだ、初対面の方に、そのような横柄な態度は!!
    例え年下だろうと、丁寧に礼儀を持って接しろと、常日頃教えているだろう!!

  • 雷禅

    まあ、そう言うな。
    近い年ごろ、かつ、対等に戦えそうな奴が目の前に出てきて楽しいんだよ。

  • 雷禅

    ……わかるだろ、おめえだって。

  • ……この子、単なる妖気……というより、不思議な気配を感じるな。
    決していやなものには感じないが……
    人間なら、魔法みたいだ、とでも言うのかもな。

  • 黄泉

    確かにな。
    威圧的では決してないのに、何故かそう簡単にあしらえる感じが全くしない。
    この表現しようのない何か……。

  • 食脱医師

    ああ、この子は、我の体内で毒や薬を生成できる体質を受け継いでおる。
    大概の傷は一瞬で治るし、触れれば毒が流し込まれる。

  • 食脱医師

    そなたらの、戦士としての直感が、危険を教えているのじゃろう。
    ま、猛毒の蛇が、自分よりも大きなものを恐れないのと同じよ。

  • 食脱医師

    ま、この子は故なく人を傷つけたがる訳ではないのが、救いではあるが。

  • 雷禅

    そういう性質には、俺だってすでに手を焼いているんだぜ?
    どんな強くても、毒で命そのものを蝕まれりゃ、どうしようもねえからな。

  • ……なるほど。
    この子はこの幼さにして知っている訳か。
    魔界の王と言えども、自分を簡単には倒せない。

  • ……こいつは逸材だ。

  • 黄泉

    むむ。
    すると、いきなり修羅とやらせるのは、危険かもしれないな。

  • 黄泉

    修羅自身も危険なのはもちろん、雷果も、うかつに友達を殺してしまった、などということになったら、とんでもないトラウマを抱えることになるぞ。

  • 雷禅

    そこよ。
    ガキ同士での本格的な打ち合いは、こいつがもう少し力をコントロールできるようになってからだな。

  • 食脱医師

    まあ、我が法力を込めた薬を誰かに託しておいて仲裁に入らせれば、毒で亡くなっても蘇生させられるじゃろうが……
    心の傷になってしまったら、別の治療が必要になるゆえに。

  • 修羅

    僕、毒なんか怖くないもん!!(プンスカ)

  • そういうこではねえよ、修羅。
    生身の体を持っている生き物なら、どんな強かろうが、毒ってやつは危険だ。
    よっぽど妖力が強大なら、妖力を回して解毒できることもある……
    が、雷果の毒は、このバケモノをも退けた食脱医師の毒だからな。

  • 黄泉

    そういうことだな。
    いや、この子は……
    むむむ、戦うなら、どう攻略したらいいものかが思いつかんな……。

  • 雷果

    (トテトテ)うんしょ、うんしょ。

  • ん?
    どうした?
    ふふ、へばりついて可愛いな……ふう。

  • 黄泉

    おや、軀。
    随分リラックスしているな?

  • 雷禅

    こいつ、毒だけじゃなく、好きな奴にへばりついてリラックス効果のある薬成分を放出したりもするぞ。

  • 雷禅

    いやー俺も、昼寝で添い寝なんかしてると、リラックスしすぎて、寝落ち100%だぜ。

  • 食脱医師

    軀殿は、かっこよくて強くてきれいな大人の女性で、雷果は大好きだそうじゃ。

  • ……こいつは将来俺の前に立ちはだかるだろうな、父親以上に……
    と分かってるのに。
    どうも、調子が狂う。

  • 警戒する気にさらさらなれんな……
    実に毒気を抜かれる……(ポンポン)

  • 黄泉

    ふふ、勝者、雷果、だな。

  • 雷禅

    軀よお。
    オメーは、実にいけすかない、場合によっては気味悪くすら感じる嫌味な女だ。

  • 雷禅

    だが、その誇り高さ、根っこの高潔さは、本当に信用に値する。
    その能力傾向と見た目だったら、誰かに媚びついて生きた方が楽だったろうに、決してそうしないところも含めて、な。

  • ん……急にどうしたよ、魔界最強の男?

  • 雷禅

    だから、雷果には、オメーのそういうところを真似てもらいてえんだよ。

  • 雷禅

    うちの娘に、目をかけてもらえたら嬉しいぜ。

  • ……(ナデナデ)

  • 黄泉

    ふふ、お願いするまでもない、かな?
    良かったな、雷禅。

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