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軀
あの老人が、噂の霊光波動拳の幻海師範……大した人だ。
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軀
雷禅、幽助を通じて、おめえに紹介してもらって良かったぜ。
有意義だった。 -
黄泉
そこは軀に全面的に同意だ。
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黄泉
今の時代、あれほどの人物がいるとは。
少し、人間という種族に対する認識を改めねばなるまい。 -
雷禅
おめえらがそういう感覚を持ってくれてありがてえぜ。
今後の魔界と人間界、霊界の関係は、今まで通りではだめだって、実感してもらうのが目的だからな。 -
軀
おめえの嫁と会った時にも思ったが、魔界的な価値観だけでは、もう通用しない時代だな……。
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黄泉
ほお。
あの魔界中心主義の立場を崩さなかった軀の口から、こんなセリフが聞けるとな……。
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黄泉
時代の流れは思いのほか速い、か。
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軀
魔界を護るって、俺の立場は変わってねえよ。
だが、そのための方策は、今までと同じでは、全く現実に即さなくなっちまった。 -
雷禅
俺が、嫁に会ってから、うすぼんやり考えていたことが、実体を持って目の前に現れた。
扉が開けられて、ぞの向こうが誰にもはっきり見えちまった時代ってことだ。
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雷禅
今更、扉を閉めても無駄だってことよ。
誰にでも、その扉は見えるようになっちまったんだからな。 -
黄泉
皮肉なものだな。
蔵馬たちが魔界に帰還するきかっけになった、仙水なる心を病んだ人間の男は、魔界の扉を開き、人間界を破滅させようとしたが……。
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黄泉
どちらかというと、それで破滅しかねないのは魔界のように思えるな……。
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雷禅
嫁が通じてる、密教の神仏のいる世界なんてのが、別にあるってんだからな。
あの脆弱な人間が、連中の髪の毛一筋だけの力を借りても、俺みたいなのを圧するんだからな。 -
雷禅
ま、ご本尊がお出ましになれば……って話よ。
嫁の話によると、今までの魔界としての基準も強さも、通じるもんじゃないらしい。 -
軀
かなりの程度、人間の宗教界とも連携しないと何も進まねえな。
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軀
それと、飛影から報告のあったやつ……霊界にかなり昔からはびこっている、一種の邪教ってのが気になるところだ。
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軀
強烈に弾圧されても、手を変え品を変え甦るらしいが……どうも臭いな。
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雷禅
おめえもそう思うか。
倅もおめえとこのカレシと一緒に対応したことがあるみてえだが……。
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雷禅
どうも、ただのテロ集団じゃねえぞ、あれは。
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黄泉
恐らく、現閻魔大王はじめ、歴代の霊界の統治者が、暗然と利用していたということだろうが……。
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黄泉
しかし、それにしても生命力が強すぎるのが気になるところだ。
不自然に思えるな。 -
雷禅
恐らく、俺でさえ生まれるずっと前から、魔界霊界人間界の裏で暗躍していた"何か"がいるはずだ。
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雷禅
三つの世界を対立させて、何らかの利益を得ている何者かが存在するとしか思えねえが……。
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軀
敵の姿がまだ見えねえ……か。
大した奴らだな。
何者か、俄然気になるぜ。 -
雷禅
……その辺についてな。
嫁から聞き込んだ話がある。
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雷禅
こっからが本題よ。
このことは、現時点では他言無用だ。
身内にもだぞ。
いいな? -
黄泉
やれやれ。
ごく普通のシングルファーザーに戻れる日なんぞ、当面来そうにはないな。
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