第9話 強行

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この小説の夢小説設定
ONE PEICEの連載夢小説の設定は本編の『設定・注意書き』をお読みください。
ゾロヒロイン
マルコヒロイン

「ウィンディ、調子はどうだ?」

「父さん」

デスクにある資料から顔をあげた女性、彼女の名はウィンディ。
カヤノの母であり、この第二研究所の管理者である。
話しかけてきた老人はノーム、ウィンディの実父でカヤノの祖父である。

「もうほぼ出来上がったわ、サンプルの効果もこれまで負傷した患者さんに試薬してもらってきちんと完成したものを貯蔵しているわ」

「そうか、あの子は・・・カヤノはよくやってくれたな」

「ええ、まだ18なのに・・・我が子にこんなに辛い役割を担わせることをするなんて、私は酷い母親だわ」

「そんなことはない、あの子が悲しむぞ」

「でも父さん、私は・・・」

「二年前のあの子の言葉を忘れたのか?」




『この島は父さんが命を賭けて守ってきた場所、母さんやお祖父ちゃん、島のみんなが大好きだから父さんは大切にしてきた。

その想いを今度は私が継ぐ、私が母さんたちを守る』



「あの子は背負う覚悟をしていたんだ、それをお前がわかってやらずにどうする?」

まだ少女と呼べる年齢の我が子に頼りきりの自分にも腹が立つが、だからこそ自分が用いる知識で支えてやりたいという気持ちが大きくなるのだ。

「そうね、母親の私が泣いていてはダメよね」

「そうともさ、あの子は儂のところに来ても同じことを言っている。
アイツらにはなるべく時間稼ぎをするために儂の調査結果の一部を抜粋して小出しに報告しているようだ。

しかし、それもいつまで続くかだな・・・何せあの悪魔の実は既に・・・・」




「既に・・・、何だ?」


「「?!」」


二人が振り向くと後ろにはバーグマン、イングリット、マルメゾンがいた。

「バ、バーグマンっ!何故、ここに!?」

「そんなことはどうでもいい、さっきの続きを聞かせてもらおうか?」


コツコツとノームに歩み寄るバーグマン。


「この島に眠ると伝えられている悪魔の実の調査、カヤノから報告を受けてはいたが――・・・最初は『初めて着手する調査だから』という言葉に黙っていたが上がってくる報告は多少の曖昧さはあるものの確実に先に進んでいる、それが逆に俺に閃きをくれたんだよ」

ノームの白衣の胸倉を掴む。

「ジジイ、お前、実はもう見当がついてるんだろう?悪魔の実が島のどこに眠っているのか?」

「つっ・・・」

「もしくは――・・・もう見つけたか?」

「!」

バーグマンの眼光に怯えてしまうノーム。

「その反応は当たらずとも遠からずというところか――・・・おい、マルメゾン」

「ああ」

マルメゾンは手に持っていた小さな虫かごから蝶を取り出した。

「さあ、綺麗な舞を見せてこい」

ヒラヒラと羽ばたいてやって来る蝶、しかし体を一気に燃え上がらせたかと思うと研究デスクに突撃した。

「なっ!?」


突撃した蝶の体から飛び散った炎があちこちに飛び火する。

「さあ、お前たちも揺らめく美しい舞をお披露目するんだ」

虫かごの入り口を全開にすると出てきた蝶が先ほどのように発火し、デスクや壁、本棚、薬品のビーカーなどに激突する。
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