「よし、俺も行くぜっ！！」


体を赤くしたルフィがしこ立ちになる、力を入れると両足から空気がせり上がった。

「ギア２（セカンド）！！」

「ルフィ！！鳩尾を狙え！！」

「わかった！！」

飛び上がるルフィ。


「ゴムゴムのォ・・・・『JET（ジェット）ロケット』！！」



ドムッ！！


「！？」

「もういっちょ！！『JET（じぇっと）バズーカ』！！」

「ぶべっ！！」

「まだまだ！！」

「ドあ！！！」



ルフィの強烈な打撃を受ける度にモリアの口から取り込んだ影たちが抜けていく。
そして抜けた分、モリアの体は小さくなっていく。
あと一息だ、いくらモリアでも１０００体の影を制御することはできない。

「ぐぬぬぬ・・・このヤローっ！！調子に乗るんじゃあねェ！！」

まだ巨大な体躯のモリアが影の蝙蝠を出現させる。

「『影箱（ブラックボックス）』！！」

ルフィを影の箱に閉じ込める。

「砕けろ！！」

そしてあの島を両断せんばかりの強烈なパンチを見舞う。

「これは洗礼だ・・・てめェみてェな若僧が・・・この海ででけェ顔をするとどうなるのか・・・！！
七武海に盾つくとどうなるのか！！！分相応に生きろ！！！世の中てのァ・・・！！
出る杭が叩き潰されるようにできてんだ！！」


「残念ながらルフィは簡単に潰されるほどの男じゃない」

「！？」


『影箱（ブラックボックス）』が解除された後に見えたのはカヤノに守られたルフィだ。

「ルフィは私たちの船長！踏み潰されそうなら私たちが全力で守る！！
それが本当の仲間だから、そしてルフィはその価値のある男だ！！」

「カヤノ・・・」

自分のためにここまで言ってくれる、そして他の仲間も同じように頷く。

モリアとルフィの違いはここだろう、亡者を服従させて権力を握るモリアと心で繋がり信頼で一味を率いるルフィ。

「モリア・・・」

「！！」

「若僧だろうが・・・出る杭だろうが・・・俺は、誰にも潰されねェ・・・！！！」

「潰されねェ・・・・！？そう言い切る根拠の無さこそがてめェの経験の浅さを・・・」

「ゴムだから」

「・・・・・」

その返答に若干がっくりきたカヤノ、せっかく自分がさっき良い事言ったのに・・・。


「もう一度行くぜ、すぐに・・・全部吐き出させてやる！！」


しかしそうしている間にも朝陽が見える位置まで昇っている。
周りの影を奪われた者たちは避難を急いでいる。

「ルフィ、もう時間がない！」

「ああ――・・・『骨風船』！！」

ルフィはまた片腕を膨らませれる。


「ゴムゴムの―――・・・『巨人のJET砲弾（ギガント・ジェットシェル）』！！」

最後の一撃がモリアの腹に打ち込まれる、先程よりも強力な一撃だ。

「！！」

腹の奥から取り込んだ影たちがせり上がってくる。

〈くっそ・・・！！逃がしてなるものか！！俺の兵力を！！〉

モリアは口を抑え、影を逃がすまいと踏ん張る。

「まだ返さないつもりか・・・往生際の悪い」

カヤノが蜻蛉を構えた時だった。