杜王町編・第15話 アトム・ハート・ファーザー~吉良吉廣~
名前変換
この小説の夢小説設定ジョジョの奇妙な冒険連載夢小説です、第3部からのスタートです。
詳しくは『設定・注意書き』をお読みください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
杜王町勾当台1-128・・・
吉良吉影が住んでいた家がある、承太郎たちは今そこに来ている。
「大丈夫か?里美?」
「うん・・・」
辻彩が爆破した時、里美の落ち込みようは大きいものだった。
彩は明るいタイプではなかったものの、杜王町で最初にできた里美の女友達だったのだ。
スタンド抜きにしても美容の話もしていた、そんな友を失った彼女の喪失感はとても大きい。
「立ち止まってはいられないから・・・彩さんのためにもね」
「・・・・」
シートベルトを外して外に出る。
シンデレラにあった脱ぎ捨てられていた衣類の中にあった鍵を使って家の中に入る一同。
家は到って平凡なものだった、それでも各々手がかりを探す。
承太郎、仗助、里美は吉影の部屋を捜索している。
吉影の部屋はきちんと整理整頓されている、塵一つない。
学生の頃に取ったトロフィーも箪笥の上に綺麗に陳列してあり、ほこりもかぶっていない。
文机にある本も同じく並べられ、綺麗な状態だ。
里美が箪笥の引き出しを開けてみる、中にはアルバムがあった。
承太郎もそれに気づき、アルバムを開いてみる。
中には吉良の幼少期から写真が貼られている。
「ヤツのアルバムっスか?」
「うん・・・吉良吉影、1966年1月31日の杜王町生まれ、年齢33歳。
身長175cm、体重65kg、血液型A型・・・アルバムを見る限り一人っ子だね、両親が年を取ってから授かった子供」
「父親の吉廣はヤツが21歳の時に病死、母親もその後、老け込んで死亡。
1988年、D学院文学部卒業。同年S市内の亀有デパート入社、93年より杜王町店勤務。
前科無し、結婚歴無し、親しい友人関係も無し、恋人無し、手術歴無し・・・」
「ってことは医療関係からヤツの足取りを追うのは難しいか・・・」
「ああ」
「特徴のない情報っスねー」
「でも『特徴』ってほどではないけど、あるにはあるよ、例えば・・・このトロフィー」
里美がトロフィーを一つ手に取る。
「ほら、順位を見て」
「3位・・・」
「そう、他のトロフィーも同じ順位だよ。
吉良吉影はヒーロー的な目立つタイプでもなければ誰かから貶されるタイプでもなかった、常に中立の立場でいた、どの分野でも同じ。
写真も目立たず、でも地味でもない場所に映っている」
「『長所や短所を上手く使い分けている』ってことだ」
「それって!」
「もちろん、意図的にだ・・・能ある鷹は爪を隠すっていうだろ?」
「強か(したたか)だよね」
「しかし、このままでは無駄足になりそうだな・・・何かヤツの趣味のようなものがあればと思い、ここに来たのだが・・・」
承太郎も里美もお手上げだ、ここまで自分の特徴を隠す男だったとは・・・。
「趣味?そういえばこいつ、机の引き出しの中に瓶、たくさん集めてるんっスけど・・・」
仗助は今しがた自分が調べていた文机の引き出しを開けた。
そこには瓶がこれまた綺麗に陳列されている、瓶には1つずつラベルが蓋に貼ってある。
「このラベルの数字、1983年ってことか?中に削り節みたいなのが入ってんな」
承太郎と里美も覗き込む。
「・・・・?」
里美は瓶の横に置いてある爪切りとノートが目に入る。
「ほんのり匂うっスよ?何だこりゃ?」
仗助は瓶を1つ開けて削り節の匂いを嗅ぐ。
「仗助くん、多分それ・・・爪だよ」
「え?」
「そのようだな、それは人間の爪だ」
承太郎もノートを見て納得する。
「うああああァァ―――ッ!!」
2人の言葉に瓶や削り節をほっぽる仗助。
「だ、誰の爪だよッ!?ま、まさかッ・・・!!」
「ううん、被害者の爪ではないよ・・・『吉良自身の爪』だね」
「何でそんなことわかるんっスか!?」
「だって記録されてるもん、細かくきっちりと」
ノートを指してあっけらかんと言う里美。
「き、記録って・・・1983年から書き始めてるってことっスか?15年間も?」
仗助が恐る恐る2人の見ているノートを覗き込むと年代、両手の各指ごとにきっちり表の線まで書き込んで記録している。