杜王町編・第12話 シンデレラ~辻彩~
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この小説の夢小説設定ジョジョの奇妙な冒険連載夢小説です、第3部からのスタートです。
詳しくは『設定・注意書き』をお読みください。
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「由花子ちゃん?」
女性は頷いた、しかし帽子を目深にかぶっているため表情が見えない。
「びっくりしたっ・・・そんなところでどうしたの?」
「もうダメだわ、私・・・もう、康一くんにも会えないわ・・・」
どうやら泣いているようで声が引きつっている。
「『もうダメ』って、一体何があったの?電話でも泣いていたけど・・・それにどうしてこっちに来ないの?」
「行けないわッ!」
スカートの裾を握り占めている。
「こんな・・・こんな顔じゃ、康一くんだけでなく、誰にも見せれるものじゃないもの!」
「!?」
顔をあげた由花子を見て驚いた、彼女の顔はいつものものではなかった。
鼻から上の部分、目や眉の部分がまるで皮膚が剥がされたようになくなっている。
『人相』が無くなっているのだ。
「その顔は・・・」
「・・・・・」
「口紅・・・塗るのを忘れたんだね」
コクンと頷く由花子。
「2日前・・・鏡を見たらこうなっていたの・・・、こんな顔、康一くんに見せられないっ!」
「今までは家にいたの?」
「ええ・・・辻彩のエステに乗り込もうとしたけど、あなたとの約束を思い出して、まずはあなたに助けを求めようと思って・・・」
「そう、1人で乗り込まなかったことはえらかったね。自分をコントロールするために努力した結果だよ」
「里美さん・・・でも、これからどうしたらいいの?さっき康一くんと偶然会って・・・でも私、自分が『山岸由花子』だって言えなかった!これからもずーっとそんなことが続くなんて嫌よ!」
「もちろん、そんなことはさせない・・・行きましょう」
2人はエステ・シンデレラに向かった。
「あら・・・」
辻彩は2日ぶりにやってきた里美と由花子をじーっと見た。
「その様子じゃあ・・・『何か』あったようね」
「つっ!」
思わせぶりな態度に怒りが込み上げる由花子。
「『何か』ですってっ~~・・・ふざけんじゃあないわよっ!このウスラボケ!
この顔、どうしてくれるのよ!化粧しても崩れていくわッ!」
「シンデレラの口紅をしっかり塗らなかったからよ、30分に一度塗るように・・・・私は言った筈よ」
「ちょっと忘れただけじゃない!なのに・・・その代償がこんなだなんてっ!支払った代金は良いわッ!早く顔を元に戻してッ!」
「ふぅ~・・・約束を破ったのに・・・分かってないのね」
「何の事よッ!!」
すると指に異変を感じた。
「こ、これはっ!?」
今度は指の皮膚が崩れていく。
「イヤアァァァァ―――――ッ!私の指と手がッ!グシャグシャになっていくわ!!」
「約束を破った罰よ、あの口紅は『人相だけでなく運勢を固定する』ためのものだったの。
甘く見たあなたが悪いのよ、自分の運勢を甘く見たあなた自身がね・・・・」
「殺されたいのッ!?」
「『殺す』?
私はね、お金のためにエステティシャンをやっているわけじゃあないの、『人に幸福を与える』ためにしているのよ、本当に残念だわ、あなたの望みを叶えてやろうとするべきではなかったわね」
「ちょっと待って、彩さん」
「何かしら?」
「『30分ごとに塗る』、それは睡眠時間を削っても・・・ってことかな?」
「運勢を変えるにはそれくらい厳しいの」
「御伽話の魔法使いは心がけを大事にしていたシンデレラを手助けした、そして『午前零時を過ぎたら魔法が解けて全ては元に戻る』、日付が変わる時に戻るように伝えたはず、でもシンデレラもつい楽しい時間に約束を忘れ、ギリギリに城を出た、継母や義理の姉たちにボロボロにされた姿は辛うじて見られずに済んだ・・・・そうよね?」
「・・・・何が言いたいの?」
「シンデレラに出てくる魔法使いは、ここまで惨い夢の覚まし方はしなかった・・・、あなたは『人に幸せを与える魔法使い』に憧れてエステティシャンになったと言ったね。
でも私からしたら由花子ちゃんへの『睡眠を削ってまで美を手に入れさせる』という『無理を強いる』行いは魔法使いとしてどうかなって思うけど?
今の仕打ちは『白雪姫の毒入り林檎の魔女』、もしくは『人魚姫の海の魔女』のように『人の想いを食いつぶす』ものにしか見えないよ」
「まあ、失礼ね・・・」
自分の夢を貶されて眉根を寄せる彩。
「本当の事でしょう?
『お金のためにやっているわけではない』と口では言っていても結果、無茶な約束を対価に報酬を貰っている。
本当に『幸福』を与える魔法使いを目指すのなら『窮地に追い込まれた時に何とかする手伝いをする』のもあなたの役目なんじゃあないかな?」
「・・・・・」
彩は黙ってしまった。