杜王町編・第12話 シンデレラ~辻彩~
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この小説の夢小説設定ジョジョの奇妙な冒険連載夢小説です、第3部からのスタートです。
詳しくは『設定・注意書き』をお読みください。
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「『芸能人と結婚するメイク』~~~?」
胡散臭いとでも言うように読み上げる由花子。
「私の店は美しい顔やスリムなボディを作るためのエステとはちょっと違っているの。
いくら絶世の美女とはいっても必ずしも『幸せ』とは限りませんもの、そうでしょ?」
「そうね、『絶世の美女』で悲惨な結末を迎えた人物を歴史が証明している。
かのクレオパトラはその美貌を活かして戦争を勝利に導いたけれど最後はコブラに自分を噛ませて自殺、日本でも『東国の美女』と謳われた甲斐姫も忍城陥落後に豊臣秀吉の側室となるも最後は大坂夏の陣で城を追われて出家。
『美人』だからといって全ての人間が幸せになるとは限らない」
「その通り、私は『幸福の顔』を作ってあげるエステティシャンなの。
人間の顔には『人相』というものがあるけれど、人の顔の相によって運が変化するものなのよ。
『愛される顔』を持てば『愛と出逢う』運勢になれるのよ。
そう、特にあなた!」
そう言って彩は里美の顔を指した。
「あなたの顔は『幸せの運命に満ち溢れている顔』だわ、ご主人にも子供たちにも慕われている、家族だけじゃないわ、その人相は出会う人から愛されるものよ!」
「はあ・・・そうなの」
「あの、この際はっきり言ってもいいかしら?」
「ん?」
由花子が椅子から立ち上がった。
「あまりにくだらないからガッカリしたわ、ひょっとして霊感商法?
あなた・・・こんな噓っぱちでお金を取る気なの?」
「ウフフフ・・・最初は皆さん、そう言うのよ。
でも次に『たったの1000円だからダメもとで1回くらいならやってみようかしら・・・』と思いますわ、そして出来栄えに絶賛する」
彩はモニターに由花子の顔を映す。
「『山岸由花子』さん、あなた・・・目と眉の形が良くないわね~。
この顔だと好きになった男の子は『あなたが好きになればなるほど逃げていく』のよね・・・せっかく美人なのに残念だわ~」
「!?」
「『図星』・・・じゃあないかしら?そんな経験な~い?」
「・・・・」
一瞬だが由花子が『ギクリッ』としたのを里美は見逃さなかった。
「『はずれ』だわ!そんな経験1っぺんもないいわ!」
〈『はずれ』ね・・・由花子ちゃん、口調が乱れてるよ~〉
普段の由花子なら『1っぺん』なんて言葉は使わないと里美は思った。
『1度』や『1回』など少し上品な言い回しをするはずだ、心の動揺が出てしまったのだろう。
「あら、そう・・・まあ、いいわ」
彩はパソコンをカチャカチャ動かす。
「あなたの場合・・・ほら、これが『愛と出逢う』顔ですわ」
ディスプレイに映し出されたのは、少し眉が緩やかで目元が少し大きくなった由花子の顔だ。
「これって・・・」
「CGで『愛と出逢う』彼女の顔を再現したものですわ」
「ちょっと待って、これって私の顔を整形するってことなんじゃあないの?手術とかするの?」
「いいえ、あくまでメイクと美容マッサージで整えるものですわ。だから30分しか保たないの」
「『30分しか保たない』?どういうこと?」
「先ほども言いましたが、ここは『愛と出逢うためのメイクをお客様に施すエステ』なんです、整形みたいにメスを入れるわけではないから、簡単に崩れてしまうの。でも技術や効果は自信を持って保証しますわ・・・もし、『恋』に出逢うことが出来なければお支払い頂いた1000円はお返ししますわ。
いかがです?試しにやってみませんか~?」
「・・・・」
「どうする?由花子ちゃん」
「いいわ、たかがメイクで変わることができるのなら・・・里美さん、私、やってみるわ。
やってちょうだい、お試しでもそこまで効果を自信を持ってもたらすことができるのなら、お試しでもやってやるわ」
「ありがとう、よかったわ~。それでは、始めましょうか~」
前掛けを持ってきた彩は由花子の首から下が汚れない様に被せる。
「あなたは部屋の外の控室でお待ちになって・・・」
里美を部屋から出すと由花子の顔に手を伸ばす。
「さあ、目を閉じて、そのまま目を開けないで・・・動いちゃあダメよォ~~、動いちゃ、手元が狂いますからね~~・・・」
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「ありがとうございました、またのお越しをお待ちしておりますわ」
施術(?)後、彩に代金を払い、控室にいた##NAME1##のところに戻った由花子はエステを出た。
「里美さん、どうですか?」
「う~ん・・・眉や目元がスッキリして、以前よりも柔らかい雰囲気にはなったと思うよ」
「ええ、私もそう思う・・・でも、本当にこれだけで運勢が変わるのかしら?」
「さーね・・・とりあえず『30分』だけ様子を見ましょう」
「ええ」
2人は横断歩道を渡って道を歩いていた、するとすぐそこの曲がり角から康一が飛び出してきた。