杜王町編・第10話 岸辺露伴の冒険
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この小説の夢小説設定ジョジョの奇妙な冒険連載夢小説です、第3部からのスタートです。
詳しくは『設定・注意書き』をお読みください。
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「何の音だったんですか・・・?」
「・・・・」
ハトホルが聞くと『杉本鈴美』という少女は身を屈めて答えた。
「壁のコート掛けに愛犬のアーノルドが首を切られてぶら下がって死んでたの・・・」
「つっ!!」
その言葉に顔が青ざめるハトホル。
「その血が滴っていたのよ・・・・女の子の聞いていた『ピチャ!ピチャ!』っていう音は・・・。
そして突然、ベッドの下から声がした!
『お嬢ちゃんの手ってスベスベしててカワイイね、クックックッ―――ン』ってね」
「じゃあ、その女の子も・・・」
「ええ、殺されたわ・・・その声の主にね
ェ―――ッ!!」
「きゃああァァ―――ッ!!」
ハトホルは叫んでアヴドゥルにしがみついた。
「ほ、本当の話ですか?ソレ・・・」
「ぷっ・・アハハハッ!ごめんなさい、本当の話に聞こえた?マニキュアの仕返しよ♡」
『ウフ♡』と笑う鈴美。
鈴美の茶目っ気にハトホルと康一は安堵している。
しかし、アヴドゥルとイシズは笑えなかった。
何故なら・・・後ろから『ピチャリ!ピチャリ!』という音がしていたからだ。
「露伴、気づいているか?」
「ええ・・・僕にも聞こえる」
ゆっくりと空き家の庭に視線を移し、音の場所を探る。
「!?」
すると、いつからいたのか犬がいる。
「え?犬?」
ハトホルと康一も気づいたようだが、次には悲鳴を上げていた。
その犬は首元がザックリと切られていて、噴き出していた。
血は身体を伝って、芝生を赤く染めている。
「この犬、さっきの話を同じ首を切られているッ・・・まさか!」
全員の視線が鈴美にいく。
「ええ、そうよ。
『殺された女の子』っていうのは私なの、つまり幽霊なのよ・・・そこにいるアーノルドもね」
「・・・・露伴が読んだのは君が『生きていた時の記憶』だったのか」
「でも納得がいったわ、幽霊が現れているということは、すなわち『生と死の境目』の空間ってことだもの。
私のスタンドは生きている空間にしか移動はできない、康一くんが『前を歩いていたのに私たちの後ろから来てしまった』ことも・・・・この空間がループしているからなのね」
「ふ~ん・・・理解してくれるのが早くて助かるわ。
それにしても・・・あなたたち、不思議な能力を持っているのね。
私が幽霊だって言ってもあんまり驚いていないみたいだし」
「まあ、それくらい『奇妙な現象』を見やすいし、体験しやすい体質なのよ。
その体質であるが故に先にあなたのことを調べさせてもらったわ、杉本鈴美さん」
「そう・・・」
「何を冷静に話し合っているんですか?彼女が僕たちの敵じゃあないってことにはならないんですよ!
もしかしたら誰かに取り憑こうとしているのかもしれないィィ――――――!!」
「敵?取り憑く?ちょっと待ってよッ!人を怨霊扱いしないでくれない?
カッテこいてビビってるんじゃあないわよッ!私は、あなたたちに話があってきただけよ!」
康一に怒る鈴美。
「話?幽霊が僕たちに何の話があるっていうんだ?」
「さっきも言ったように、ここはあの世とこの世の境目・・・あなたたちは、その不思議な能力のため引き寄せられたのよ。
『15年前に私たちが殺された』・・・この場所にね!普通は有り得ないことだけど・・・、でも、私は誰かに伝えたかった」
鈴美は悲しそうにうつむく。
「話を聞きましょう、あなたはどうしてほしいの?」
「・・・・さっきの話の続き。
私は『犯人』の顔を見る前に背中をナイフで切り裂かれたわ。
夜中で暗くて・・・逃げるのに必死だった。
その犯人・・・まだ捕まってないのよ、この杜王町のどこかで今も暮らしてる」
その言葉に驚く。
「何故、わかるの?」
「ここの上空を『ヤツ』に殺された人の魂が飛んでいくから・・・」
鈴美はそう言って自分の背中を見せる。
「『これと同じ』傷を負って飛んでいくの!
この町の少年少女の行方不明者の数は全国平均の8倍・・・その中に含まれているのよ、『ヤツ』にひっそりと殺された人たちが・・・。
魂たちと話はできないけれど・・・何度も見てきた、ヤツの『趣味』はよくわかるの!私には、よくわかるのよ!
15年に渡ってこの杜王町で殺人が行われている!私の生まれ育った、思い出のこの町で・・・とても『怖い』わ、そして・・・とても『誇り』が傷つくわ。
犯人が捕まった時、私の大好きな杜王町は『殺人者の町』として日本中に悪名を轟かせるのは確かだもの・・・。
でも!1日も早くそれを止めたい!でも私にはどうすることもできない!
私はアーノルドと一緒に地縛霊としてここに残った、『誰かにこのことを伝えなきゃ』って・・・こうしている間にもヤツが次の獲物を狙っている、もう殺しているかもしれないッ!
今、杜王町で生きている人間が町の『誇り』や『平和』を取り戻さなければ、一体、誰が取り戻すっていうのよッ!!」
鈴美の目からはボロボロと涙が溢れている。
「『捕まえてほしい』とは言わないわ・・・でも見つけ出して、伝えて欲しいの・・・ヤツを捕まえることが出来る人に・・・」
服を直す鈴美。
「話はわかったわ・・・私たちもこの町に別件で来てるから、一緒に調べてみるわ」
「!」
「いいんですか?」
「『お手伝い』でしょ?構わないわ・・・でも、まずは承太郎たち話さないとね。
君も手伝ってくれるでしょ?露伴くん」
「まあ・・・解決することは保証しませんがね、そこだけ認めてくれるなら構いませよ。
その『犯人』を追って取材をしてみるっていうのも、面白そうなマンガを描くネタになるかもしれないし・・・」
どこまでも素直ではない露伴に苦笑するイシズ。