杜王町編・第8話 ヘブンズ・ドアー~岸辺露伴~
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この小説の夢小説設定ジョジョの奇妙な冒険連載夢小説です、第3部からのスタートです。
詳しくは『設定・注意書き』をお読みください。
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「髪型を貶されると原稿だろうが何だろうが見失うぐらいに怒る奴だったな・・・あいつ」
仗助は家具を蹴り飛ばすくらいでは足りずにとうとう、ディスクを持ち上げ、放り投げ、窓ガラスをブチ破る。
「知らなかった・・・あんな、激しさで怒っている姿、初めて見るよっ!
こ、これはもはや・・・僕の想像を遥かに超えているよっ!」
「つっ!?なん・・だって・・・!」
康一の言葉に本棚と椅子との間のスペースで辛うじて下敷きになるのを免れた露伴は驚く、といってもクレイジー・ダイヤモンドの打撃を受けて負傷をしてはいるが・・・。
そして本体の露伴がやられたことによってヘブンズ・ドアーの効果が解けた、ファイルとなった資料が億康と康一に戻る。
〈康一くんでさえ知らなかった仗助の性格だと・・・?つまり・・・ファイルには載っていなかった情報・・・?
何故だ?髪型を貶されただけで・・・何故、あそこまで怒る・・?何かあるはずだ、何か理由が・・・〉
露伴が思ったことは当然、康一や億康も感じたようだ。
「ああ、そのことなんだけど・・・たぶん、アレが関係してると思うんだよね」
心当たりがあるような口ぶりの里美。
「知ってるスか?里美さん」
「ぜひ教えてください!」
「うーん・・・わかった、でもこれは、仗助くんの話してくれたことに関しての私の推測も入ってるから思い込まないでね。
11~12年くらい前になるかしら・・・仗助くんが4歳の時に、原因不明の高熱で倒れて、50日間生死の境を彷徨った時があったの。
ちょうどその時、私と承太郎、ジョセフさんたちがエジプトへDIOという男を倒しに行った時期と一致してるの。
仗助くんのお母さんの朋子さんは車でS市内の病院に向かおうとしたんだけど、その日は杜王町18年ぶりの大雪で車が雪で滑って身動きが取れなかったそうなの。
吹雪の中では他に通る車もないし、公衆電話も見当たらなかった。
朋子さんは『家にいる時に救急車を呼べばよかった』と後悔したそうよ。
でもね、その時・・・1人の傷だらけの学生服の男の子が現れたんだって」
「傷だらけの学生服の男の子?」
「そう、その子は朋子さんに向かって、こういって来たそうよ。
『その子、病気なんだろう?』って・・・そして自分の来ていた学ランを後部車輪の下に敷いてトランクを押し始めたんだって。
『さっさとアクセル踏みなよ、走り出したら止まんないで、突っ走りなよ・・・また雪にタイヤ取られるからな』
朋子さんは男の子に言われた様にアクセルを踏んで車を走らせた、おかげで車は走り出すことができ、無事に病院までたどり着けたそうよ。
仗助くんはバックミラー越しにその男の子を見た時、髪型がリーゼントだったんだって・・・。
朋子さんは仗助くんの容態が安定した後、すぐにその男の子を探したそうなんだけど見つけることはできなかった。
直接、命を救ったわけではないけれど・・・仗助くんにとって、彼は忘れられない『ヒーロー』になった」
『どこの誰かは知らないんですけどねェ・・・、俺はあの人に憧れて同じ髪型にしてるんス、だからこの髪型を貶すやつは誰であろうと許さねーぜ、あの人を貶すことと同じですからね』
「・・・・って言ってたよ」
「あ、その話なら僕も聞きました・・・でも法螺話だと思って真面目には聞いてなかったんですけど」
「へぇ~~~、そんなことがねェ~~」
「奥深い・・・」
里美の話を聞いて感心していた3人だが・・・。
「おおおおお・・・」
「「「「!?」」」」
見ると露伴がペンを握ってまた何か書こうとしている。
「まだ何かする気!?」
「野郎ッ」
億康が蹴りつけようとするが・・・。
「違うんだ・・・気を失う前に、今のことをメモとスケッチをしようと思って・・・」
「はあ?」
脱力する里美。
「良い話だなァ・・・それに実にスゴイ体験をさせてもらったよ、嬉しいなあ~~、こんな体験、滅多にできるもんじゃあないよ。
これを作品に活かせば・・・フフフ、得したなァ~~、杜王町に引っ越して来て良かったなァ~~~」
負傷しても、気絶寸前でもプロ意識は捨てない岸辺露伴、恐るべし・・・4人とも常人離れした露伴に引いてしまっている。
「この人、死なない限りはずっと続くわね」
「もうここまで来ると褒めるしかないね、善悪の区別はないんだけど、ある意味ではこういう姿勢憧れるよ」
「でも真似しちゃダメよ、康一くん。億康くんもハトホルもね」
「はい・・・」
真似したくとも真似できないし、真似したくない・・・いわばお手本にしてはいけない人種だと思う。