杜王町編・第8話 ヘブンズ・ドアー~岸辺露伴~
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この小説の夢小説設定ジョジョの奇妙な冒険連載夢小説です、第3部からのスタートです。
詳しくは『設定・注意書き』をお読みください。
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「ねえねえ、里美さん!」
アクトン・ベイビーの一件から数日後、里美はハトホルを連れて、スケッチ探索していた。
静亜は承太郎と一緒に海岸に行った(海洋冒険家の仕事の付き添い)
ハトホルは杜王町の探索のため、ついてきたのだ。
「なあに?ハトホル」
「杜王町に人気の漫画家の人がいるって知ってます?」
「へえ~、そうなの?」
「そうなんですよ!コレなんですけど!」
バッグから1冊のコミック本を取り出した。
「『ピンクダークの少年』・・・ああ、##NAME2##もよく読んでたわ」
「そうそう!静亜ちゃんも読んでて、アメリカの友達の間でも話題の漫画なんですよ!
そしたらアメリカから日本に引っ越した友達が杜王町にその作家さんがいるって言ってたんですよ!」
「ずいぶんマニアックな友達ね・・・会いに行くの?」
「でも杜王町のどこなのかは、わからないそうなんですよ。
プライバシーもありますし、探すつもりはないです。でも人気漫画家さんのいる町って見てみたいじゃないですか!」
すっかりファンの顔をしているハトホル。
〈杜王町に来た理由って・・・これも入ってたわけね〉
苦笑していた里美だったが・・・。
「あら?」
ふとある人物に気が付いた。
「あれって・・・康一さん?」
ハトホルも気づいたようだ。
「みたいね、でも様子がおかしい・・・ヨロヨロしているし、何より顔色が悪い。
それに、こっちの道は高校とは逆の方向・・・もう8時を過ぎようとしてるのに」
すると康一はある家に入って行った。
――――――――――――
〈何か知らないけど、思わず入ってしまった・・・〉
当の康一自身は家に入った後、自然に階段を上がり、2階へ行っていた。
そしてついた先には1人の男が机に向かって何かをひたすらカリカリ書いている。
「ム!よく来たね・・・待っていたよ、時間ピッタリだ」
「え!?」
康一の姿を見た男はニヤリと笑った。
「だが・・・すまないが、ちょっと待っていてくれないか?
あと2枚で来週分の原稿が完成する、あと20分ほどでできると思うから」
男の手元には線で区切られた紙が2枚。
「『20分』・・・?今、20分と言ったのか?聞き間違いかな?
今、机の上にある真っ白な原稿2枚を20分で仕上げると言ったのか・・・?」
康一はこの男を知っている。
この男は岸辺露伴、康一の大好きなマンガである『ピンクダークの少年』の原作者だ。
漫画を描くというのは、とても神経の使う仕事だ。
ページの枠を決めて、下描き(鉛筆)をする、そしてインクのペン入れ、その後に背景や影などの調整も必要になってくる。
なので原作者の他にアシスタントを複数人配置して行うことが多い。
しかし、この岸辺露伴は人間関係が嫌で『漫画家』という職業を選び、都心からこの杜王町に引っ越してきて、アシスタントも雇っていないのだという。
さらにい言ってしまうと康一は昨日も露伴の家を訪れていて、今週分の原稿を読んだばかりだ。
一夜で来週分の原稿(約19ページほど)を仕上げるなど不可能だ。
チャポ・・・
すると露伴は下描きするかと思いきや、いきなりペンを取ってインクをつける。
〈え!?下描きしないのォ~~~ッ!?〉
ドシュッドシュッ!サササッ!ズズズッ!!
康一の心配を余所に露伴は下書きをせずにキャラクターを描き上げてしまう。
「し、信じられない・・・あんな複雑な構図を下描きもしないなんて・・・・どんどん出来上がっていく!
し、しかも!背景まで、一緒に描き込んでいる!!」
キャラクターと同時に背景まで同時進行で描き上げてしまった露伴は再びインクをペン先につけた。
そして少し高めに腕を振り上げたかと思うと何やら狙いを定めている。
ビシュッ!ビシュッ!
「!?」
なんとインクを手裏剣のように飛ばしてベタ塗りをしてしまった、しかも場所に誤りなく、正確にはみ出しもせずにだ。
ペン入れからベタ塗りまで所要時間2分、普通では有り得ない作業時間だ。
「そ、そんな馬鹿な・・・こんなに早く!」
「君のおかげだよ、康一くん!ガンガン創作意欲が湧いてくるんだ!
描きたくて描きたくてしょうがないんだ!!どんどん描きたい!!」
露伴は興奮しながら10数本の筆を握るとインク瓶の中に突っ込んだ。
「一晩で19ページも描けるなんて、僕自身も初めての経験だッ!!
僕は今『傑作』を描いている!君の『体験』はスゴイッ!君の『体験』をネタにしているストーリーだからだよ!康一くん!!」
ビシャア―――ッ!!
背景の光の具合まで、たった一振りで描き終わってしまった。