杜王町編・第3話 『ザ・ハンド』と『バッド・カンパニー』~虹村兄弟~
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この小説の夢小説設定ジョジョの奇妙な冒険連載夢小説です、第3部からのスタートです。
詳しくは『設定・注意書き』をお読みください。
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「1日中、こうやっているだけだ・・・毎日毎日、くる日もくる日も10年間・・・無駄にガラクタ箱の中を引っかき回しているだけさ・・・・箱を取り上げると毎日泣きわめくしよ~~~。
イラつくぜ・・・こいつを見てるとよ~~~『生きてる』ってことに憎しみが湧いてくるぜ」
形兆は父親に近づいて首輪に繋がっている鎖を思いきり引っ張り、殴り飛ばした。
「散らかすなって何度も教えたろうッ!」
「っ!」
「しつけりゃあ結構言う事きくんだがよーっ!この箱をゴソゴソやるんだきゃあ止めやがらねえ!!」
倒れた父親を踏みつける形兆。
「こいつは最低の男さ・・・血の繋がりでは実の父親だが、DIOに魂を売った。
こうなって自業自得の男さっ!
だがよー・・・その一方で父親だからこそやり切れない気持ちっつーのがあるのさ・・・お前にわかるか?
だからこそ、普通に死なせてやりてえって気持ちがあるんだよ!!」
形兆は涙を浮かべた目で里美を睨んだ。
「私はDIOを殺したことに後悔はしていない、あいつは『ああなる男』だった・・・でも私たちの行ったことで被害者が出てしまったこと、それは否定しない。
形兆くん、そして億康くん・・・辛かったでしょう」
「・・・・・」
「でも、君たちのお父さんは無駄なことはしていなかったと私は思う。
確かにDIOに魂を売ったのは最もしてはならないことだった、その結果が今なんだから。
でもこれだけは信じてほしい、君たちのお父さんは決して憎くて君たちを殴っていたわけじゃない、今だって・・・」
ゴソゴソと箱の中を引っかき回している2人の父親を見る里美。
「ちくしょー、止めろっつってんだよ!イラつくんだよッ!」
「おい!そこまでにしとけよッ!」
仗助がガラクタ箱をクレイジー・ダイヤモンドで殴りつけた。
負傷した箱は中の物ごと元に戻った。
「!!」
形兆は箱ではなく中身を見て驚いた、それは1枚の写真だった。
それも家族の写真だ、幼い頃の自分と億康、そしてDIOに出会う前の姿の父親と生きている頃の母親が写っている。
「何かちぎれた紙切れのようなものをつまんでたから形を直して見たら何かと思ったらよ・・なるほどな」
「家族の写真を集めていたんだッ!バラバラになっている家族の写真の断片をッ!」
「おおおおおッ」
すると直された写真を見て父親が抱きしめて泣き出した。
「君たちのお父さんは家族の写真を探していたんだよ、大きくなってしまったから息子とは認識できなくなったかもしれない、でも心の中ではずっと君たちのことを想っていたんじゃないかな・・・。
箱の中をあさっていたも昔の君たちを探していたんじゃないのかな・・・」
「・・・・・」
「形兆くん、君は仗助くんと一緒で優しい子だね。
でも不器用で感情を上手く出すことが出来ない、お父さんを『殺す』スタンド使いを探していたというのも君がお父さんを憎んでいたのではなく愛していたからだよね。だったら『殺す』スタンドよりも『治す』スタンド使いを探そう。そして、私も一緒手伝わせて」
「なにっ・・・」
「そうだぜ、殺すより治す方に俺は賛成だ」
「そうだよッ!殺すなんて悲しすぎるよ!」
仗助も康一も賛成のようだ。
「兄貴・・・もう止めようぜ・・・」
「億康」
部屋の外で会話を聞いていたのだろう、億康が入ってきた。
「なあ、こんなことはよ~~、もう止めよおぜ、なあ~~~。
親父は治るかもしれねー、肉体は治んなくてもよぉ、心と記憶は昔の父さんに戻るかもな~~~」
そう言って形兆の持つ弓を掴む。
「億康、何掴んでんだよ・・・?
どけェ~~~っ、億康~~~っ、俺は何があろうと後戻りすることはできねえんだよ・・・。
スタンド能力のあるやつを見つけるためにこの弓と矢でこの町の人間を何人も殺しちまったんだからな~~~!
それにな俺は既にお前のことを弟とは思っちゃあいない!
弟じゃあねーから躊躇せずてめーを殺せるんだぜ――――っ!」
「嘘ね」
「何だと・・?」
形兆の言葉をバッサリ切る里美。
「君は弟想いの良いお兄さんだよ」
「何を言ってやがる・・・」
「邪魔ならスタンド使いになんかせずにすぐに殺せばよかったじゃない。
兄弟同士がスタンド使いって結構リスクがあるんだよ、さらに君は億康くんのスタンドを恐れていた。
ならスタンドを発現した後でもいいからさっさと殺してしまえば良かったのに。
億康くんくらい抜けている子ならあっさり始末できたはず、でも君はしなかった。
兄弟っていうのは邪魔に思えても心の中で切れないものがあるんだよ、少なくとも私はそう思う」
里美の指摘に何も言えない形兆。