杜王町編・第3話 『ザ・ハンド』と『バッド・カンパニー』~虹村兄弟~
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この小説の夢小説設定ジョジョの奇妙な冒険連載夢小説です、第3部からのスタートです。
詳しくは『設定・注意書き』をお読みください。
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「人間だ・・・」
「人間ですって?ちょっと待てくださいよ、あんな人間いるわけが・・・」
「今切断したのは手首よ、見て」
床に転がった小さな物体を指す里美、確かにそれは手首だ。
だが、肌色ではなく緑色の幾つもの腫物がある気味の悪い手首だった。
「つっ!」
そしてもう1つ奇妙なことが起きた、切断したはずなのに本体の切断面から新しい手首が生えてきたのだ。
しかも今しがた切断された手首を掴んで食っている。
「おえええ――――ッ!」
あまりの気持ち悪さに口を抑える康一。
「ついに見やがったな、見てはならねえものをよお~~~」
そこへ形兆がやってきた。
「形兆くん、まさか・・・そこにいるのは・・・」
「ああ、俺たちの『父親』だ」
「「!?」」
「君がスタンド使いを生み出していたのは父親のため?父親を元の姿に戻すために・・・」
「いや、それは違う・・・確かにこの弓と矢でスタンド使いをうい出していたのは親父のためだ。
だが『元に戻す』ためじゃあねえ・・・親父を『殺してくれる』スタンド使いを探しているんだよ~~~ッ!」
「『殺すため』?何故?」
「空条里美、おめーはだいたい想像はできてるだろうが親父は病気なんかじゃねー・・・到って健康さ、食欲もあるし、動ける・・・だがよ、唸り声をあげて言葉は一切喋れねえ、俺や億康が息子だってこともわかんねー」
「さっき私のスタンドがお父さんの手首を切断した後、新しく手首が生えた。
つまり傷を負っても治ってしまうってこと・・・何故、こうなったの?」
「・・・・そうだな、おめーには関係あることだから聞かせてやるよ。
親父はな・・・10年前に操り人形にされるためDIOっつう男の細胞を頭に埋め込まれちまったんだよっ!」
「っ!肉の芽ッ!」
『肉の芽』、忘れたくとも忘れられないものだ。
肉の芽の植え付けられて自分の仲間が苦しんだのを里美はよく覚えているからだ。
「俺は親父を普通に死なせてやりたいんだ・・・そのためにはどんなことでもするって子供の時に誓った。
そのためにこの弓と矢が絶対に必要なんだッ!」
「DIO・・・、今更だけど、やはりあなたがアンジェロをスタンド使いにした『学生服の男』だったのね。
『DIO』の名前を知っている者はそうそういない、君の話を聞かせて・・・君のお父さんが何故、肉の芽を埋め込まれ、こんな姿になったのか」
「・・・・いいだろう。
10年前、つまり1989年・・・俺は当時8歳、億康は5歳だった。
俺たちは東京に住んでいた、世の中はバブル経済とかいって浮かれてたがよ・・・。
俺たちの親父はよぉ・・・全くついてない男で、その2年前に病気でお袋が死んで経営していた会社がうまくいかなくなって膨大な借金を抱えていた。
そのストレスを俺たちではたしていた・・・理由なくよく殴られたよ。親父は完璧に世の中の負け犬だったのさ。
だが、ある時から急に親父のところに札束が転がり込んでくるようになった、時には宝石や貴金属の時もあったよ・・・仕事もろくにしてねーのによ――――っ。
あとから調べて分かった・・・親父はDIOに手下になる見返りに大金を受け取っていた。
DIOって奴は当時・・・世界中からスタンドの素質がある奴を探していた、どうにかして親父にその才能があるってのをみつけたのさ、どんなスタンドだったかは今となっちゃあわからねーがな。
だが、ある日のことだった。忘れもしない、10年前の・・・あの昼の2時のできごとを・・・・。
俺が学校から帰るとよー、億康のやつが泣いているんだ、俺は『親父のやつ・・・また億康のことを殴りやがったな・・クズめ!』ととっさに身構えた・・・しかし、違っていた。
親父は台所で苦しみがっていた、顔がどういうわけか崩れていた、図工の時間の油粘土みてーに『ぐちゃっ』とな・・・億康は親父の姿を見て恐ろしくて泣いていたとその時はっきりとわかった。
俺は親父に言った、『救急車を呼ぼう!』と、だが親父は・・・・『無駄だ!もうだめだ!病気じゃあない!きっとDIOが死んだから肉の芽が暴走したんだ!』と叫びながら部屋に閉じこもった」
「里美さん、DIOってやつは本当に実在したんですか・・・?」
「ええ、そのDIOは私と承太郎が殺した・・・エジプトで10年前にね」
「俺は全て調べた、スタンドのこと・・・お前や承太郎のこと・・・エンヤという老婆のこと、全て調べた。
そしてこの弓と矢もエンヤという老婆を調べて浮かび上がってきたものだ、俺は必死に所在を探って手に入れた。
だが・・・いろんなことがわかり、信じると同時に親父は決して治らねーということを信じなくてはならなかったッ!
DIOの不死身の細胞と一体化しちまったんだからな・・・!!
最初の日から1年ぐらいで、俺たちが息子だってこともわからねー肉の塊になっちまった!!」
形兆が話している間も父親はもぞもぞと箱の中で蠢いている。