エジプト編・第13話 ペンタグルの成長(ジュナ)
名前変換
この小説の夢小説設定ジョジョの奇妙な冒険連載夢小説です、第3部からのスタートです。
詳しくは『設定・注意書き』をお読みください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その時だ、時計塔の時計の部分が破壊された。
「「!」」
花京院だ、花京院が最後の力を振り絞ってエメラルド・スプラッシュを放ったのだ。
「何だ?あらぬ方向に撃ちおって・・・断末魔・・・最期の雄叫びを上げて花々しく散ろうというのか?花京院め・・・・フン・・」
DIOはそう言うがジョセフは違った。
花京院は何の意味もなくこんなこはしない、きっと何かの意味があると確信している。
「『隠者の紫(ハーミット・パープル)!!』」
ジョセフはスタンドを伸ばし、逃亡した。
いや正確に言えば承太郎たちと合流するため、そして花京院の残してくれた『時計の意味』を考えるための時間稼ぎだ。
〈花京院・・・お前は時計を撃ち抜いたことで何が言いたかったんじゃ!
何か重要なことをわしに伝えたかったはずっ!何なんだ!それは一体何なんだじゃ!!〉
ジョセフは改めて花京院の壊した時計を思い出す。
「まさか・・・DIOのスタンドの秘密を解いたのか・・・」
時計を壊す、いや正確には時計の針を壊していた・・・・そこまで考えるとジョセフの頭にある答えが出た。
「時間を止める!!
ま、まさか・・・そんなことがっ!
しかし、それ以外には考えられん!!なんてことだ、これがDIOのスタンドの能力だったとは!!
花京院!お前の最後の力を振り絞って伝えてくれたこのメッセージ!確かに受け取ったぞ!!」
――――――――――――
その頃・・・。
「うううっ・・・」
「行ったみたいね」
別の建物の影にはジュナを羽交い絞めにしているアヴドゥルと手でジュナの口を塞いでいるイシズがいた。
「DIOはジョースターさんを追って行ったようだな」
「ええ。それに今、承太郎たちがDIOの後を追って行ったわ。
合流するのに時間はかからないでしょう」
そう言うとイシズはジュナの口から手を離した。
「典明っ・・・!!」
びしょ濡れになっている花京院の元へ駆け寄るジュナ。
「典明っ・・典明っ・・!しっかりしてっ、目を開けてよ・・・!!」
自分も濡れるのも構わずに花京院の肩を揺さぶるジュナ。
「花京院!」
「花京院くん!」
遅れながらも駆け寄ってきたアヴドゥルとイシズ。
しかし、花京院の腹部を見て青ざめる。
「こ、これは・・っ」
「ひどいわ・・・」
傷を見ればもう助からない、いやもう助かっていないというのは明らかだった。
「ジュナ・・・」
イシズは花京院の遺体にしがみついているジュナを見る。
「花京院はDIOのスタンドの能力の正体を命を懸けて我々に残してくれた・・・」
花京院の最後の力を振り絞った行動をアヴドゥルとイシズも見ていた。
「命に報いるためにもDIOを倒さねば・・・」
「そんなの・・・おかしいよ・・・」
「ジュナ?」
「能力の正体のために誰かが犠牲になるなんておかしい・・・・。
典明は言ってた・・・。
『過去の自分が許せないって・・・DIOに恐怖して、何も抵抗できなかった自分が惨めで辛かったって・・・。
そして僕と同じような風景を見れる仲間がこんなにいることに喜びを感じた』って・・・、これからなのに・・・これからもっと幸せなことがたくさんあるのに、ここでさよならなんて・・・ひどすぎる!!」
ジュナは自分が嫌いだった。
事故とはいえ男に凌辱され、望まぬ命を授かり、でもおろすこともできずにこの世に生を受けた。
しかし母親は自分を我が子としては見てくれずに寺に預けた。
寺の住職や近隣の人間は優しかった、親の身勝手・・・いや自分たちのような大人が引き起こしたことで傷ついている子供への同情心だったのかもしれない。
ジュナはそれでも恩恵を受け、生きてきた。
しかし、心から笑える日などなかった。
それは『癒しの樹(レスト・ウッド)』が発現した時も同じだった。
寺に住んでいたので見えざる者が見える子なのだろうと思われたのか別段気にする者はいなかった。
しかし、自分に霊感など全くない。ただ自分自身(スタンド)が見えるだけなのだ。
小さい頃はそのことで『何故、自分以外には見えないんだろう?』と不思議に思ったが、成長するにつれてこれは(スタンド)は幽霊ではなく、自分だけしか見えないものなのだと自覚した。
だから、もう気にしなかった。
『癒しの樹(レスト・ウッド)』のことも霊感の噂も『成長するにつれて見えなくなった』と言えばみんな納得してくれたから。
嘘をつくにつれて自分が嫌いになった、周りの誰も信用できなくなっていた。