「こ、この男・・・白目をむいている！」

「ヒィィィィ、立ったまま気を失っているゥゥゥ！！」

「あら、やっぱり坊や・・・仲間だったのね？」

ニッコリ笑うイシズに少年は慌てて逃げてしまう。
するとダービーの体がテーブルにぶつかり、倒してしまう。

「ああっ！ジョースターさんとポルナレフの魂が戻ってくる！よかった、助かったぞ！」

「あまりの緊張に気を失ったか・・・そして心の中で賭けを降りた。
だから２人の魂が解放されたというわけか・・・」

「うう・・・」

「ん・・む・・・」

魂の戻った２人もぼんやりと意識を取り戻す。

「おい、こいつを見ろ」

ダービーの手札を見た承太郎。

「４カード！しかも『K』！」

「あらまあ・・・やっぱり」

「『やっぱり』って・・・」

アヴドゥルはイシズの手札を見る。

「こ、これは――――ストレートフラッシュ！！」

「何だよ、じゃあ普通にやっても勝てたんじゃあねえか」

「ううん、最初はブタだったわよ」

「「何！？」」

驚愕の言葉に詰め寄るアヴドゥルと承太郎。

「で、でも現にストレートフラッシュに・・・」

「それは途中で『平和の杖（パシフィック・ワンド）』の空間移動で入れ換えたからよ」

「いつだ！？」

「『少なからず私の手札は何にも揃ってないブタではない』って宣言した時よ。
あの時、手札に手を置いたでしょ？アヴドゥル、見えなかった？」

「あ、ああ・・・」

思い出せば置いていたような・・・。


「しかし、ダービーは何故勝負に出る前に敗けたのだ？」

「『DIOの秘密』というあまりの緊張の中で気を失ったんだろうな・・・。

そして心の中でこいつは賭けを降りた、負けを認めたから魂が戻ったということだろうな」

「なるほどな」

「でも肝心なダービーは話は聞けそうになさそうだけど・・・」

里美が言うようにダービーを見るとあまりの緊張状態により精神崩壊をしており、正常な会話ができるとは到底思えない。
さらに今までコレクションされていたコインの魂も解放されていったようだ。

「しかし敵ながら恐ろしい奴だったな」

「ああ、強敵だった・・・・たった１人で俺たち全員を一度に倒そうとしたんだからな。
しかも力技ではなく頭脳的、心理的作戦を持ってな、大した奴だぜ・・・」








ダニエル・J・ダービー

スタンド名：オシリス神

ゲーム後の極度の緊張状態の精神崩壊により再起不能（リタイア）









「しかしあのダービーに気づかれずに手札を入れ換えるとは・・・よくできたな、イシズ」

「敵の隙を見逃さない、盲点をつくということでは私も負ける気はしないわよ？
例えば・・・ほら！」


と言って取り出したのはアヴドゥルの財布と承太郎のタバコだ。

「「！！」」

「ンフフフ」

「おめー・・・いつの間に」

「さっき２人に『魂を賭けてほしい』って近くに寄ってもらった時、あったじゃない？
その時に、ちょっとポケットから拝借を・・・・フフフ」

笑って２人に拝借したものを渡すイシズ。

「だから『芸には事欠かない』って言ったでしょ？」

「手癖の悪い芸は必要ねぇ・・・（怒）」

少し怒り気味の承太郎。

「ほどほどにしておけよ」

「は～い」




ダニエル・J・ダービーを倒した一行はふらつくポルナレフとジョセフを支えながらカフェを後にした。











続く