本編主人公の出番少なめ、原則名前のみ出演です。
海野家の千寿郎くん その2
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咄嗟に避けたものの・・・・
ヒュン!ヒュンヒュンッ!
後から後から向かってくる木の枝、どうやら一つに引っかかると複数の仕掛けが同時にくるものだったらしい。
ベシッ!ベシベシッ!
「いたっ!?いたたっ!!痛いっ!痛いっ!」
木の枝に体を打たれる千寿郎、よろけた瞬間・・・。
プスッ!
「~~~っ!!?」
尻に何かが刺さった。
見ると朝、薪拾いに来た際に那津蒔が説明してくれた植物の葉だった。
『一見それっぽく見えないが実際触ると固いし、地味に痛ぇぞ。しかも低い位置にあるから子供は目とかに刺さると大事になるから親父がいつも踏んで折ってくれてたな』
確かに痛い、自分はそんなに身長が低いというわけではないがそれでも腰や尻の位置にその植物が当たる。
しかも今の自分は特訓の最中なので踏んで折るなどの余裕はない。
しかし山とは・・・いや、自然とはこんなに恐ろしいものなのか?
ズッシリ構えて逞しく見える山も普段は穏やかで人の癒しとなる植物もそれぞれの特性を活かしてやればこんなにも人を翻弄する武器になる。
〈山、怖いっ・・・!〉
今まで屋敷の中や町の中での暮らしの多かった千寿郎は最終選別以来の危機感を感じていた。
「千寿郎~!」
「那津蒔さん?!」
どこからか那津蒔の声が聞こえてくる。
「まだ最初だぞ~!早く立って進め~!」
「あ!はい!」
千寿郎はそのまま進んだ。
その後も落とし穴や先ほどの撓り枝など可愛いものだ。
生長の早い草や川辺に積み上げられた石の山、丸太を汲んで作られた柵、上から落ちてくる無数の木の実(どんぐりや松ぼっくりなど)。
更に登りは急な斜面を上がるため、降りは滑り落ちない様に足を踏ん張らねばならない。
「はあ・・・はあ・・・」
出口まで着いた時には千寿郎はへろへろになっている。
「お疲れ」
「お帰り」
いつ戻ったのかニコニコしながら待っている二人。
「も、戻り・・・ま、した・・・」
そう言うと千寿郎はバタンと倒れてしまった。
「おやおや」
瀬津寿は倒れた千寿郎を抱き上げた。
「那津蒔、初日にしては少し厳しかったのではないか?」
「いいんだよ、あれくらいで」
那津蒔は千寿郎を見た。
鬼狩りを甘く見られては困る、考えられても困る。そもそも『人間でない者』を相手に闘うことを軽視するということはあってはならないことだ。
未知の存在、事柄に安易な気持ちで挑んでしまえば必ず痛い目を見る。それは那津蒔がこれまで培ってきた経験上確かに言えることだ。
「これで千寿郎がくじけるヤツならもう見込みはねぇ、せめて軟弱にならないように仕込むくらいにはするが、鬼狩りのことは諦めさせる」
「・・・・そうだな、炊きつけておいてなんだが、千寿郎くんが本当に意味を理解してくれる子ならば続けてくれるだろうからな」
今回の山登り山下りの目的は脚力や瞬発力ももちろんだが跳躍力や洞察力などの訓練でもある。剣の腕以前に身体がついてこないのでは話にならない。
「さて、少し休もうか。もう未の刻を過ぎている麓の東屋でももと葉月が待っているぞ」
「そうだな、千寿郎も気を失っちまったし、様子を診るか」
こうして千寿郎の訓練一日目は終了した。
続く
ヒュン!ヒュンヒュンッ!
後から後から向かってくる木の枝、どうやら一つに引っかかると複数の仕掛けが同時にくるものだったらしい。
ベシッ!ベシベシッ!
「いたっ!?いたたっ!!痛いっ!痛いっ!」
木の枝に体を打たれる千寿郎、よろけた瞬間・・・。
プスッ!
「~~~っ!!?」
尻に何かが刺さった。
見ると朝、薪拾いに来た際に那津蒔が説明してくれた植物の葉だった。
『一見それっぽく見えないが実際触ると固いし、地味に痛ぇぞ。しかも低い位置にあるから子供は目とかに刺さると大事になるから親父がいつも踏んで折ってくれてたな』
確かに痛い、自分はそんなに身長が低いというわけではないがそれでも腰や尻の位置にその植物が当たる。
しかも今の自分は特訓の最中なので踏んで折るなどの余裕はない。
しかし山とは・・・いや、自然とはこんなに恐ろしいものなのか?
ズッシリ構えて逞しく見える山も普段は穏やかで人の癒しとなる植物もそれぞれの特性を活かしてやればこんなにも人を翻弄する武器になる。
〈山、怖いっ・・・!〉
今まで屋敷の中や町の中での暮らしの多かった千寿郎は最終選別以来の危機感を感じていた。
「千寿郎~!」
「那津蒔さん?!」
どこからか那津蒔の声が聞こえてくる。
「まだ最初だぞ~!早く立って進め~!」
「あ!はい!」
千寿郎はそのまま進んだ。
その後も落とし穴や先ほどの撓り枝など可愛いものだ。
生長の早い草や川辺に積み上げられた石の山、丸太を汲んで作られた柵、上から落ちてくる無数の木の実(どんぐりや松ぼっくりなど)。
更に登りは急な斜面を上がるため、降りは滑り落ちない様に足を踏ん張らねばならない。
「はあ・・・はあ・・・」
出口まで着いた時には千寿郎はへろへろになっている。
「お疲れ」
「お帰り」
いつ戻ったのかニコニコしながら待っている二人。
「も、戻り・・・ま、した・・・」
そう言うと千寿郎はバタンと倒れてしまった。
「おやおや」
瀬津寿は倒れた千寿郎を抱き上げた。
「那津蒔、初日にしては少し厳しかったのではないか?」
「いいんだよ、あれくらいで」
那津蒔は千寿郎を見た。
鬼狩りを甘く見られては困る、考えられても困る。そもそも『人間でない者』を相手に闘うことを軽視するということはあってはならないことだ。
未知の存在、事柄に安易な気持ちで挑んでしまえば必ず痛い目を見る。それは那津蒔がこれまで培ってきた経験上確かに言えることだ。
「これで千寿郎がくじけるヤツならもう見込みはねぇ、せめて軟弱にならないように仕込むくらいにはするが、鬼狩りのことは諦めさせる」
「・・・・そうだな、炊きつけておいてなんだが、千寿郎くんが本当に意味を理解してくれる子ならば続けてくれるだろうからな」
今回の山登り山下りの目的は脚力や瞬発力ももちろんだが跳躍力や洞察力などの訓練でもある。剣の腕以前に身体がついてこないのでは話にならない。
「さて、少し休もうか。もう未の刻を過ぎている麓の東屋でももと葉月が待っているぞ」
「そうだな、千寿郎も気を失っちまったし、様子を診るか」
こうして千寿郎の訓練一日目は終了した。
続く