本編主人公の出番少なめ、原則名前のみ出演です。
海野家の千寿郎くん その6
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「そして小生は霧香の使役鬼になることを決意した。
彼女は約束した通り、力による支配ではなく自分の家族、信頼の絆という形で接してくれた」
海野家の皆もまた然り、自分を余所者ではなく家族、身内として迎い入れてくれた。
そして本当の意味の力を自分にくれた。
『陰陽鬼術』という術者である主と使役鬼の絆があってこそ使える強力な戦闘術。
さらに古参ともいえる津雲、黒椎、紅虎は修行にも付き合ってくれた。
自分を息子、兄弟のように接してくれたのだ。
「音羽も小生を快く迎い入れてくれた、今では雅楽を愛する者同士。良き友人だ。
小生の書いた小説にも呼んでくれた後に改善点を上げてくれる、これがまた創作力を膨らませてくれるものでな」
「なんだか・・・鬼の家族ですね、本当に」
「ああ、そうだ」
いつかの那田蜘蛛山で下弦の伍の累に会った時、響凱は彼に言い放った。
「小生が『何を求めていたのか』を霧香は思い出させてくれたのだ!だから小生は鬼ではあるが霧香のためにともにあると誓ったのだ!」
好きなだけ作品を書き、鼓を奏で、強くなるための稽古もできる。
そして何より『独り』ではない、温かい絆が確かにここにある。
絶望と恐怖のどん底にいた自分が今や極楽にいるのではないかと感じているくらいだ。
それほど鬼でありながら鬼舞辻と五大呪術家の考え方は異なるのだ。
「霧香は小生のために身体を張って助けてくれる、ならば体が頑丈な小生は命を持って主を守ると決めた」
「・・・・・」
響凱の『自分が霧香の使役鬼になった経緯』を聞いて千寿郎はただ聞き入るしかなかった。
「千寿郎」
「は、はいっ」
「小生の話はつまらなかったか?」
「い、いいえ!!とんでもないです!!」
ブンブンと首がもげそうなほど横に振る千寿郎。
「僕は霧香さんとあなたのことを尊敬します!霧香さんは強い人です!でもあなたも同じくらい強い人です!
僕も少し前まで父に声をかけることすら怯えていました・・・母が亡くなってから僕の家は火が消えたようになってしまったんです。
でも兄上はそのことにめげずに任務をこなし、父と向き合い、煉獄家の男としての務めを果たしています。
僕は自分が情けなかった・・・兄上はできるのに何故、自分はこんなに弱いのかと――・・・。
だけど霧香さんの言葉に救われたんです」
千寿郎は香炉家の療養所でのことを思い出しながら涙が溢れてきた。
「千寿郎くんは本当に『頑張ってる』って思う。お母さんが亡くなっても煉獄さんと力を合わせてお屋敷のことや剣の稽古、勉学・・・いろいろなことをちゃんとこなしてきたと思うよ。
寂しくても、辛くても、お母さんが大切に想っていたお父さんを支えたくて・・・煉獄さんが見ていないところでも自分自身でたくさん頑張ってきたんだよね!えらいよ、千寿郎くん!」
その言葉は今まで兄に言われた言葉以上に千寿郎の心に沁み込んだ。
「父上には何もできなかったけれど・・・霧香さんの『自分のしてきた良き行いを褒める事を大切に』と言われてとても嬉しかったんです。
あの人は本当に不思議な人ですね、人の心を温かくしてくれる・・・僕も霧香さんが大好きです!!」
鼻をすすり、涙を拭いた後、満面の笑みを響凱に向けた。
「そうか、お前も霧香に救われたのだな」
「はい!だから今度は僕も霧香さんの役に立ちたいんです!
そのために僕は強くなりたい、ここで炎の呼吸を体得してみせます!!」
この少年も『誰かのために努力すること、何かをすることは巡り巡って自分に良い形で戻ってくる』と無意識に分かっているのだろう。
「ならば互いに目標のため、鍛えなければな」
「はい!」
――――――――――――
「そろそろいいかしら?」
「そうですね」
庵の外で待っていた椛と音羽、そろそろ夜も更けてきた。
明日の稽古に支障が出てしまってはいけないと思い、二人で千寿郎を迎えに歩き出す。
「椛様、先程の話は本気なのですね?」
「ええ、本気よ。私も覚悟を決めたの」
「そうですか、あなたが決めたのならば私はそれに従うまでです」
「ありがとう、音羽・・・じゃあ、礼の件は音羽は外すように私から兄に伝えておくわ」
「はい、その様に」
話を終えた二人は庵の戸を叩き、中に入ると刻限のことを伝え、話を切り上げるように促した。
彼女は約束した通り、力による支配ではなく自分の家族、信頼の絆という形で接してくれた」
海野家の皆もまた然り、自分を余所者ではなく家族、身内として迎い入れてくれた。
そして本当の意味の力を自分にくれた。
『陰陽鬼術』という術者である主と使役鬼の絆があってこそ使える強力な戦闘術。
さらに古参ともいえる津雲、黒椎、紅虎は修行にも付き合ってくれた。
自分を息子、兄弟のように接してくれたのだ。
「音羽も小生を快く迎い入れてくれた、今では雅楽を愛する者同士。良き友人だ。
小生の書いた小説にも呼んでくれた後に改善点を上げてくれる、これがまた創作力を膨らませてくれるものでな」
「なんだか・・・鬼の家族ですね、本当に」
「ああ、そうだ」
いつかの那田蜘蛛山で下弦の伍の累に会った時、響凱は彼に言い放った。
「小生が『何を求めていたのか』を霧香は思い出させてくれたのだ!だから小生は鬼ではあるが霧香のためにともにあると誓ったのだ!」
好きなだけ作品を書き、鼓を奏で、強くなるための稽古もできる。
そして何より『独り』ではない、温かい絆が確かにここにある。
絶望と恐怖のどん底にいた自分が今や極楽にいるのではないかと感じているくらいだ。
それほど鬼でありながら鬼舞辻と五大呪術家の考え方は異なるのだ。
「霧香は小生のために身体を張って助けてくれる、ならば体が頑丈な小生は命を持って主を守ると決めた」
「・・・・・」
響凱の『自分が霧香の使役鬼になった経緯』を聞いて千寿郎はただ聞き入るしかなかった。
「千寿郎」
「は、はいっ」
「小生の話はつまらなかったか?」
「い、いいえ!!とんでもないです!!」
ブンブンと首がもげそうなほど横に振る千寿郎。
「僕は霧香さんとあなたのことを尊敬します!霧香さんは強い人です!でもあなたも同じくらい強い人です!
僕も少し前まで父に声をかけることすら怯えていました・・・母が亡くなってから僕の家は火が消えたようになってしまったんです。
でも兄上はそのことにめげずに任務をこなし、父と向き合い、煉獄家の男としての務めを果たしています。
僕は自分が情けなかった・・・兄上はできるのに何故、自分はこんなに弱いのかと――・・・。
だけど霧香さんの言葉に救われたんです」
千寿郎は香炉家の療養所でのことを思い出しながら涙が溢れてきた。
「千寿郎くんは本当に『頑張ってる』って思う。お母さんが亡くなっても煉獄さんと力を合わせてお屋敷のことや剣の稽古、勉学・・・いろいろなことをちゃんとこなしてきたと思うよ。
寂しくても、辛くても、お母さんが大切に想っていたお父さんを支えたくて・・・煉獄さんが見ていないところでも自分自身でたくさん頑張ってきたんだよね!えらいよ、千寿郎くん!」
その言葉は今まで兄に言われた言葉以上に千寿郎の心に沁み込んだ。
「父上には何もできなかったけれど・・・霧香さんの『自分のしてきた良き行いを褒める事を大切に』と言われてとても嬉しかったんです。
あの人は本当に不思議な人ですね、人の心を温かくしてくれる・・・僕も霧香さんが大好きです!!」
鼻をすすり、涙を拭いた後、満面の笑みを響凱に向けた。
「そうか、お前も霧香に救われたのだな」
「はい!だから今度は僕も霧香さんの役に立ちたいんです!
そのために僕は強くなりたい、ここで炎の呼吸を体得してみせます!!」
この少年も『誰かのために努力すること、何かをすることは巡り巡って自分に良い形で戻ってくる』と無意識に分かっているのだろう。
「ならば互いに目標のため、鍛えなければな」
「はい!」
――――――――――――
「そろそろいいかしら?」
「そうですね」
庵の外で待っていた椛と音羽、そろそろ夜も更けてきた。
明日の稽古に支障が出てしまってはいけないと思い、二人で千寿郎を迎えに歩き出す。
「椛様、先程の話は本気なのですね?」
「ええ、本気よ。私も覚悟を決めたの」
「そうですか、あなたが決めたのならば私はそれに従うまでです」
「ありがとう、音羽・・・じゃあ、礼の件は音羽は外すように私から兄に伝えておくわ」
「はい、その様に」
話を終えた二人は庵の戸を叩き、中に入ると刻限のことを伝え、話を切り上げるように促した。