海野家の千寿郎くん その2

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この小説の夢小説設定
本編主人公の出番少なめ、原則名前のみ出演です。
煉獄ヒロイン
悲鳴嶼ヒロイン
海野家の先祖

晴哉の子供たちと遊んだ後、千寿郎はへろへろになっていた。
子供たちはまだ遊んでほしいようだったが千寿郎の様子を見ていた晴哉と御園、葉月が『自分たちが相手になる』といって連れて行ってくれたのだ。

「ごめんなさいね、来たばかりで・・・疲れたでしょう」

そこへお茶を持ってやってきた椛、自室で寝そべっている千寿郎に声をかけた。

「あ!いいえ、とても楽しかったです!」

その気持ちに噓偽りはない、晴哉の子供たちと遊ぶのは本当に楽しかった。
同年代の子供たちと遊ぶことが少なかったからでもあるが、少し背伸びして大人と同じように振る舞っていた自分の子供心が解放されたような気がしていたからだ。

「お茶とお茶菓子を持ってきたの、一緒に食べましょう」

「ありがとうございます」


縁側に腰を下ろした二人。

「改めて自己紹介するわね、海野椛よ。その節は妹の霧香がお世話になりました」

『その節』というのは無限列車の後のことだろう、霧香が療養しているとき千寿郎は毎日、香炉家の病室に通っていた。

「いいえ、僕も兄を助けていただきました。こちらこそありがとうございました」

「うふふ・・・やっぱり兄弟ね、礼儀正しいところがそっくりだわ」

微笑ましく千寿郎を見ている椛。

「あなたがここまで曇りのない子に育ったのは杏寿郎殿の教育の賜物ね」

千寿郎と同じ髪色をした妹の許嫁の青年の姿を思い出した椛。
千寿郎も照れくさそうにしながらお茶を啜る。

「?」

そんな千寿郎の目に屋敷のあるものが入った。

「どうしたの?」

「あれは――・・・」

千寿郎の視線の先を見て椛は『ああ・・・』と思った、それは『鬼灯』、使役鬼が暮らす結界だ。

「あそこにはね、海野家で使役している鬼たちが暮らしているの」

「え?」

『鬼』と聞いて少し体を震わせた千寿郎。

「大丈夫よ。
鬼灯には万一のことがあってはいけないからあなたは連れて行かない様に晴哉兄様から言われているわ」

「・・・・・」


あそこに海野家に仕えている鬼たちがいる。


『俺も思った、鬼と人間が信頼関係などあり得ないとな・・・だが、霧香と彼女の家族の鬼が、そうではないと証明してくれた』

『あの時、鬼は霧香を喰わない様に自分の腕に噛み付いた。
家族の縁を断つ術を施され飢餓状態でありながらも、柱が『本能を出せ!』と囃し立てても・・・鬼は必死に耐え、耐えきれなくなった時でさえ己の腕を噛んで偲んだ』


いつかの香炉家の病室で杏寿郎が言ってたことを思い出す。

「椛さん」

「ん?」

「鬼灯に連れて行ってもらえないでしょうか?」

千寿郎の言葉に一瞬驚いた椛だが、すぐに落ち着いた声で問い返す。

「でも『鬼』よ?千寿郎くんは『怖い』と思わないの?」

「思います・・・使役鬼は悪鬼ではないと兄から聞きました、使役鬼と五大呪術師の陰陽師との間には鬼舞辻無惨のように力による支配ではなく、絆による信頼関係が結ばれていると――・・・。
遊廓の任務でも霧香さんやアカリさんのために尽力したと聞きました。
僕は会ってみたいんです、霧香さんたち人間が信頼して、霧香さんたちのために身をもって戦う使役鬼に」

湯呑を握る手は震えているものの千寿郎の目に『怯え』はなかった。

「・・・・・」

「駄目・・・でしょうか?」

千寿郎は少し涙目になり、声もかすれている。

「・・・・わかったわ」

お茶を一口啜るとホッと息を吐いた。

「すぐには無理だと思うけれど私から晴哉兄様に話してみるわ。
折を見てお返事するから千寿郎くんは那津蒔兄様との訓練に集中してね」

「つっ!ありがとうございます!」






その翌日、さっそく訓練開始だ。
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