本編主人公の出番少なめ、原則名前のみ出演です。
海野家の千寿郎くん その6
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『 煉獄千寿郎殿
先日の約束を果たしたいと思う、ついては今夜、小生の庵に来られたし。 響凱 』
「――って果たし状か!!アイツ、軍記もの書いてるからって手紙にまで反映させなくたっていいだろうに・・・」
「でも響凱らしいといえばらしいわ」
「ふふふ、そうね」
横から上から覗き込んで各々反応している海野家一同。
「でも響凱さんときちんとお話ができるのは嬉しです!僕、行きます!響凱さんの庵に行きたいです!」
「そうか、俺たちもお前がそう言うと思って準備はしてある。
一応『警護』ってことで椛と音羽をつけるから安心しろ」
「音羽さん?」
「私の使役鬼よ、もしもの時のために男手が必要だから連れて行くわ。
でも庵の外で待機しているから千寿郎くんは思う存分、響凱と話していいからね」
「はい!ありがとうございます!」
千寿郎の表情に槇寿郎はまたポカーンとしている、どうやら使役鬼込みで相当早く海野家に慣れたと見える。これも千寿郎の一種の才能と言うべきなのだろうか・・・。
「と、いうわけだから安心してくれよ、槇寿郎さん」
「つっ・・・ああ、ありがとう」
一瞬返事に遅れたが息子のことを配慮してくれた那津蒔たちに礼を言う槇寿郎。
「―――もしかして、若干寂しくなってるかい?」
「ぶっっ・・・!なっ、なっ・・・」
お茶を噴き出しそうになるのを何とか防いだものの動揺してしまう。
「千寿郎があまりにもこっち(海野家)に馴染んでるから少し寂しく感じてるんじゃないかと――・・・」
「そ、そんなことはないっ!」
そのまま茶を飲む槇寿郎。
「槇寿郎さん」
「ん?」
クスクス笑っていた安岐がふと言葉をかける。
「千寿郎くんは昔に戻っているだけですよ」
「?」
「昔に『戻っている』だけです」
『昔』とまた言った。
思い起こせば瑠火、妻が生きていた頃は千寿郎も良く笑う子だった。
自分がこんな風になってからはそのことをすっかり忘れてしまっていた。
父子だけになっても千寿郎がこんな風に笑えることもできたはずだ。
「・・・・・・」
槇寿郎は湯呑を見つめていたが、千寿郎に視線を移した。
「千寿郎」
「つっ、は、はい!」
「霧香殿の使役鬼の方に失礼のないようにな」
「は・・・はい・・」
「それから・・・楽しんできなさい」
「つっ、はい!!」
千寿郎は明るい笑顔を槇寿郎に向けた。
〈ああ――・・・息子の笑顔、これほどに心地よいものだったか・・・〉
当たり前に感じていたこと、いつの間にか忘れてしまい、再び感じ入る。
感じ入る間の時間の長さ――・・・槇寿郎は改めて息子たちの大事な時期を逃したことを悔いた。そして再び息子たちと歩もうと決めたのだった。
先日の約束を果たしたいと思う、ついては今夜、小生の庵に来られたし。 響凱 』
「――って果たし状か!!アイツ、軍記もの書いてるからって手紙にまで反映させなくたっていいだろうに・・・」
「でも響凱らしいといえばらしいわ」
「ふふふ、そうね」
横から上から覗き込んで各々反応している海野家一同。
「でも響凱さんときちんとお話ができるのは嬉しです!僕、行きます!響凱さんの庵に行きたいです!」
「そうか、俺たちもお前がそう言うと思って準備はしてある。
一応『警護』ってことで椛と音羽をつけるから安心しろ」
「音羽さん?」
「私の使役鬼よ、もしもの時のために男手が必要だから連れて行くわ。
でも庵の外で待機しているから千寿郎くんは思う存分、響凱と話していいからね」
「はい!ありがとうございます!」
千寿郎の表情に槇寿郎はまたポカーンとしている、どうやら使役鬼込みで相当早く海野家に慣れたと見える。これも千寿郎の一種の才能と言うべきなのだろうか・・・。
「と、いうわけだから安心してくれよ、槇寿郎さん」
「つっ・・・ああ、ありがとう」
一瞬返事に遅れたが息子のことを配慮してくれた那津蒔たちに礼を言う槇寿郎。
「―――もしかして、若干寂しくなってるかい?」
「ぶっっ・・・!なっ、なっ・・・」
お茶を噴き出しそうになるのを何とか防いだものの動揺してしまう。
「千寿郎があまりにもこっち(海野家)に馴染んでるから少し寂しく感じてるんじゃないかと――・・・」
「そ、そんなことはないっ!」
そのまま茶を飲む槇寿郎。
「槇寿郎さん」
「ん?」
クスクス笑っていた安岐がふと言葉をかける。
「千寿郎くんは昔に戻っているだけですよ」
「?」
「昔に『戻っている』だけです」
『昔』とまた言った。
思い起こせば瑠火、妻が生きていた頃は千寿郎も良く笑う子だった。
自分がこんな風になってからはそのことをすっかり忘れてしまっていた。
父子だけになっても千寿郎がこんな風に笑えることもできたはずだ。
「・・・・・・」
槇寿郎は湯呑を見つめていたが、千寿郎に視線を移した。
「千寿郎」
「つっ、は、はい!」
「霧香殿の使役鬼の方に失礼のないようにな」
「は・・・はい・・」
「それから・・・楽しんできなさい」
「つっ、はい!!」
千寿郎は明るい笑顔を槇寿郎に向けた。
〈ああ――・・・息子の笑顔、これほどに心地よいものだったか・・・〉
当たり前に感じていたこと、いつの間にか忘れてしまい、再び感じ入る。
感じ入る間の時間の長さ――・・・槇寿郎は改めて息子たちの大事な時期を逃したことを悔いた。そして再び息子たちと歩もうと決めたのだった。