本編主人公の出番少なめ、原則名前のみ出演です。
海野家の千寿郎くん その5
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さて、本日から槇寿郎、千寿郎親子が海野家に御厄介になることになるのだが、父親である槇寿郎は自分の屋敷ではないので多少は気を遣うだろう。
しかし今、気になっていることは息子の千寿郎のことだ、本人の意志を尊重して送り出しだがその成果はいかほどのものか。
荷物を用意された部屋に置くとさっそく千寿郎の鍛錬の様子を見に行った。
「はあっ!!」
「!」
そこには自分の前では見せたことのない表情の息子がいた。
煉獄家の庭で鍛錬をしていた時のあの緊張で体が硬直しており、素振り姿も力んでいた千寿郎が式神二人を相手に勇猛果敢に挑んでいる。
そして相手の攻撃を流し、隙を作る瞬間を見逃さず、突きを入れる。
また投げ飛ばされたり、体勢を崩された時にはきちんと受け身を取り、相手の出方を見極めている。
「・・・・・」
「驚いたかい?」
そこへ那津蒔がやってくる。
「あれが千寿郎なのか?本当に?」
「ああ、アンタの息子の千寿郎に間違いはないぜ」
目の前で式神二体と戦っている息子と普段自分への接し方を思い出し困惑しているのだろう。
「ここにきて、千寿郎くんには身体の能力の向上から、身のこなし方、呼吸の心得など海野家総出で教え込んでいます。
もちろん適度の小休憩と十分の栄養補給、睡眠などの休息も取らせています。
ですから彼の体のことについてはどうかご安心を」
晴哉も合流し、ここ一カ月の生活を槇寿郎に話した。
「そうか、ここまで尽力してくれたのは感謝に尽きぬ。私がこのようなあり様でなければあの子にもっと教える事ができただろうに・・・」
少し寂しそうな表情をする槇寿郎。
「何を言っているんだ?親父さん」
「?」
「あんたが頑張るのはここからだぜ」
那津蒔の言葉に『?』が浮かんだ。
「俺たちが教えたのはあくまで身体能力、精神能力の向上だ。
『波流門海野家の戦闘術』を教えた訳じゃない」
「・・・・・」
「千寿郎が身に着けるものは『炎の呼吸』だ、そしてそれを教えられるのはあんたと杏寿郎だけだ」
「!」
自分がまた息子に剣技を教える・・・、正直、槇寿郎は迷った。
今更、千寿郎が自分の教えを請うてくれるだろうか?自分を拒絶しないだろうか?
「槇寿郎殿」
迷っている槇寿郎に声をかける晴哉。
「あなたはもう逃げるべきではない」
「つっ・・・」
「千寿郎もまたあなたの息子だ、親が子供の気持ちから逃げてはいけない。
子供が親を受け止める決意をしているのならば、あなたも歩み寄ってはどうだろうか?」
「・・・・・・」
自分は一度、息子たちを拒絶した。
溝を作ってしまったのだ、だがその溝は次第に狭まりつつある。
しかし、それは息子たちの方から埋めてきてくれているのかもしれない。
もしかしたら自分自身は溝を広げていたのかもしれない。
槇寿郎はもう一度、式神と鍛錬している千寿郎を見た。
倒れても倒れても向かって行く、千寿郎も変化している。成長をしている、ならば親である自分も引いてばかりではなく進まなければならない。
「そうだな・・・俺も『炎柱』の名前を貰い受けた男だ。一度は泥を塗ってしまったが、息子にはそうなってほしくはない」
決意の籠った瞳に晴哉、那津蒔兄弟は頷いた。
「千寿郎からは私から話しましょう、明日からはあなたも指南役として加わることを」
「ああ、頼む」
「それから――・・・」
少し言葉を濁す晴哉。
「?」
「一つ、槇寿郎殿に謝らなければならないことがあります」
「何だ?」
「実は――・・・」
そこで晴哉は千寿郎に海野家の使役鬼たちと面会させたことを話した。
しかし初めは驚愕したもののそれが千寿郎の意志であったこと、護衛や監督役として自分や那津蒔が同行したことを話すと槇寿郎は意外にも怒りはしなかった。
しかし今、気になっていることは息子の千寿郎のことだ、本人の意志を尊重して送り出しだがその成果はいかほどのものか。
荷物を用意された部屋に置くとさっそく千寿郎の鍛錬の様子を見に行った。
「はあっ!!」
「!」
そこには自分の前では見せたことのない表情の息子がいた。
煉獄家の庭で鍛錬をしていた時のあの緊張で体が硬直しており、素振り姿も力んでいた千寿郎が式神二人を相手に勇猛果敢に挑んでいる。
そして相手の攻撃を流し、隙を作る瞬間を見逃さず、突きを入れる。
また投げ飛ばされたり、体勢を崩された時にはきちんと受け身を取り、相手の出方を見極めている。
「・・・・・」
「驚いたかい?」
そこへ那津蒔がやってくる。
「あれが千寿郎なのか?本当に?」
「ああ、アンタの息子の千寿郎に間違いはないぜ」
目の前で式神二体と戦っている息子と普段自分への接し方を思い出し困惑しているのだろう。
「ここにきて、千寿郎くんには身体の能力の向上から、身のこなし方、呼吸の心得など海野家総出で教え込んでいます。
もちろん適度の小休憩と十分の栄養補給、睡眠などの休息も取らせています。
ですから彼の体のことについてはどうかご安心を」
晴哉も合流し、ここ一カ月の生活を槇寿郎に話した。
「そうか、ここまで尽力してくれたのは感謝に尽きぬ。私がこのようなあり様でなければあの子にもっと教える事ができただろうに・・・」
少し寂しそうな表情をする槇寿郎。
「何を言っているんだ?親父さん」
「?」
「あんたが頑張るのはここからだぜ」
那津蒔の言葉に『?』が浮かんだ。
「俺たちが教えたのはあくまで身体能力、精神能力の向上だ。
『波流門海野家の戦闘術』を教えた訳じゃない」
「・・・・・」
「千寿郎が身に着けるものは『炎の呼吸』だ、そしてそれを教えられるのはあんたと杏寿郎だけだ」
「!」
自分がまた息子に剣技を教える・・・、正直、槇寿郎は迷った。
今更、千寿郎が自分の教えを請うてくれるだろうか?自分を拒絶しないだろうか?
「槇寿郎殿」
迷っている槇寿郎に声をかける晴哉。
「あなたはもう逃げるべきではない」
「つっ・・・」
「千寿郎もまたあなたの息子だ、親が子供の気持ちから逃げてはいけない。
子供が親を受け止める決意をしているのならば、あなたも歩み寄ってはどうだろうか?」
「・・・・・・」
自分は一度、息子たちを拒絶した。
溝を作ってしまったのだ、だがその溝は次第に狭まりつつある。
しかし、それは息子たちの方から埋めてきてくれているのかもしれない。
もしかしたら自分自身は溝を広げていたのかもしれない。
槇寿郎はもう一度、式神と鍛錬している千寿郎を見た。
倒れても倒れても向かって行く、千寿郎も変化している。成長をしている、ならば親である自分も引いてばかりではなく進まなければならない。
「そうだな・・・俺も『炎柱』の名前を貰い受けた男だ。一度は泥を塗ってしまったが、息子にはそうなってほしくはない」
決意の籠った瞳に晴哉、那津蒔兄弟は頷いた。
「千寿郎からは私から話しましょう、明日からはあなたも指南役として加わることを」
「ああ、頼む」
「それから――・・・」
少し言葉を濁す晴哉。
「?」
「一つ、槇寿郎殿に謝らなければならないことがあります」
「何だ?」
「実は――・・・」
そこで晴哉は千寿郎に海野家の使役鬼たちと面会させたことを話した。
しかし初めは驚愕したもののそれが千寿郎の意志であったこと、護衛や監督役として自分や那津蒔が同行したことを話すと槇寿郎は意外にも怒りはしなかった。