本編主人公の出番少なめ、原則名前のみ出演です。
海野家の千寿郎くん その5
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「いいよ、千寿郎くん。良い動きだ、そのまま続けて」
「はい!」
千寿郎が海野家に来てから一か月と少し、那津蒔の『山登りの身体的能力向上』、椛の『体操による体捌き向上』、瀬津寿の『呼吸による肺活量、その他精神能力の向上』を誠心誠意取り組み、着々と身に着けている。
そして現当主・晴哉による『実践を念頭においた戦闘能力の向上』を目指し、絶賛修行中である。
本日は式神二体と組手をしている、初めは式神一体で組手をしていた。
初めの目標としては『受け身を覚えてもらうこと』だ、体勢が崩れては攻撃も防御もできない。まず大切なのは姿勢である。
最初の一週間は昼夜問わずにひたすら受け身の練習だった。
晴哉は表立って動いていないものの海野家鬼狩り『水龍』の頭目だ。戦闘経験は幾度も切り抜けている。その経験上感じたことを今、千寿郎に教えているのだ。
『どのような攻撃を受けても、また避けたとしても必ず自分の体が疎かな態勢にはならない様に』と。
投げられ、打たれ、蹴られ、体勢を崩した時、必ず攻撃と防御の姿勢が取れる状態に体を持ってくるという動きを身につけさせたかった。
「はあ・・・はあ・・・」
「うん、とてもいいよ。私たちが教えたことを着実に覚えているね。
式神を二体相手に受け身や体捌きができるのは成長している証だよ」
間合いをはかっている千寿郎に言葉を送る晴哉。
「つっ・・・はい!」
「でも・・・」
「つっ!」
一瞬だった、晴哉の言葉が嬉しくて注意を奪われた瞬間、式神の一体に組み敷かれていた。
「『褒められた』からといって一瞬たりとも集中力を切らさぬこと、今後の課題だね」
「~~~っ、はいっ・・・」
『トホホ』と少し情けなくなってしまった千寿郎、そこへ那津蒔がやってきた。
「兄貴」
「どうした?那津蒔」
「杏寿郎と霧香が来たぜ」
そこでふと部屋の中の時計を見てみる。
「ああ、もうそんな刻限か」
晴哉は腰を上げた。
「私は出迎えに行ってくる、すまないが千寿郎くんを見ていてくれないか?」
「ああ、構わないぜ」
千寿郎を那津蒔に任せて玄関に向かう晴哉。
――――――――――――
「瀬津寿、すまないな・・・俺まで」
「気にするな、安岐とお前を二人きりにするよりはずっといい」
瀬津寿の目が一瞬冷たくなった。
「俺は妻一筋だぞ」
「それでも俺の愛妻をお前と一緒にいさせるのは御免だ」
思った通り、先に出迎えていた父・瀬津寿が槇寿郎に圧をかけている。
『やれやれ」と思いながら間に割って入る晴哉。
「父上、槇寿郎殿をイジるのはそのあたりで止めてください」
晴哉がやってくる。
「槇寿郎殿、ようこそ我が家へ。お部屋は用意してあります」
「すまんな、千寿郎はうまくやっているか?」
「ええ、弟と毎日頑張っていますよ。今も特訓中です、身体能力が随分と上がりましたよ」
「そうか」
「よかったら荷物を置いた後にご覧になってください」
「あ、ああ・・・」
「父上」
「ん?」
「俺たちはそろそろ行きます」
「そうか・・・杏寿郎、しっかりな」
「はい、行ってまいります」
「霧香も気を付けてな」
「ありがとうございます、行ってまいります」
二人の背中を槇寿郎と海野家の人々は小さくなるまで見送っていた。
「はい!」
千寿郎が海野家に来てから一か月と少し、那津蒔の『山登りの身体的能力向上』、椛の『体操による体捌き向上』、瀬津寿の『呼吸による肺活量、その他精神能力の向上』を誠心誠意取り組み、着々と身に着けている。
そして現当主・晴哉による『実践を念頭においた戦闘能力の向上』を目指し、絶賛修行中である。
本日は式神二体と組手をしている、初めは式神一体で組手をしていた。
初めの目標としては『受け身を覚えてもらうこと』だ、体勢が崩れては攻撃も防御もできない。まず大切なのは姿勢である。
最初の一週間は昼夜問わずにひたすら受け身の練習だった。
晴哉は表立って動いていないものの海野家鬼狩り『水龍』の頭目だ。戦闘経験は幾度も切り抜けている。その経験上感じたことを今、千寿郎に教えているのだ。
『どのような攻撃を受けても、また避けたとしても必ず自分の体が疎かな態勢にはならない様に』と。
投げられ、打たれ、蹴られ、体勢を崩した時、必ず攻撃と防御の姿勢が取れる状態に体を持ってくるという動きを身につけさせたかった。
「はあ・・・はあ・・・」
「うん、とてもいいよ。私たちが教えたことを着実に覚えているね。
式神を二体相手に受け身や体捌きができるのは成長している証だよ」
間合いをはかっている千寿郎に言葉を送る晴哉。
「つっ・・・はい!」
「でも・・・」
「つっ!」
一瞬だった、晴哉の言葉が嬉しくて注意を奪われた瞬間、式神の一体に組み敷かれていた。
「『褒められた』からといって一瞬たりとも集中力を切らさぬこと、今後の課題だね」
「~~~っ、はいっ・・・」
『トホホ』と少し情けなくなってしまった千寿郎、そこへ那津蒔がやってきた。
「兄貴」
「どうした?那津蒔」
「杏寿郎と霧香が来たぜ」
そこでふと部屋の中の時計を見てみる。
「ああ、もうそんな刻限か」
晴哉は腰を上げた。
「私は出迎えに行ってくる、すまないが千寿郎くんを見ていてくれないか?」
「ああ、構わないぜ」
千寿郎を那津蒔に任せて玄関に向かう晴哉。
――――――――――――
「瀬津寿、すまないな・・・俺まで」
「気にするな、安岐とお前を二人きりにするよりはずっといい」
瀬津寿の目が一瞬冷たくなった。
「俺は妻一筋だぞ」
「それでも俺の愛妻をお前と一緒にいさせるのは御免だ」
思った通り、先に出迎えていた父・瀬津寿が槇寿郎に圧をかけている。
『やれやれ」と思いながら間に割って入る晴哉。
「父上、槇寿郎殿をイジるのはそのあたりで止めてください」
晴哉がやってくる。
「槇寿郎殿、ようこそ我が家へ。お部屋は用意してあります」
「すまんな、千寿郎はうまくやっているか?」
「ええ、弟と毎日頑張っていますよ。今も特訓中です、身体能力が随分と上がりましたよ」
「そうか」
「よかったら荷物を置いた後にご覧になってください」
「あ、ああ・・・」
「父上」
「ん?」
「俺たちはそろそろ行きます」
「そうか・・・杏寿郎、しっかりな」
「はい、行ってまいります」
「霧香も気を付けてな」
「ありがとうございます、行ってまいります」
二人の背中を槇寿郎と海野家の人々は小さくなるまで見送っていた。