本編主人公の出番少なめ、原則名前のみ出演です。
海野家の千寿郎くん 鬼灯でこんばんは
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「千寿郎」
「はい、何でしょうか?」
海野家に来てから数週間、山での訓練にも慣れてきた千寿郎。
椛や瀬津寿に鍛えられたおかげもあり、呼吸も今では意識して使えるようになった。
那津蒔、瀬津寿、椛は千寿郎の自身の努力もさることながら、杏寿郎の教え方も良かったのだろうと感心していた。まだ若輩だろうに元継子の甘露寺はもう同じ柱だ。
若干二十歳で同じ柱を育てたのは大したものだろう、そして時間はかかったものの千寿郎もここまで順調すぎる成長を見せている。
これならば炎の呼吸を体得する機会は予定より早いかもしれない、だからといって手を抜くつもりはないのだが・・・。
「椛から聞いた、お前、使役鬼に会いたいと言ったそうだな」
「はい」
「お前、怖くないのか?」
「怖いです」
キッパリと言われて『なんだそりゃ?』と脱力する那津蒔。
「お前な・・・よくそうはっきりと言い切るよな?」
「すみません・・・でも、怖いよりも会いたい気持ちの方が勝ったんです」
「・・・・・」
「使役鬼の話をしていた時の霧香さんがとても穏やかな顔をされていて・・・」
もう数ヶ月も前のことだ、無限列車の瀕死の重傷を負って昏睡状態だった霧香が目覚めて、杏寿郎と一緒に見舞いにいっていた時だ。
「霧香さん」
「ん?」
「霧香さんは・・・鬼を怖いとか思ったこと、ないんですか?」
そう訊ねた時、彼女は一瞬困った顔をした。
「す、すみません・・・あの兄から柱合会議のときのことを聞いたので」
それを聞くと彼女はどこか納得したような顔をする。
「あるよ、怖いと感じたこと」
ニッコリと笑って千寿郎に返事をした。
「私もそうだけど、感じたことがない人っていないんじゃないかな?
誰しも必ず一度は鬼に恐怖を感じたことはあると思うよ」
「では、今はどうして鬼を守ることができるようになったのですか?」
「う~ん・・・『恐怖する対象が鬼に限ったことじゃないと分かった』からかな?」
「?」
「私たちが今、滅殺している鬼たちは元々は『人間』だったのは千寿郎くんも知ってるよね?」
「はい」
「『鬼』って聞くとさ、人間じゃない生き物とか人間では有り得ない技を使う変な者とかの印象がまず思い浮かぶじゃない?
例えば体がとてつもなく大きいとか、金棒持ってたりとか、角生えてたりとかさ」
「はい・・・」
「でもさ、それは表面上の恐怖であって内面的な恐怖ではないと思うだよね。
もし、私が『象に踏まれたような醜い顔』とか『病気でもないのにボロボロの顔』してたら千寿郎くん、きっと最初は『化け物』って思わない?」
霧香の顔が潰れたようなものになっていることが想像できない千寿郎だったが、言っていることはわかるので頷く。
「でも話してみて、性格良くて、楽しかったら『外見は驚くけど、内面はとても良い人』なんだなって感じて、怖さとかあまり感じなくならない?」
程度にはよるかと思うが確かに・・・と頷く千寿郎。
「私が鬼に感じたことも同じなんだよね。
確かに鬼は怖いよ?でも本当に怖いのは人間でも鬼でもその人の内面。
人間だからって全て善人なわけではない、悪人もいる。それは心の有り様・・・醜い心を持っている人間は外見が恐ろしい鬼と対した違いはない。
私たちが戦っている鬼である彼らは『自分から望んで鬼になった人間』と「鬼舞辻の気まぐれで鬼になった人間』とがいると思う。
その中で鬼になった後に『後悔』をする人としない人って別れるんじゃないかなって思ったの。
つまり何が言いたいのかというと、私は『鬼を守っている』というわけではなくて『人間の心を忘れていない人』を助けたいんだよね」
猗窩座に貫かれた腹部を撫でる霧香。
「無限列車で倒した下弦の壱、私を殺しかけた上弦の参は鬼になっても尚、人間を見下し続け、傷つけている。それほど心の闇が深いんだと思う。
人間が持っている加虐性とか嫌悪感がより強いんだよ、きっと・・・だから、鬼舞辻の恐怖に晒されてもしぶとく生き残る。
私が鬼殺隊として戦った響凱は違うと感じたの」
もう使役の契約を結び、半年以上が経過しようとしている。
「彼は人間だった頃、作家を志望の文学男性だったんだって」
「そうなんですか?」
「うん、話してくれたことがあるの。里見八犬伝を読んだことがきっかけで・・・自分もあんな戦記物が書いてみたいと思ってずっと執筆活動をしてきた。
・・・・そして鬼になってもそのことを隠して活動を続けてきた、太陽に当たることはできない身で暗い屋敷の中でずっと・・・」
霧香は隣りの机の引き出しから帳面を一冊取り出した。
「それは?」
「日記・・・かな?響凱が私のいない海野家の様子を書き留めてくれていて、那津蒔兄さんに持たせてくれるの。
ほぼ手紙のような文面になっているんだけどね、私が無限列車の任務に行ってからずっと書いていたみたいなの」
「読んでも構いませんか?」
「どうぞ」
帳面を受け取ってめくって見る千寿郎。
「はい、何でしょうか?」
海野家に来てから数週間、山での訓練にも慣れてきた千寿郎。
椛や瀬津寿に鍛えられたおかげもあり、呼吸も今では意識して使えるようになった。
那津蒔、瀬津寿、椛は千寿郎の自身の努力もさることながら、杏寿郎の教え方も良かったのだろうと感心していた。まだ若輩だろうに元継子の甘露寺はもう同じ柱だ。
若干二十歳で同じ柱を育てたのは大したものだろう、そして時間はかかったものの千寿郎もここまで順調すぎる成長を見せている。
これならば炎の呼吸を体得する機会は予定より早いかもしれない、だからといって手を抜くつもりはないのだが・・・。
「椛から聞いた、お前、使役鬼に会いたいと言ったそうだな」
「はい」
「お前、怖くないのか?」
「怖いです」
キッパリと言われて『なんだそりゃ?』と脱力する那津蒔。
「お前な・・・よくそうはっきりと言い切るよな?」
「すみません・・・でも、怖いよりも会いたい気持ちの方が勝ったんです」
「・・・・・」
「使役鬼の話をしていた時の霧香さんがとても穏やかな顔をされていて・・・」
もう数ヶ月も前のことだ、無限列車の瀕死の重傷を負って昏睡状態だった霧香が目覚めて、杏寿郎と一緒に見舞いにいっていた時だ。
「霧香さん」
「ん?」
「霧香さんは・・・鬼を怖いとか思ったこと、ないんですか?」
そう訊ねた時、彼女は一瞬困った顔をした。
「す、すみません・・・あの兄から柱合会議のときのことを聞いたので」
それを聞くと彼女はどこか納得したような顔をする。
「あるよ、怖いと感じたこと」
ニッコリと笑って千寿郎に返事をした。
「私もそうだけど、感じたことがない人っていないんじゃないかな?
誰しも必ず一度は鬼に恐怖を感じたことはあると思うよ」
「では、今はどうして鬼を守ることができるようになったのですか?」
「う~ん・・・『恐怖する対象が鬼に限ったことじゃないと分かった』からかな?」
「?」
「私たちが今、滅殺している鬼たちは元々は『人間』だったのは千寿郎くんも知ってるよね?」
「はい」
「『鬼』って聞くとさ、人間じゃない生き物とか人間では有り得ない技を使う変な者とかの印象がまず思い浮かぶじゃない?
例えば体がとてつもなく大きいとか、金棒持ってたりとか、角生えてたりとかさ」
「はい・・・」
「でもさ、それは表面上の恐怖であって内面的な恐怖ではないと思うだよね。
もし、私が『象に踏まれたような醜い顔』とか『病気でもないのにボロボロの顔』してたら千寿郎くん、きっと最初は『化け物』って思わない?」
霧香の顔が潰れたようなものになっていることが想像できない千寿郎だったが、言っていることはわかるので頷く。
「でも話してみて、性格良くて、楽しかったら『外見は驚くけど、内面はとても良い人』なんだなって感じて、怖さとかあまり感じなくならない?」
程度にはよるかと思うが確かに・・・と頷く千寿郎。
「私が鬼に感じたことも同じなんだよね。
確かに鬼は怖いよ?でも本当に怖いのは人間でも鬼でもその人の内面。
人間だからって全て善人なわけではない、悪人もいる。それは心の有り様・・・醜い心を持っている人間は外見が恐ろしい鬼と対した違いはない。
私たちが戦っている鬼である彼らは『自分から望んで鬼になった人間』と「鬼舞辻の気まぐれで鬼になった人間』とがいると思う。
その中で鬼になった後に『後悔』をする人としない人って別れるんじゃないかなって思ったの。
つまり何が言いたいのかというと、私は『鬼を守っている』というわけではなくて『人間の心を忘れていない人』を助けたいんだよね」
猗窩座に貫かれた腹部を撫でる霧香。
「無限列車で倒した下弦の壱、私を殺しかけた上弦の参は鬼になっても尚、人間を見下し続け、傷つけている。それほど心の闇が深いんだと思う。
人間が持っている加虐性とか嫌悪感がより強いんだよ、きっと・・・だから、鬼舞辻の恐怖に晒されてもしぶとく生き残る。
私が鬼殺隊として戦った響凱は違うと感じたの」
もう使役の契約を結び、半年以上が経過しようとしている。
「彼は人間だった頃、作家を志望の文学男性だったんだって」
「そうなんですか?」
「うん、話してくれたことがあるの。里見八犬伝を読んだことがきっかけで・・・自分もあんな戦記物が書いてみたいと思ってずっと執筆活動をしてきた。
・・・・そして鬼になってもそのことを隠して活動を続けてきた、太陽に当たることはできない身で暗い屋敷の中でずっと・・・」
霧香は隣りの机の引き出しから帳面を一冊取り出した。
「それは?」
「日記・・・かな?響凱が私のいない海野家の様子を書き留めてくれていて、那津蒔兄さんに持たせてくれるの。
ほぼ手紙のような文面になっているんだけどね、私が無限列車の任務に行ってからずっと書いていたみたいなの」
「読んでも構いませんか?」
「どうぞ」
帳面を受け取ってめくって見る千寿郎。