海野家の千寿郎くん その1

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この小説の夢小説設定
本編主人公の出番少なめ、原則名前のみ出演です。
煉獄ヒロイン
悲鳴嶼ヒロイン
海野家の先祖

「おーい、戻ったぜー!」

晴哉と愼寿郎や杏寿郎に話をしに行った翌日、那津蒔は千寿郎を連れて海野家にやってきた。

「お帰りなさい、那津蒔様」

「おう、ただいま。千寿郎、今日からしばらくここがお前の家だ、楽にしてくれ」

「は、はい!」

風呂敷包みを抱えてペコリとお辞儀をする千寿郎。

「もも、聞いているかと思うが今日からウチで暮らす千寿郎だ。霧香の挨拶の時に会ってるから覚えてるよな?」

「はい。こんにちは、いらっしゃい」

「こんにちは、今日からお世話になります」

「お荷物お持ちしますよ」

ももが風呂敷包みを受け取ろうとする。

「い、いいえ!大丈夫です!今日から僕はこちらでお世話になるんですから、最初から甘えるわけにはいきませんっ!」

千寿郎はフルフルと首を横に振る。

「ハハハハッ!首がもげそうなくらいに振るな、千寿郎!もももそう畏まるなよ、千寿郎もやれることは自分でやりたいんだろうぜ」

「あ、はい・・・ごめんなさい」

「ううん、いいんです、ありがとう」

「俺は着替えてくるから、もも、千寿郎に部屋を案内してくれ」

「はい」

ももは気を取り直して千寿郎に海野家で過ごす部屋に案内した。

「こちらです」

案内されたのは陽の光が良く当たる部屋だった。
きちんと掃除が行き届いていて、机や布団や箪笥、日常に必要なものが揃っている。

「良いんですか?こんなに良い部屋を僕が使って・・・」

「はい」

ももが空気の入れ換えのために障子を開けた。

「昨日、帰ってから安岐様と霧香様と一緒に掃除したんです!千寿郎くんに『気持ちよく過ごしてもらおうね』って話しながら!」

それから押し入れからあるものを取り出すもも。

「あと、これを」

それは文箱だった。

「手紙出しますよね、お父さんやお兄さんに」

千寿郎はその文箱を受け取った。

「ありがとう、今日からよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」




二人は笑い合った。




「おーい・・・取り込み中に悪いんだが」

「「!」」


後ろから声がしたので振り向くと着替え終えた那津蒔が襖に凭れかかっていた。

「す、すみません!!///」

「いや、いいんだ、いいんだ。若い奴の青春はいいモンだ」

「な、那津蒔様!///」


ニッと笑う那津蒔に対して二人の顔は真っ赤である。

「まあ、続きは後にしてくれ。先に兄貴や親父たちに挨拶しにいくぞ」

「あ、はい!わかりました!」


那津蒔の兄であり、海野家現当主の晴哉には既に対面しているものの瀬津寿にはまだ会ったことがない。前当主で父の愼寿郎も言いくるめた人物はどんなものだろうかと少し体を強張らせる。

「ハハハッ!そんなに力むなよ、千寿郎!
親父はそんなに怖い人間じゃねーよ、そのへんの孫を可愛がる優しいオッサンだと思えばいい!」

二人に向かって『おいでおいで』をすると歩き出す那津蒔。

「あ、あの・・・」

「ん?」

「孫と仰ってましたが晴哉さんと那津蒔さんはご結婚されているんですか?」

「ああ、俺も兄貴も女房持ちだ。俺には子供はまだいないが兄貴はもう三人の子持ちだ」

「三人!?」

『あの若さで三人の子持ち』と衝撃を受けた千寿郎。

「お前な・・・そんなに本気で驚くなよ」

「あ・・・いえ・・」

「別に不思議はないぜ、兄貴は十八で結婚して二十歳で一人目できてんだ」

「・・・・・(目がグルグルマークになってる千寿郎)」

「おい、おい?千寿郎?大丈夫か?」

フラフラしている千寿郎。

「千寿郎くん?」

「ハッ!」

危うく意識が遠くにいきそうになった千寿郎。
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