第1話 雪の剣士
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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彼をアイツが目を付けたのだ、そう――・・・鬼舞辻無惨だ。
ヤツによって勇翔は鬼にされてしまったのだ。
「勇翔さん・・・」
「・・・・・ああ、霧香ちゃんか」
詳細を知るため霧香は海野家に戻った。勇翔は人を襲わない確信が持てないため結界で拘束されている。
「ごめんね、俺のせいでこんなことに・・・それに霧香ちゃんも悪く言われてしまって・・・」
「ううんっ・・・!そんなことないっ!
勇翔さんは姉さんを守ってくれたんだもん!あの最低な男から守ってくれたんだもん!勇翔さんは悪くない!!
私はたとえ鬼になっても勇翔さんを嫌いになんてならないよ」
泣きながら霧香は勇翔の閉じ込められている陣の前で叫んだ、この人は何も悪くない・・・悪くないのに・・・。
それを聞いた勇翔は微笑んでいた。
何故あの人はあんな風に笑えるのだろうか、鬼にされ、もしかしたら殺されるかもしれないのに。
「いいんだよ、霧香ちゃん。俺は殺されても・・・俺はあの人を守れたこと後悔はしてないから、それが鬼になったとしてもね」
「霧香」
「つっ!父上!」
そこへ父が姉の椛と一緒にやってきた。
「勇翔の処罰が決まった」
「処罰・・・」
勇翔さんを見ると覚悟ができているという風に父を見ていた。
「勇翔、鬼を撃退したことは賞賛できるものではあるが・・・お前は己の感情に任せて、鬼化してしまい、相手の親族や椛の夫となるべき婿までも殺してしまった。
それについては処罰をせねばならん、わかっているな?」
「はい・・・全て私の至らなさが招いたことです、斬首していただいても構いません」
「勇翔さんっ!」
「良いんだ、俺は・・・椛様を守れただけで、それで心残りはない」
「そうか・・・ならば、処罰を言い渡そう。
お前は椛の使役鬼となり、海野家に再び仕えろ」
父の下した処罰は意外なものだった。
姉の椛の鬼使役で配下の鬼になり、その上で海野家を守れというのだ。
「しかし、それでは相手のご両親が・・・」
「あやつらも陰であくどいことをしている汚れ者よ、『我らのことを世間にバラす』などと息巻いていたが・・・鎌倉時代からいないものと認識されている『鬼退治の一族』の密告と『華やかな一族の裏で行われている事実』の密告、どちらが世間体に響くかわからぬ馬鹿でもあるまい」
「当主・・・」
「これは五大呪術家の五家の長全員で決めたことだ、良いな?」
「・・・・はい」
「それから鬼使役についての決まりは分かっていような?
契約した鬼は人肉は決して口にしてはならん、もし口にすればお前はもちろん契約の相手の椛も死なねばならん、そのことを肝に銘じておけ」
五家の長たちの話し合いの結果、勇翔さんは鬼として今後の人生を歩むことになり、名前も『音羽(おとわ)』と名乗ることになった。
――――――――――――――――
御家騒動がひと段落したので私は狭霧山に戻った。
「只今、帰りました」
「ああ、家の方は大丈夫だったか?」
「はい、何とか収まりました」
「そうか」
師匠もどことなく元気がない。
「あの・・・師匠、真菰はどこですか?姿が見当たりませんが?」
「あいつは一足先に最終選別に向かわせた」
「つっ!?いつですか!?」
「一昨日だ」
「どうして私を呼び戻してくれなかったんですかっ!?」
「今のお前に何ができる!!」
「つっ・・・!」
「まともに呼吸や型を昇華できないお前が戻っても最終選別には出せん」
「・・・・・」
一つの不安が去って、また一つの不安が襲う。
最終選別では鬼が放たれた藤襲山で七日間生き延びらなければならない。
私は待っていることしかできない、彼女が生きて帰ってくることを・・・。
でもその願いは儚くも消えた・・・。
最終選別終了の夜、一羽の鴉がやってきた。
「師匠?どうしたんですか?今のは・・・」
師匠が鴉から何かを聞いていたので、鴉が飛び去った後すぐに訊ねた。
「真菰が死んだ・・・」
「え・・・?」
私は抱えていた薪を落とした。
―― 真菰が死んだ ――
〈ウソ・・・嘘嘘ッ!!嘘だ!〉
「霧香、待て!」
師匠の声も聞かずに私はある場所に向かった。
そこは鱗滝師匠が最終選別を受けさせる資格があるか試す場所だ。
そこにはおよそ剣では断ち切ることのできない大岩がズシリと置かれている。
真菰はこの岩を斬ったのだ、私が御家騒動で戻っている間、彼女は修練で身につけた技を昇華して見事に最終選別への資格を手に入れたのだ。
霧香は自分の腰にある刀を抜いた。
〈全集中・・・水の呼吸・捌の型!〉
高く飛び上がる。
「『滝壺』!!」
ガキイイィィ―――ンッ!
「うわっ!」
大岩に弾かれて反動で転げまわる。
「ダメだ・・・呼吸が自分の中に落とし込めていない・・・、自分の呼吸と水の呼吸が反発していて、切れ味が鈍っている」
刀を見ると見事に刃こぼれしている。